2013年9月30日月曜日

1枚のかみでおる おりがみ むしむし昆虫園

1枚のかみでおる おりがみ むしむし昆虫園 山田 勝久 ISBN4416307020 誠文堂新光社

ムシ作品を集めた折り紙の本。 これまで特に本格折り紙を嗜んだことのない身には難しい。 説明もこれ以上書けないぐらい丁寧に書いてるつもりなんだろうなあ、とは 思うのだけど、やっぱりわからない。

それでもクワガタやらカブトやらを作らされたり。 真剣にやっても30分位かかる。。恐るべしおりがみ。

1枚のかみでおる おりがみ むしむし昆虫園
山田 勝久
誠文堂新光社
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2013年9月29日日曜日

からくり民主主義

からくり民主主義 高橋 秀実 ISBN4101335540 新潮文庫

様々な問題を、紋切り型の2項対立に落としこむことなく一緒に悩む、というスタイルのルポ。 テーマは、沖縄の基地、諫早湾干拓、若狭湾の原発、頚椎損傷バスケ、小さな親切運動、茅葺き屋根、 統一教会などなど。 どれも表層的には簡単だが、よく見てみると、どう考えたらいいのかわからない。 実際、世界の殆どの問題はそうなんだよな。

解説を村上春樹が書いている。著者は「はい、泳げません」「やせれば美人」の人。面白い。

からくり民主主義 (新潮文庫)
高橋 秀実
新潮社
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2013年9月23日月曜日

ジェネラル・ルージュの凱旋

ジェネラル・ルージュの凱旋 海堂 尊 ISBN4796667679, 4796667695 宝島社文庫

「チーム・バチスタ」のシリーズ、3作目。 時系列としては「ナイチンゲール」とまったくの同時進行。もともと1つの話として 書かれていたのだが、編集者の意見をいれて2つに分けたのだとか。 たしかに一つの話になっていたらわけわからなかっただろう。

ジェネラル・ルージュの異名をとる救命センターの速水助教授が業者から収賄しているとの 告発が田口のもとに届けられる。あっさりと疑惑を認める速水だが、告発したのは 一体誰なのか。

倫理委員会がひどすぎて笑えない。こういう組織ってほんとにたくさんあるよね。 黒崎教授がいいところを持って行った。

ジェネラル・ルージュの凱旋(上) (宝島社文庫)
海堂 尊
宝島社
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ジェネラル・ルージュの凱旋(下) (宝島社文庫)
海堂 尊
宝島社
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ワーキングプア 日本を蝕む病

ワーキングプア 日本を蝕む病 NHKスペシャル『ワーキングプア』取材班 ISBN4591115453 ポプラ文庫

2006年に放送されたNHKスペシャル2回を書籍にまとめたもの。 なんというか絶望的である。

持ち家があると生活保護が受けられない、というのがかなり 面倒な要件になっているようだ。 死後は家を現物で摂取することを条件に生活保護条件を緩和するとか 簡単にできそうなんだがなあ。。

福祉の設計は国家の根本なので、厚生省や財務省だけがやるような話じゃないと思うんだが、 どうなってるんだろう???

ワーキングプア 日本を蝕む病(ポプラ文庫)
NHKスペシャル『ワーキングプア』取材班
ポプラ社
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2013年9月16日月曜日

Gene Mapper -full build-

Gene Mapper -full build- 藤井 太洋 ISBN4150311072 ハヤカワ文庫JA

コンタクトレンズや体内に埋め込んだフィードバックチップを用いた拡張現実が一般化し、 スクラッチから遺伝子的に設計された「蒸留作物」で世界の食が支えられている未来。 かつてのインターネットは検索プログラムの暴走によって接続されたすべてのノードのOSが 上書きされ、その時点以前の情報は特殊なサルベージ技術を持つ業者を使わないと得られなくなっている。

「スタイルシート」をいじって蛍光ロゴを畑に描くたぐいの遺伝子改変を請け負うデザイナーである 主人公林田のところに、彼の手がけた「マザー・メコン」プロジェクトで生じた異変の調査が エージェント黒川より持ち込まれる。 サルベージ業者であるキタムラとの共同調査のためにホーチミン入りした黒川と柳田は、 さらにマザー・メコンへ調査に向かい、イナゴが異変の原因であることを突き止めるが、 背後には蒸留作物に反対する自然保護派が。

展開の速さで一気に読ませる。大変面白かった。 米軍軍用スーツの意味不明な感情制御機能も面白い。 しかしここまで拡張現実が普及したところでの、映像報道ってどういう位置づけになるんだろう? と言うか、カメラ必要なの?? あと、デバッグビルドだからといって、SDKがまるまる入っていることは普通はないよな、など。

現代の技術用語がちょとひねって使われていて雰囲気を出しているのだけど、 終盤でハッシュ値からブルートフォースで元のプログラムを復元、というのは ちょっと。もしかしたらわかっていて書いてるのかもしれないけど、情報に関する基本的な素養の欠如 を疑われるので、こういうのはやめたほうがいいと思う。 大昔あった、マシン語のダンプを縦横のチェックサムだけから復元できないか、という笑い話を思い出した。

Gene Mapper -full build- (ハヤカワ文庫JA)
藤井 太洋
早川書房
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螺鈿迷宮

螺鈿迷宮 ISBN4041009170 角川書店

「桜宮サーガ」を構成する一作。東城医大病院と対をなし、先進的な終末期医療で知られる桜宮病院は、 地方の検死解剖を一手に引き受けてもいたが、 バチスタスキャンダルの煽りをくらって閉院間近となっていた。 この桜の宮病院に取材に行ったきり消息を絶ったチンピラの調査を頼まれた 落ちこぼれ医学生天満大吉は、ボランティアとして潜入するが、 同様に潜入していた姫宮の手で怪我人となり入院することに。。 次々に亡くなり即座に解剖される患者たちの死は自然死なのか?

終末期医療、自殺サイト、オートプシー・イメージングなどの問題を織り込みながら エンターテイメントとして仕上げているのはさすが。ただ、この話はちょっと プロットが複雑すぎるかなあ。。 完全な傍観者と思っていた主人公が実は本人の知らぬ間に深く関わっていた、という どんでん返しにはびっくりした。

なんか2014年にドラマ化するみたいだけど、天馬くんは出てこず、田口先生がでてくるみたいなので、 また換骨奪胎なのだろうなあ。 白鳥が仲村トオルっていうのはどうなんだろう?年齢的にも狂気的にもあってないような気がするんだけど。 田口先生をやったほうがまだしっくり来るような。

新装版  螺鈿迷宮 (角川文庫)
海堂 尊
角川書店 (2013-07-25)
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天下りシステム崩壊―「官僚内閣制」の終焉

天下りシステム崩壊―「官僚内閣制」の終焉 屋山 太郎 ISBN4759310215 海竜社

2008年の夏に発行された本。民主党政権誕生の前年で、公務員改革にまだ希望があったころ。 この後に起こったことは「官僚のレトリック」に書かれている。オチを先に読んじゃってる ようなものなので、読んでいてしらける。こっちを先に読むべきだった。

2冊読んで思うのは、巨大システムの持つ慣性の恐ろしさ。 相応のトラブルを覚悟の上で、トップダウンでやるしかないのだけど、 そういうの日本人はすごく苦手だからなあ。。もうダメかもしれんね。

天下りシステム崩壊―「官僚内閣制」の終焉
屋山 太郎
海竜社
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IDの秘密 (丸善ライブラリー―情報研シリーズ)

IDの秘密 (丸善ライブラリー―情報研シリーズ) 佐藤 一郎 ISBN4621053809 丸善出版

NIIの佐藤一郎先生による、一般向け入門書。 NIIでは市民講座なるものをやっておりそれをまとめたものを出版するという 趣旨なのだそうだ。印税なし、というのはびっくり。。この本はそれなりに売れてそうなのに。 うちの職場でもなんか書かされたけど印税でなかったけど、あれは全然売れなかっただろうからなあ。

内容はIDそのものの考え方から、バーコードの実装、SUICAなどの電子タグの実装、 IDの二次利用など。 平易に書かれていてわかりやすいが、若干食い足りない部分も。本の趣旨からすれば当然だけど。

あと、当然もう気づかれてると思うけど、耐ダンパーではなくて耐タンパー性、ですよね。

IDの秘密 (丸善ライブラリー―情報研シリーズ)
佐藤 一郎
丸善出版
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2013年9月8日日曜日

官僚のレトリック―霞が関改革はなぜ迷走するのか

官僚のレトリック―霞が関改革はなぜ迷走するのか 原 英史 ISBN4103251514 新潮社

民主党への政権交代前、自民党政権下で進んでいた 公務員制度改革がどのように進み、どのように失敗したかの 証言。著者は経産官僚で、自民党政権時に行革大臣補佐官を つとめた人物。

発行は2010年5月。3年経ったがその後も公務員改革は 絶望的に進んでない。前回はかなり熱心だった安倍政権だが 今回は目立った動きが無いのはなんでなんだ。 そんなことをやっているだけの余裕が無いのかもしれないし、 渡辺喜美がいないせいなのかもしれない。

制度全体の設計を変えずに天下りを取り締まるのはたしかに 無理がある。しかし全体の制度を変更するには、明治維新か 敗戦並みの出来事がないと無理なんだろうなあ。

善意の有能な人間がそれぞれの立場で全力を尽くした結果、 全体としてはまったくおかしな方向に行ってしまう現在の システムは明らかに間違ってるんだが。。

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2013年9月4日水曜日

神は妄想である―宗教との決別

神は妄想である―宗教との決別 リチャード・ドーキンス ISBN4152088265 早川書房

「利己的遺伝子」のドーキンスは、 生物は何らかの知的存在(ようするに神様なのだけど明言しない ことで教育現場への浸透を図る)によって設計されているとする Intelligent Design派との戦いでも知られるが、 この本はさらに一歩進んで、全宗教に喧嘩を売っている。

宗教、というか人格神を信じてしまうのは、人間が長上の言葉を信じるように進化した 単なる副産物であり、枯れ木が幽霊に見えるようなたぐいの 錯覚、妄想にすぎないとする。 さらに聖書の内容が現代の視点からみていかに異様なものか、 宗教の名のもとに行われる所業がいかに世界に悪をなしているかを 微に入り細を穿ち議論している。

われわれ無神論者にとってはなんら意外な内容ではないが、 これは相当議論をよんだんではないだろうか。 キリスト教原理主義者に暗殺されないか心配になるくらいだ。

しかし、いくら言葉を尽くしても信者がこの本で意見を変えてくれるとは思えない のがまた苦しい所。。。

回転運動を持つ生物が出てくるファンタジーとして「ライラの冒険」が 上げられているが、日本では石原藤夫の「ハイウェイ惑星」で提案されている。 滅亡した先駆文明が築いた自己修復機能を持つ高速道路網が展開された惑星 で新たに進化した生物が回転構造を獲得する。と言っても車輪は共生する 別の生物で、本体の手足が車軸となって、そこに環形生物が車輪として 共生し、共進化している。ライラのほうは2000年発刊だがこちらは1965年だぞ、 ということを だれかドーキンスに教えてあげてください。

神は妄想である―宗教との決別
リチャード・ドーキンス
早川書房
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