2002年 12 月
2002/12/28
賢者の石
コリン・ウィルソン
創元推理文庫
「オカルト」「アウトサイダー」で知られるビリーバー系知識人?コリン・ウィルソンによるSF。
前頭葉に微細な金属片を埋め込み電流を流して脳を刺激することで、
本来の人間の可能性に「覚醒」した主人公が、過去の歴史を探るうちに
「古きものども」の存在に気づく。
主人公の手記という形式で書かれている。長く散漫。
「覚醒」の概念がハバードのダイアネティクスみたい。
1969年の著作だが、この時代にはまだこういうかたちの人類の進化を
期待する空気があったのだろうか。
まあ、ガンダムのニュータイプも似たようなものだけど。
2002/12/24
マイ・ベストSF
マーグリイズ 編
創元推理文庫
1954年のアンソロジーの翻訳。数人のSF作家に短編を自薦させている。
アシモフ、ヴォークト、キャンベルなど。古さは隠せない感じ。
2002/12/20
「氣」の威力
藤平光一
講談社+α文庫
ISBN4-06-256015-1
心身統一道合気道の創始者?の自慢話。
なんだかね。
2002/12/14
昇天する箱舟の伝説
矢野徹
ハヤカワ文庫JA
ずっと前にカドカワアニメ映画になった「カムイの剣」の著者であり
デューンシリーズの翻訳者でもある作者の短編集。
日本SFに勢いがあったころの雰囲気を感じさせるが、あんまり好みではない。
2002/12/12
破滅の日
福島正美編
講談社文庫
破滅ものの短編を集めたアンソロジー。ハインラインの「大当たりの年」がよい。
2002/12/8
聖楽堂酔夢譚
夢枕獏
集英社文庫
ISBN4-08-748804-7
自宅のそばにある古本屋聖楽堂でみつけた書籍にかんするエッセイ、
というスタイルのはずだったのだが、内容はかなり自伝的、
なのかと思ったら、実際にはどこまで本当なんだかわからない。
「螺旋教典」実在していればよいのに。
2002/12/2
宇宙船ビーグル号の冒険
A. E. ヴァン・ヴォークト
創元推理文庫
いわずと知れた古典。ダーティーペアのムギで知られるクァール
(この本ではケアルとなっている。)の原典ということでも知られる。
銀河をまたがって探索旅行を行いさまざまな生命体と出会う
宇宙船ビーグル号で、総合科学者(ネクシャリスト)である主人公が活躍する。
総合科学者とは、睡眠学習ですべてのジャンルの科学を学習し統合する
能力をもったスーパー科学者。うらやましい限りです。
真っ赤な体で真空中でも生きることのできる、ビッグバン以前の宇宙の
主であったという生命体イクストルが印象的。良くも悪くも古典的SFで、
最後の短編では、ひとつの銀河全体にまたがって存在するガス生命体を
全滅させたりなんかしてますが、これでいいんでしょうか?
2002年 11 月
2002/11/28
女性署長ハマー
パトリシア・コーンウェル
講談社文庫
ISBN4-06-273324-2,ISBN4-06-273325-0
「スズメバチの巣」、「サザンクロス」の続編。
なぜか、ヴァージニア・ウェストがでてこない。
スカーペッタが微妙に出てくる。
このシリーズ、ユーモア小説にしようとしているんだろうけど、
犯罪の陰惨さとしょうもないユーモアの部分に巨大なギャップが
あってどうにもついていけない。スカーペッタシリーズの続編希望。
2002/11/16
黒後家蜘蛛の会 1
アイザック・アシモフ
創元推理文庫
ISBN4-488-16701-2
アシモフの推理小説、というか、謎解きもの。
女人禁制のクラブに謎が持ち込まれ、それをウェイターの
ヘンリーが解き明かす、という型の短編集。
ネタが、聖書だったりアリスだったりと、日本人にはちょっと苦しいが
なかなか。
2002/11/13
終わりなき戦い
ジョー・ホールドマン
早川SF文庫
ISBN4-15-010634-7
1976年のヒューゴー、ネビュラ、ダブルクラウン。
主人公たちは亜光速で移動しつづけていたために、
千年にわたる星間戦争をはじめから終わりまで経験する。
今読み直してみると、ベトナム戦争の影響が非常に強く感じられる。
2002/11/10
猫語の教科書
ポール・ギャリコ
ちくま文庫
ISBN4-480-03440-4
いかにして人間をたぶらかして人間の家庭を乗っ取るかを、
猫がタイプライターで書いた、ということになっている教科書。
猫語の教科書ではないような。
傑作。写真がかわいい。
2002/11/8
80年代SF傑作選 下
小川隆、山岸真 編
ハヤカワ文庫SF
ISBN4-15-010989-3
テーマ的にも文章的にも重い作品が多い中で、
「ぼくがハリーズ・バーガー・ショップをやめたいきさつ」がさわやかで
気に入った。
修道院にバイキングが押し入る「祈り」、
異星人との特殊な共生を描く「血を分けた子供」なども印象に残る。
2002年 10 月
2002/10/31
イリーガル・エイリアン
ロバート・J・ソウヤー
ハヤカワSF文庫
ISBN4-15-011418-8
何を読んでもはずれがないロバート・J・ソウヤー の長編。
ファーストコンタクトものかと思うと、異星人の一人が殺人犯として
告発されてしまい、法廷ミステリーになるというすごい展開。
そして最後はさらにどんでん返し。すごい。
タイトルは「不法移民」という意味と、不法行為をしたエイリアン
をかけているんだろう。
2002/10/28
木星買います
アイザック・アシモフ
ハヤカワSF文庫
ISBN4-15-010596-0
初期の24編を収めた短編集。他の短編集の選にもれたものばかりということで
質はそれなりだが、すべての短編にアシモフが解説をつけているのが
うれしい。
2002/10/24
輪廻の蛇
ロバート・A・ハインライン
ハヤカワSF文庫
ISBN4-15-010487-5
巨匠の未来史もの以外を集めた中・短編集。
中篇「ジョナサン・ホーグ氏の不愉快な職業」はなかなか。
2002/10/23
もっと 大まかに生まれた女。
いのうえさきこ
ソフトバンクパブリッシング
ISBN4-7973-2176-8
3冊目の単行本。3冊とも買っているわたしはほんとに人がよい。
2冊目の「大まかに生まれた女」はどこにも売っていなくて
わざわざ注文してまで買ったのだが、これは上野の駅構内の本屋に
何冊か棚ざししてあった。売れているんだろうか。
装丁は右トジで統一され、ようやくまともになった。前の2冊は
読みにくかったもんなー。
2002/10/18
ユービック
フィリップ・K・ディック
ハヤカワSF文庫
ISBN4-15-010314-3
超能力者とその能力を中和する反超能力者の戦い、かと思わせておいて、
実は半死者の世界。なんかよくわからんです。
高校の時にサークルの先輩がこれをいたく気に入っていたが、
私はまだそのレベルに達していない模様。
2002/10/14
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
フィリップ・K・ディック
ハヤカワSF文庫
ISBN4-15-010229-5
「ブレードランナー」の原作としてあまりにも有名な作品。
映画公開当時に読んだときには、映画とのあまりのギャップに、
何だこりゃ、と思ったが、読み返してみるととてもよいではないですか。
虚実ない交ぜになった世界がすばらしい。
2002/10/11
みんないってしまう
山本文緒
角川文庫
ISBN4-04-197006-7
大学研究室の先輩と同姓同名で気になっていた作家。短編集。
どうにもならない哀しみを描いているという点では宮部みゆきと似ている。
ただ、宮部みゆき作品には必ずある「救い」がない作品もあり、
読後感がやるせない。
2002/10/6
SF戦争10のスタイル
ホールドマン編
講談社文庫
1977年発行のオムニバス。編者は「終わりなき戦い」の作者。
当然、1975年まで続いていたベトナム戦争の痕跡が色濃く残っており、
戦争の代替としてどういうものが考えられるか、という思考実験に
なっている。原題、「STUDY WAR NO MORE」。
2002/10/4
クリプトノミコン (4) データヘブン
ニール・スティーブンスン
ハヤカワSF文庫
ISBN4-15-011407-2
完結。なかなかよかったが最後が若干尻すぼみという印象も。
暗号をここまでフィーチャした作品は空前絶後なのではないだろうか。
文章も、独特のユーモアを感じさせてなかなかによかった。
ひさびさの傑作だが、これってSFなんだろうか?
とりあえずスノウ・クラッシュも読んでみよう。
2002年 9 月
2002/9/29
そして、星へ行く船
新井素子
集英社コバルト文庫
「星へ行く船」の続きのつもりで読んだら、実はシリーズのラストで、
間に3つも入っていた。「通りすがりのレイディ」「カレンダーガール」
「逆恨みのネメシス」か。全部読んだとは思うのだが、持ってるかなあ。
2002/9/24
吼えろペン! 1-5
島本和彦
サンデーGXコミックス
名作「燃えよペン」の続編?
不覚にも笑ってしまうシーンが多数。「燃えよ」よりアシスタントのキャラが
たっていてよい。
作中に出てくる、ボクシングマンガを描きたかったのに、
同じ雑誌に別のボクシングマンガがあったために
不本意にも描かされてしまったテニスマンガ、って
明らかに「燃える!V」だよなあ。あれはあれで面白かったとおもうんだが。
2002/9/24
星へ行く船
新井素子
集英社コバルト文庫
「えっと、あとがきです」などなど、なにもかもなつかしすぎる。
よく書けたジュブナイルであるが、三十路も半ばの身にはちょっとつらい。
2002/9/16
薬菜飯店
筒井康隆
新潮文庫
ISBN4-10-117128-9
筒井康隆のスラップスティックでスプラッタな短編集。
巻末に「サラダ記念日」のパロディ「カラダ記念日」が入っていて、
解説を俵万智が書いているあたりすごい。
2002/9/10
クリプトノミコン (1) チューリング
ニール・スティーブンスン
ハヤカワSF文庫
ISBN4-15-011398-X
一応サイバーパンクに分類されているらしいが、これまでのところ
SFではない感じ。それでもかなりサイバーパンクのにおいがするのはどういう
わけだろう。現実がサイバーパンクの世界に追いついているということなのか。
第2次大戦時と現在の2つの物語が並行して
語られる。現代のほうにはLILOならぬFILOがでてきたり。
細かいエピソードをちりばめて一つの物語にするという手法は一般に
読みにくいものだが、わりに読みやすくまとまっているのは筆者の筆力か。
一冊の原書が4つに分冊されているらしいのでゆっくり読もう。
2002/9/8
ハリー・ポッターと秘密の部屋
J.K. ローリング
静山社
ISBN4-915512-39-8
シリーズ第2作。ホグワースの生徒たちが次々と石になっていく。
にもかかわらず(しかも敵の正体がわかっているわけでもないのに)
校長を追い落とそうとするマルフォイ親子はなかなか肝が据わっているといえよう。
ロックハート先生は謎。
2002/9/1
ハリー・ポッターと賢者の石
J.K. ローリング
静山社
ISBN4-915512-37-1
ハリー・ポッターシリーズの1作。継父母に育てられた不遇の少年が
実は魔法使いの世界では知らない人のいない英雄だった!という、
言ってしまえばありがちな話だがなかなか楽しい。
箒にのってやるクィディッチという球技のルールはなぞめいている。
最後にシーカーがボールをとらなければ試合が終わらなくて、
それが150点分ということは、シーカー以外が何をやっても無駄ってこと?
軽く読めるのはよいのだが物理的に重いのが大変。軽装版でないかなあ。
2002年 8 月
2002/8/28
嵐ヶ熱血ポンちゃん!
山田詠美
講談社文庫
ISBN4-06-263907-6
エッセイ集。ラビット病は自伝的作品なのだなあ。
短編集とエッセイしか読んでないがなかなか面白い。長編も読んでみなければ。
2002/8/27
路傍の熱血ポンちゃん!
山田詠美
講談社文庫
ISBN4-06-264824-5
エッセイ集。かなりたくさん出ているうちの一つ。
なにかの雑誌の連載らしいのだが、かなり間隔があいているような。
いいかげんなものだ。シャンパンの描写がおいしそう。
2002/8/23
神の火
高村薫
新潮文庫
ISBN4-10-134712-3,ISBN4-10-134713-1
元ロシアのスパイにして原研の研究員の主人公が幼馴染と原発に侵入して
反応容器の蓋を開ける。
普通の人にはけして理解できないであろう主人公たちのモティベーションを
緊迫感あふれる文体と緻密な描写で強引に説得してしまうあたり、
さすがとしか言いようがない。
2002/8/13
ラビット病
山田詠美
新潮文庫
ISBN4-10-103614-4
黒人米兵のロバートとちょっとイカれた日本人女性のラブラブ話の短編集。
表題のラビット病というのはうさぎの親子のようにいつもくっついている
状態をさしている。なるほどいいえて妙。
2002/8/8
どすこい(安)
京極夏彦
集英社ノベルズ
ISBN4-08-774597-X
京極夏彦の単行本で唯一読んでなかった単行本「どすこい(仮)」が
軽装版で出ていたので購入。タイトル以外にも微妙に変わっているらしい。
「あやや」こと「松浦亜弥」がでてるし。
ベストセラーのタイトルをもじった、たくさんのおすもうさんが出てくる短編が
数編収められている。それぞれの著者名が違っており、それぞれの作品で
そのひとつ前の作品が登場するという趣向。
悪くはないが、軽装版を待って正解、という感じ。
2002年 7 月
2002/7/31
象牙の塔の殺人
アイザック・アシモフ
創元推理文庫
ISBN4-488-16706-3
SFではなくただのミステリー。
化学教室で学生が青酸ガスで死亡し、主人公の指導教官に疑いがかかる。
補助金の申請ばかりを気にかけている教授たちなど、現代的だが
実は1950年代の作品。
2002/7/26
逆転の瞬間
宮部みゆき 他
文春文庫
ISBN4-16-721767-8
「オール読物」推理小説新人賞傑作選III。
宮部みゆきのの「我らが隣人の犯罪」が入っている。
2002/7/21
I am Sam
ショーン・ペン主演のholly idiot もの。
子役がこれほどかわいくなければ成立しなかったであろう映画。
全編に流れるビートルズがうれしい。
この映画の裁判では証人に対する個人攻撃ばかりが行われている
ようだが、こんなのってありなの?
2002/7/21
John Q
心臓移植を必要とする保険が効かないことを理由に息子が病院を追い出されそうになった
主人公が病院のERに立てこもって息子を心臓移植者リストに乗せるように要求
する。あまりにもきれいで都合のよいオチが納得いかないといえば
納得いかないのだが、まあよいことにしましょう。
主演の黒人労働者を演じるデンゼル・ワシントンがよい。
2002/7/21
ウォーターボーイズ
男子高校生がシンクロナイズドスイミングをする、という
「しこ踏んじゃった」のシンクロ版みたいな映画。
竹中直人も出てるし、周防監督じゃないのが不思議なくらい。
さわやかではある。
2002/7/21
タイムマシン
ANAの飛行機の中で4本の映画を一気に見た。
婚約者を強盗に殺された科学者がタイムマシンを完成して
過去に戻り歴史を変えようとするが失敗、失敗する理由を探りに
2030年に行く、というあたりまではよいのだが、その後80万年後に
飛ばされたあたりから「サルの惑星」のような特撮ものになって
しまい何がなんだかよくわからんです。何がいいたいんだか。
原作を読み直してみよう。
2002/7/19
銀河帝国の興亡 1 風雲編
アイザック・アシモフ
創元推理文庫
高名な傑作を20年ぶりに再読。なんと1968年刊行の古本。
銀河帝国の滅亡とその後1万年に渡る混乱期を察知した天才
ハリ・セルダンが銀河の果てに設けたファウンデーションの物語。
大変よい。
2002/7/16
蟻の園
小松左京
ハヤカワ文庫JA
短編5つからなる短編集。
恒星間飛行から帰還した宇宙飛行士が退廃のすえ機械に
取って代わられた地球を見る「お茶漬けの味」がなかなか。長さからいうと中篇か。
2002/7/2
ウインクで乾杯
東野圭吾
祥伝社
ISBN4-396-32263
宝石が大好きなパーティ・コンパニオンの周囲で殺人事件が起こる。
チェーンをセロハンテープで貼り付けるという密室トリックは
納得いかない。引っ張ったら取れてしまうし。
全体的な雰囲気はなかなかよい。
2002/7/2
時の顔
小松左京
ハヤカワ文庫JA
短編集。巨大な円筒形の物体が大阪を中心に日本に落ちてきて
内部が外部と分断される「物体O」がおもしろい。
「首都消失」の原点のような作品。オチがSFでもなんでもないが。
2002年 6 月
2002/6/27
明日泥棒
小松左京
角川文庫
主人公が横浜公園で出会ったなぞの人物ゴエモンの超能力?が引き起こす
ドタバタ。全世界の爆発物の爆発を止めたり、ガソリン燃焼を選択的に停止したり。
ドタバタ劇が単なる冗談ではなくパニックものSFとして成立しているあたり
さすが。
2002/6/22
戦争はなかった
小松左京
新潮文庫
昭和49年出版の短編集。
突然主人公以外の人が2次大戦のことを忘れてしまう
「戦争はなかった」、日本が突然再度アメリカに戦争を仕掛ける
「4月の14日間」、終戦直前の怪事件を描く「くだんの母」と、
まだ戦争が濃い影を落とす短編が多い。
2002/6/22
狂気の沙汰も金次第
筒井康隆
新潮文庫
日刊連載されていたらしいエッセイ118篇。すべてに山藤章二のイラストがついている
という贅沢さ。
2002/6/17
見えないものの影
小松左京
角川文庫
1967年初出のジュブナイルSF。腕時計やテレビの中の部品が次々と盗まれる。
ネズミやゴキブリが何者かに操られて部品を盗んで怪しい機械を作っていた、
というお話。シンプル。
2002/6/13
ぼくは勉強ができない
山田詠美
新潮文庫
ISBN4-10-103616-0
「勉強はできない」がいい男である戸田秀美君の高校生活。短編集。
どんなに成績がよくたって女にもてないような男ならつまらない、という彼の主張は
まったくもっともだが、私は明らかに勉強はできるが女にはもてない男だからなあ。
ともあれこれは傑作。ほかのも読んでみよう。
2002/6/12
こうばしい日々
江國香織
新潮文庫
ISBN4-10-133912-0
アメリカ駐在員の息子ダイ(11歳)の日常を描く表題作と、
結婚した姉の昔の恋人を恋するみのりを描く「綿菓子」の2編が収められた短編集。
さわやか。
2002/6/10
探偵ガリレオ
東野圭吾
文春文庫
ISBN4-16-711007-5
帝都大学の物理学科助教授が怪事件のなぞを、科学の知識で?解き明かす。
ベタといえばベタな短編集。「冬のオペラ」の一作目と同じネタが使われていたり。
シリーズ第一作ということなので、今後も期待。
2002/6/9
フラミンゴの微笑み
スティーヴン・ジェイ・グールド
早川文庫NF
ISBN4-15-050267-6, ISBN4-15-050268-4
「ニワトリの歯」に続くエッセイシリーズ第4弾。「フルハウス」の議論が
こちらにも出ている、というかこちらを膨らませてあちらを書いたのだろう。
先日、残念なことに著者は亡くなったが、このシリーズは10巻まではあるらしいので
もうしばらくは楽しめそうではある。
2002/6/3
冬のオペラ
北村薫
中公文庫
ISBN4-12-203592-9
不動産屋に勤める主人公と、階上にオフィスを構える名探偵 巫弓彦。
短編集。表題作は哀しい。続編は期待できるか?
2002年 5 月
2002/5/28
覆面作家の愛の歌
北村薫
角川文庫
ISBN4-04-343202-X
覆面作家シリーズの2作目。3つの短編が収められている。
どれも、なかなか。読後感がよい。
2002/5/28
サザンクロス
パトリシア・コーンウェル
講談社文庫
ISBN4-06-264643-9
「スズメバチの巣」の続編。
ハマー署長以下3名がリッチモンドに移ってくる。
リッチモンドといえばスカーペッタだが、
このシリーズ3作目にあたる「女署長ハマー」にはスカーペッタが
出てくるそうだ。
スカーペッタのシリーズよりは読後感はよいのだが、
なんかしまらないというか。
2002/5/25
まぼろしの21世紀
小松左京
集英社文庫
文庫未収録の短編、ショートショートを集めたもの。
落穂ひろいという感じでかなりいまいち。
2002/5/23
90年代SF傑作選 下
山岸真 編
ハヤカワ文庫SF
ISBN4-15-011395-5
グレッグ・イーガンの「ルミナス」がさすが。
公理系同士のせめぎあいという数学系ネタをわかりやすく仕上げている。
ルミナスという計算機の設定も面白い。
2002/5/13
90年代SF傑作選 上
山岸真 編
ハヤカワ文庫SF
ISBN4-15-011394-7
「キリヤンガ」のマイズ・レズニックによる「オルドヴァイ峡谷七景」、
スターリングの「80年代サイバーパンク終結宣言」がよい。
2002/5/12
悪霊論
小松和彦
ちくま学芸文庫
ISBN4-480-08333-2
「異人論」の続編にあたる論考集。
さまざまな物語の起源として、憑依された憑子が語った物語から
その経緯が欠落していく過程を考えており興味深い。
2002/5/11
フルハウス 生命の全容 四割打者の絶滅と進化の逆説
スティーヴン・ジェイ・グールド
早川書房
ISBN4-15-208178-3
地上の生命体には複雑化という「トレンド」がある、という広く信じられた
説を、大リーグにおける四割打者が出なくなっていることと絡めて論じている。
地上の生命体の中心は今も昔も一貫してバクテリアであり、
人類などは母集団の増大によって必然的に発生した周縁部に過ぎない、
としている。
化学反応をベースにするバクテリアが地中の岩石中にたくさんいる、
というのも驚き。
しかし、この人野球好きなんだなあ。
2002/5/9
異人論
小松和彦
ちくま学芸文庫
ISBN4-480-08218-2
異人殺しのモチーフを中心に論じた民俗学の論考集。
「猿婿殺し」の話も興味ぶかい。
「こんな晩」は怖い。
2002/5/8
首都消失
小松左京
ハルキ文庫
ISBN4-89456-402-5,ISBN4-89456-403-3
映画化もされた作品。東京の上空に半径30Kmの雲が現れて
16号の内側を覆って、内部との通信がたたれてしまう。
首都であり生産拠点でもある東京を失って、日本は混乱する。
結局、雲が何なのかは解き明かされることもなく、突然現れた
時と同様に消えてなくなる。
基本的に、地震などで首都機能が完全に失われた場合のシミュレーション作品
なのだろう。さすがに詳しく書かれているのだが、日本沈没と比べると
スケールの小ささが目立つ。映画は見ていないが、評判はよくないみたい。
「壁」のできたところにも家はあったはずだし、人もいたはずだが
そういう人たちはどうなったんだろう?
2002/5/1
天狗風 霊験お初捕物控 <二>
宮部みゆき
講談社文庫
ISBN4-06-273257-2
時代劇なのに超能力ホラーものという不思議なシリーズ。
「震える岩」の続編。
江戸の町で二人の娘が突風とともに消える事件がおき、
「御前様」の依頼を受けたお初が調査に乗り出す。
宮部みゆきだからつまらないはずもないのだが、
なんかいまいち。ちょっと劇的すぎるのかもしれない。
2002年 4月
2002/4/30
龍は眠る
宮部みゆき
新潮文庫
ISBN4-10-136914-3
雑誌記者の主人公は台風の夜にテレパスの少年と出会う。
主人公にはかつての婚約者にも言及した脅迫状が届いていた。
そしてかつての婚約者が誘拐される。
サイキックがでてくるのだから、SFに分類されてもおかしくないはずなのだが、
まったくそういうテイストを出さずに仕上げてくるのがさすが。
唖者のヒロインがたまたま声が出ないのと同じように、
たまたま人の心が読めるだけ、というスタンスなのだろう。
よい。
2002/4/26
続 科学の終焉 未知なる心
ジョン・ホーガン
徳間書店
ISBN4-19-861170
さまざまな科学のジャンルが行き詰っており、これ以上大きな発見は
起きないだろうと主張した前著「科学の終焉」の続編。
科学者へのインタビューとサーベイを中心にした構成は同じだが、
テーマは人工知能や心理学などの人間の知能と心に関するものに絞られている。
「意識とは何なのか」はひょっとしたら永遠にわからないのかもしれないが、
だからといって、意識を持つ人工知能が作れないとも思わない。
なんとかなってほしいものだ。
2002/4/23
R.P.G.
宮部みゆき
集英社文庫
ISBN4-08-7473490-X
ネット上に擬似家族を持つ男性とその愛人が殺害される。
容疑者となった擬似家族のメンバーが警察に呼ばれ、
男性の一人娘が面通しをする
基本的に取調室の中だけで話が進むので、舞台劇によさそうな話。
宮部みゆきらしくさすがに緻密なつくりですばらしいのだが、
救いがなく読後感がちょっと悪い。
2002/4/18
妖怪変化
常光徹 編
ちくま新書
ISBN4-480-05798-6
日本民俗学会50周年記念事業として発表された論考集。
股のぞきや、怪獣に関する論考が興味深い。
2002/4/17
鳥人計画
東野圭吾
新潮文庫
ISBN4-10-139521-7
天才スキージャンパーが毒殺される。その背後には「科学的」に
ジャンプをコピーしようという計画があった。
さすがにスポーツ科学をよく調べて書いているので、それだけでも興味深い。
平成元年に初出の作品なのだが、このころにはまだV字ジャンプは一般的で
なく、最後にちょっと言及されているだけ。
2002/4/16
神隠し
小松和彦
弘文堂
ISBN4-335-57046-5
「神隠し」という現象に関する民俗学的論考。
だれかがなんらかの理由で行方不明になったときに、
それを説明することで内側の世界に安定を取り戻す装置であり、
行方不明になった人間が帰ってきた際にその人間に説明責任を負わせない
「やさしい」システムということなのだろう。
若人あきらが行方不明になったのは、やはり「神隠し」というにふさわしかったわけだ。
2002/4/15
猫は殺しをかぎつける
リリアン・J・ブラウン
ハヤカワ文庫HM
ISBN4-15-77201-0
シャム猫ココと新聞記者クィラランが殺人事件に巻き込まれるシリーズ。
昔の恋人が殺されたり、前の晩に一緒に食事した若者が殺されたり
しているのに、あまり感情的に動揺しない主人公はどうかとおもうぞ。
2002/4/11
同級生
東野圭吾
講談社文庫
ISBN4-06-263342-6
「放課後」とちょっと似た雰囲気の学園ものミステリー。
同級生が交通事故で亡くなる。さらに事故現場にいた生活指導の女教師が
絞殺体で発見される。
なかなかすばらしいが、さわやかな締めがなんか納得いかない。
死んだ彼女はどうなるんだい。
2002/4/4
鬼女の鱗 宝引の辰捕者帳
泡坂妻夫
文春文庫
ISBN4-16-737806-X
よくある捕り物帳の短編集なのだが、宝引の辰が主役の話は一本だけ。
一つ一つ別の登場人物の一人称で書かれているのが面白い。
さらに、その一人称のままで、
「当時の盛り場といいますと」などと、読者に対して
説明を始めてしまう。なんか落語を読んでいるみたい。
2002/4/4
12のアップルパイ
筒井康隆 編
集英社文庫
ISBN4-08-749186-2
遠藤周作、吉行淳之介、新田次郎、野坂昭如などなどと
そうそうたるメンバーのユーモア短編を集めたアンソロジー。
さすがにみなさん文が達者で、それぞれ文体が異なるのでそれだけでも楽しめる。
2002年 3月
2002/3/30
とりかえっ娘。
「ナマタマゴ」同様に、つんくのTV番組の企画で作られた映画。
「ナマタマゴ」に出ていた4人以外が出演。
ウゴウゴルーガを2時間に引き伸ばしたようなどたばた。
「ケセラセラ」と書いてある掛け軸はなかなかよい。
2002/3/27
戦う将棋指し
別冊宝島編集部編
宝島社文庫
ISBN4-7966-1595-4
棋譜を使わずに、棋士のインタビューやアンケートなど字だけで構成された
将棋界の解説?個々のエピソードは面白いが
なにしろ私が何も知らないのでいまいち楽しめず。
勉強せねば。
2002/3/24
封印再度 WHO INSIDE
森博嗣
講談社ノベルズ
ISBN4-06-282959-3
親子二代の仏画師が密閉された蔵の中で刺殺される。
いずれの場合にも現場には「無我の匣」と「天地の瓢」と呼ばれる
箱とその鍵の入ったつぼが残されていた、というミステリ。
犀川助教授と西之園萌絵のSMシリーズ。
コアとなるトリックはこの壷と鍵と箱なのだが、トリックの
ためのトリックという意味では、
「サウナ風呂の中で氷のナイフで刺し殺す」というのと
大差ないのではないかという気もする。
XXX金属って人を刺殺できるほど硬いんだろうか。
2002/3/21
仮面山荘殺人事件
東野圭吾
講談社文庫
ISBN4-06-185966-8
婚約者を事故でなくした主人公が訪れた婚約者の親族の別荘に、
強盗犯が立てこもり、婚約者の事故の真相が暴かれる。
事故のトリックと、別荘での出来事のトリックが多重になっていて
おもしろい。
2002/3/21
真剣師 小池重明
団鬼六
幻冬舎アウトロー文庫
ISBN4-06-87728-459-1
天才アマチュア棋士小池重明を、
パトロン的立場で支えたあの団鬼六が描いている。
小池重明のちょっと考えられないほど破滅的な生き方が非常に印象的。
夢枕獏の「獅子の門」に出てくる久我重明の名は、小池重明から
とられたのではないだろうか。
2002/3/20
恋恋蓮歩の演習 A Sea of Deceits
森博嗣
講談社ノベルズ
ISBN4-06-182183-0
豪華客船で人が行方不明になると同時に、絵が消える。
タイトルの意味がわからん。
かなり登場人物が多くてよくわからないと思っていたら、
実はVシリーズというシリーズの6作目らしい。
シリーズを追ってないから、
登場人物への感情移入ができなくて読みづらかったのかも。
2002/3/17
ロード・オブ・ザ・リング
「指輪物語」の「旅の仲間」の映画化。予習したおかげでなかなか楽しめたが、
読んでないと苦しいのではないだろうか。3時間と長いが、
息も着かせぬ展開。見終わるとかなり疲労している。
映像がとにかくきれいなので、大画面で見てよかった。
どうやって作った絵なのか見当もつかない部分が山盛りなので、
是非メイキングも見てみたい。
2002/3/16
放課後
東野圭吾
講談社文庫
ISBN4-06-184251-X
東野圭吾のデビュー作にして乱歩賞を受賞作である青春推理物。
生活指導の教師が更衣室で殺され、
アーチェリー部の顧問である主人公も命を狙われる。
しんばり棒を使った密室トリックもさることながら、
密室トリックを使う必然性が提示されているところがさすが。
2002/3/15
闇の中の系図
半村良
角川文庫
日本の歴史の背後で暗躍していた嘘を生業とする一族「嘘部」が
現代によみがえり、物質瞬間移動という大嘘を演出する。
物質瞬間移動のほうはともかく「嘘部」という「嘘」はすばらしい。
続編があるそうなので、見つけられたら読んでみよう。
2002/3/10
ベトナム観光公社
筒井康隆
ハヤカワJA
「最高級有機質肥料」がすごい。表題作もベトナム戦争を実際にやっている最中に
書いたというのがすさまじい。
2002/3/7
地球へ…
竹宮恵子
ISBN4-12-202239-8,202230-1,202241-X
中公文庫コミック版
むかーしアニメ化もされたことのある傑作を文庫本で再読。
設定は今となってはかなり陳腐にも思えるが、
それでもやっぱりすばらしい。
アニメはダカーポが歌っていた主題歌もすばらしかったが、DVDとか
でないかな。
2002/3/7
群狼の島
船戸与一
ISBN4-19-599496-9
徳間文庫
華僑に依頼されて、マダガスカル島北部のソ連のレーダ基地爆破を請け負う
日本人3人の話。いわゆる、ハードボイルド。
空手が一撃必殺で、ほんとに一発で死んだりしているあたりがなんとも。
2002/3/5
獅子の門 朱雀編
夢枕獏
ISBN4-334-07457-X
光文社
餓狼伝とならぶ夢枕獏の格闘もの。なんと14年ぶりの新刊。まさか出るとは思わなかった。
挿絵、表紙を板垣恵介が書いている。
4巻目にあたる。3巻まではUWFのころなのでそういう流れだったが、
この巻ではグレイシーの衝撃を咀嚼した内容となっている。
なぜか餓狼伝の漫画版に出てくる久我重明は、もともと獅子の門のキャラ。
板垣恵介の久我重明は巨人の松井がモデルだそうだ。なるほど。
最近餓狼伝が全然でないのは、こっちを書いていたからなのだろうか。
2002年 2月
2002/2/17
指輪物語 旅の仲間 上1
J・R・R・トールキン
ISBN4-556-02362-1
評論社
映画もやるということで、いまさらながらの指輪物語。
昔は6巻構成だったものが、あまりに字が小さいということで、
分冊されて9巻構成になったっため「上1」などということになったらしい。
紙がよい分、厚さの割にはページ数が少ない。
どうもスメヤゴル(ゴクリ)が活躍するのは、この話に先立つ
「ホビットの冒険」のほうらしい。
そちらを先に読んだほうがいいのかも。
話は、村を出発するところまで。翻訳の格調高くてすばらしい。
2002/2/16
ダリの繭
有栖川有栖
ISBN4-04-191301-2
角川文庫
ダリを模した髭で有名な宝石商の社長がフロートカプセルの中で
死んでいるのが発見される。
いわゆる新本格で、トリックのためのトリックという感じは
かなり強いが、主人公や被害者も含めた登場人物がよく書き込まれており、
なかなかよい。
2002/2/15
毒笑小説
東野圭吾
ISBN4-08-747013-X
集英社文庫
「怪笑小説」と同じく冗談小説の短編集。
筒井康隆に通じるものがあるかも。
京極夏彦との対談が最後に収められている。
京極夏彦の「どすこい」を読まなければ。
2002/2/13
アクロイド殺人事件
アガサ・クリスティ
角川文庫
有名なトリック?が使われているあれ。
こういうトリックは、誰かが一度使ったらもう誰も使えない。
先行者利益というか。東野圭吾の「悪意」なんかは、
このトリックをうまく変形させていると言えなくもないか。
2002/2/12
犯人のいない殺人の夜
東野圭吾
ISBN4-334-71826-4
光文社文庫
短編集。東野圭吾らしい短編が多く、なかなかよい。
とくに冒頭の「小さな故意の物語」がよい。
2002/2/8
殺人現場は雲の上
東野圭吾
ISBN4-334-71563-X
光文社文庫
2人のスチュワーデス、エー子とビー子を主役とした連作集。
読後感はよいが、軽い。
2002/2/8
アレフの彼方
グレゴリイ・ベンフォード
ISBN4-15-010591-X
ハヤカワ文庫SF
ガニメデに昔からいるらしいなぞの巨大機械であるである「アレフ」と、
それを狩るガニメデの開拓者たち。なんか「白鯨」か「老人と海」か、という
感じ。アレフの謎は謎のまま。
2002/2/7
天使の耳
東野圭吾
ISBN4-06-263016-8
講談社文庫
交通警察をテーマにした短編集。なかなかよい。
2002年 1月
2002/1/30
アダムの裔
小松左京
新潮文庫
短編集。最後の「汚れた月」なんぞ、完全に純文の世界である。
12歳以上になると、別世界に送られてしまう「お召し」もなかなかよい。
2002/1/22
全日本食えばわかる図鑑
椎名誠
ISBN4-08-749455-1
集英社文庫
スピリッツに連載していたという、食に関するショートエッセイ集。
わたしとテイストが似ているかも。
冷たいご飯に冷たい味噌汁をかけて食べるのは本当においしい。
沢野ひとしという、「怪しい探検隊」に出てくる人が
1話ずつすべてに挿絵を書いているのだが、これがなかなかシュールでよい。
2002/1/18
陰陽師 龍笛の巻
夢枕獏
ISBN4-16-320610-8
文芸春秋
いつもどおりの陰陽師。とても好きなのだが、ワンパターンはワンパターンである。
むしめずる姫の式神はどうなったのだろう。野村萬斎の映画も見に行きたいものだ。
2002/1/16
ふたり
赤川次郎
ISBN4-10-132718-1
新潮文庫
大林宣彦(石田ひかり、中嶋朋子主演)の映画の原作。
この尾道で撮られた映画がすごく好きだったし、あまりにイメージが
残りすぎているので冷静に評価できないが、小説もかなりよい。
赤川次郎を読むのは実ははじめて。
あまりに多作なので質は低いだろうなどという偏見をもっていたのだが、
なかなかどうして。あれだけ売れるのにはそれなりのわけがあるということか。
2002/1/15
哀しき檸檬色の密室
吉村達也
ISBN4-04-178915-X
角川文庫
「三色の悲劇」シリーズ第2弾。上司のセクハラを告発していた女性社員が
アパートで殺される。床には100個もの檸檬がばらまかれていた。
例によって感情移入できないキャラは置いておいても、
あとから破ったという窓の破片が床じゅうに敷き詰められていた檸檬の上に
ひとつものらなかったのか?という疑問がのこる。
結局この事件の犯人はつかまらないまま、3作目につづいてしまう。
こいつ3作目でも2人殺して放し飼いだし。
推理小説というのは、犯行のトリックだけでなく、
いかに犯人がつかまるか、というところまで見せるものだと思うのだが。
2002/1/15
私的メコン物語 食から覗くアジア
森枝卓士
ISBN4-06-264673-0
講談社文庫
「美味しんぼ」にも登場するカレー大王のメコン川流域のルポ。
ただの食いしん坊ジャーナリストだと思っていたが、実は
水俣出身で戦場カメラマンを目指していたとは。
この本にはレシピが載っていなくて残念。
ベトナム行きたいなあ。
2002/1/14
名探偵の呪縛
東野圭吾
ISBN4-06-263349-3
講談社文庫
「名探偵の掟」という短編集の主人公をつかった長編。
ミステリー作家である主人公が本格推理という概念の無い世界に、
名探偵天下一として紛れ込んでしまう。
いわゆる「本格推理」というものを最近書かなくなった作者の
本格への懐古を表した作品なのだろう。
「本格推理」自体が悪いとは言わないが、トリックだけしか見るべきものが
無いような小説は、私はいやだなあ。
2002/1/11
美しき薔薇色の殺人
吉村達也
ISBN4-04-178914-1
角川文庫
「三色の悲劇」シリーズ第一弾。私小説作家のまわりで次々と
殺人が起こる。3作目の
瑠璃色では
450ccになっているシルバー号は、こちらでは400cc。ノーマルである。
この人の作品には、感情移入できる人が一人も出てこない。探偵役も
関係者もすべて造形が薄っぺら。でもそれなりに人気があるらしいから不思議だ。
私は50円の古本でなかったら絶対に買わない。
2002/1/10
返事はいらない
宮部みゆき
ISBN4-10-136913-5
新潮文庫
短編集。表題作のほか、「火車」の原型といわれる「裏切らないで」、
「ドルネシアにようこそ」「言わずにおいて」「聞こえていますか」
「私はついてない」。いずれもすばらしい。
2002/1/5
ナマタマゴ
つんくのTV番組の企画で作られた映画。モーニング娘。の4人(飯田、矢口、後藤、辻)が
出演。結構暗くて救いが無い。補導員役の仲本工事がなかなかいい味出している。
いかりや長介のように性格俳優になれるかも。
2002/1/4
わしらは怪しい探検隊
椎名誠
ISBN4-04-151001-5
角川文庫
離島にテントを担いで出かけ自炊する
なぞの集団「東日本何でもケトばす会」(略称「東ケト」)に
関するエッセイ集?
実は続編が5まででているらしい。
昔読んだときに、「ちゃんこと豚汁とカレー」の作り方は
ほとんど同じ、というあたりに感銘を受けたものだが、
普通豚汁をつくるときにたまねぎをいれるだろうか。
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