2013年5月31日金曜日

Cinematrix: 伊藤計劃映画時評集2

Cinematrix: 伊藤計劃映画時評集2 伊藤 計劃 ISBN415031103X ハヤカワ文庫JA

夭逝したSF作家伊藤計劃がブログに書き残していた映画評集の2。 俎上に上がっているのは、 M:I-2、インビジブル、スペース・カウボーイ、ダンサー・イン・ザ・ダーク、 アヴァロン、回路、ザ・セル、ハンニバル、スターリングラード、スパイ・ゲーム、 ブラックホーク・ダウン、WXIII、パニック・ルーム、マイノリティ・リポート、 ボーン・アイデンティティー、ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔、リベリオン、 ハンテッド、マトリックス・リローデッド、ターミネータ3、ラスト・サムライ、 イノセンス、腹腹時計。 私が見たことがあるのは「指輪」と「イノセンス」だけかな。 もっと見ないとなあ。。なにしろ映画はほとんど飛行機の中でしか見ないからな。。 それなりの数をみてるのだけど、飛行機の中だと重い映画は見る気がしないので、 どうしても軽いアクションかラブコメになってしまうので、この本にでてくるような 映画は避けてしまってるのかも。ちなみに指輪もイノセンスも映画館で見た。

レビューの視点が独特で面白い。同意できないこともたくさんありそうだけど、 そうじゃないと面白くない。

「腹腹時計」にはおどろいた。低予算で撮った実験的?な作品を、 公民館などの会場を半ば騙す形で、ゲリラ的に上映している、という。 そんなアナーキーなことをやっている人間が日本にいたとは。 まだまだ日本も捨てたもんじゃない、などと思ったり。

Cinematrix: 伊藤計劃映画時評集2 (ハヤカワ文庫JA)
伊藤 計劃
早川書房
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2013年5月29日水曜日

珍世界紀行 ヨーロッパ編―ROADSIDE EUROPE

珍世界紀行 ヨーロッパ編―ROADSIDE EUROPE 都築 響一 ISBN4480426396 ちくま文庫

SPAの連載をまとめたもの。 ヨーロッパのさまざまな怪しい博物館をめぐった本。全ページカラーなので文庫本なのに1800円もする。 拷問系がやっぱりすごい。人骨で室内を装飾したカタコンベ系も強烈。 ヨーロッパの人々は骨になんの思い入れもないのね。 たしかパリでこの系統のに入ったことがあるような気がする。

蒐集ということに関する欲求が日本人とは本質的に違うんだなあ、という感じ。 同じ作者の珍日本紀行というのもあるらしい。きっと脱力系だろう。機会があったら読んでみよう。

珍世界紀行 ヨーロッパ編―ROADSIDE EUROPE (ちくま文庫)
都築 響一
筑摩書房
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役に立つ一次式 整数計画法「気まぐれな王女」の50年

役に立つ一次式 整数計画法「気まぐれな王女」の50年 今野 浩 ISBN4535591571 日本評論社

線形計画法という「皇帝」を父とし、非線形計画法という「将軍」を兄にもつ、 気まぐれな「王女」整数計画法の発展を追いかけた追いかけた、「本邦初の応用数学ドキュメンタリー」だそうだ。 文章がうまく、引き込まれる。数学の内容も(全然わからないなりに)なんとなくわかった気にさせてくれるし。

以前少しだけご一緒させていただいた小島政和先生や、藤沢先生がでてきたのでびっくり。

2013年5月28日火曜日

氷上の光と影―知られざるフィギュアスケート

氷上の光と影―知られざるフィギュアスケート 田村 明子 ISBN410134731X 新潮文庫

私のフィギュアスケートに関する知識は川原泉の「銀のロマンティック…わはは」(1986)で止まっていたので 読んでみた。グランプリシリーズとか新採点方式とか、色々変わっててびっくり。

一番笑ったのは、松岡修造が観客席から「村主!光を放て!」ので集中力が切れそうになった、という話。 なんとも迷惑な。。。

ケリガン襲撃事件の顛末も面白い。この事件もそうだけど、北米のメディアが競技におよぼす悪影響 はなんとかしないといけないんじゃないかねえ。

そういえばケリガンを襲撃した方のハーディングをモデルにしたキャラクターが、安永航一郎の「スパルタカス」に出てたなあ。。。 Wikipediaによるとプロボクサーになってるんだそうな。。

氷上の光と影―知られざるフィギュアスケート (新潮文庫)
田村 明子
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僕の好きな時代、僕の好きなクルマたち〈2〉イタリア車

僕の好きな時代、僕の好きなクルマたち〈2〉イタリア車 いのうえ こーいち ISBN4777901742 エイ文庫

写真たっぷりのエッセイ集。(1)は日本車らしいがこちらはイタリア車特集。 やっぱりミウラとストラトスがいいなあ。

今になってみると、 スーパーカーブームの時には、全然ピンとこなかった、フェラーリのデイトナがけっこう かっこ良く見える。 逆に、365は完成度が低く見えるなあ。

僕の好きな時代、僕の好きなクルマたち〈2〉イタリア車 (エイ文庫)
いのうえ こーいち
エイ出版社
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2013年5月27日月曜日

実践 コンピュータビジョン

実践 コンピュータビジョン Jan Erik Solem ISBN4873116074 オライリージャパン

基本的な画像処理をPython を使ったコードを示して解説。 特徴量を抽出して画像の対応点をみつけて、パノラマを作成するなど、おお、という感じ。 ステレオ画像からの奥行の推定、画像のクラスタリング、ビジュアルワードを用いた画像の検索、 機械学習を用いた画像の認識、グラフカットによる領域分割など。 10章はOpenCVをPythonから用いる方法を述べている。

各アルゴリズムの詳細が無いのが残念だが、その分(書名どおり)実践的な内容となっているということか。 20年前、CG関係のバイトをやっていた頃にこんな本があれば、もっと色々できたのになあ。。

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100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影

100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影 春日 真人 ISBN410135166X 新潮文庫

ポアンカレ予想を解いたにもかかわらず、フィールズ賞を辞退し隠遁したロシア人数学者 を追ったNHKスペシャルのディレクターによるドキュメント。 大変に面白かった。まあ、全然わからないのだけど、ペレリマンのアプローチが なにやら特殊だったということはなんとなくわかったようなわからないような。

しかし専門家が複数人がかりで証明を追うだけで1年半かかるっていったい。。

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2013年5月13日月曜日

黒き計画、白き騎士: 時間結社〈カンパニー〉極秘記録

黒き計画、白き騎士: 時間結社〈カンパニー〉極秘記録 ケイジ ベイカー ISBN4150118841 ハヤカワ文庫SF
同じ世界を描いた短篇集。広い意味ではタイムパトロールものになるのかな? どちらかというと取り締まられる側のような気もするが。
さまざまな時代に、不老不死に改造されたエージェントを配備し、その時代固有の物品を集めることで 巨万の富を築いている秘密結社「カンパニー」。あらゆる秘密結社は、カンパニーの隠れ蓑なのだ! という設定のシリーズ。 不老不死のエージェントが周囲に怪しまれないよう、時々失踪したりするのが面白い。 作者は既になくなっているようだが、書きためたものがありそうなので、続編が出ると嬉しい。
黒き計画、白き騎士: 時間結社〈カンパニー〉極秘記録 (ハヤカワ文庫SF)
ケイジ ベイカー
早川書房
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2013年5月7日火曜日

乱鴉の島

乱鴉の島 有栖川 有栖 ISBN4101204365 新潮文庫
いわゆる「新本格」ミステリー。なんとこてこての孤島ものだ。

ミステリー作家有栖川有栖とその友人の犯罪心理学者火村英生は、骨休めに 伊勢湾に浮かぶ島を訪れるが、ちょっとした手違いで目的地とは違う別の 孤島に置き去りにされてしまう。そこには高名な詩人の海老原の別邸1戸しかなく、 複数の訪問客がいるのみだった。有栖川と火村は海老原邸への逗留を許されるが、 そこに青年実業家「ハッシー」こと初芝がヘリコプターで舞い降りる。

翌日、海老原邸の管理人木崎がハッシーが滞在していた空家で鉄アレイで撲殺されて 発見される。さらにその翌朝、ハッシーが崖の下の洞窟内で死亡しているのが発見される。

解くべき謎は、殺人事件ではなく、海老原邸に集まった人々の隠された目的である、という 点が斬新。なかなかおもしろかった。 ハッシーはホリエモンなのかな。。

乱鴉の島 (新潮文庫)
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有栖川 有栖
新潮社
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2013年5月3日金曜日

数学ガール フェルマーの最終定理 (数学ガールシリーズ 2)

数学ガール フェルマーの最終定理 (数学ガールシリーズ 2) 結城 浩 ISBN4797345268 ソフトバンククリエイティブ

高校2年生の主人公が、 クールな黒髪の天才美少女の同級生ミルカさん、一つ年下の妹系テトラちゃん、 三つ年下の栗色ポニーテールのいとこユーリの3人と一緒に数学修行に励む、 という「数学系ライトノベル」もしくは「ライトノベル風味数学書」のシリーズ2巻。 数学ガール(無印)ではなくこちらを先に読むことになってしまったのは、無印が図書館で貸出中だったから。

主人公は、放課後は図書館でミルカさんとテトラちゃんと数学をやり、 夜は自宅で数式をいじり、土日は自室に遊びに来るユーリに数学を教える、 という、なんだかよくわからないけど羨ましい生活をしている。

この巻のテーマは整数論、ということでいいのかな? 素因数分解、剰余系、群環体、からフェルマーの最終定理までたどりつく。

式の展開や、説明の入れ方が大変親切で、初学者でも 無理なく追うことができる。非常に読みやすい。 数学への興味が自然に掻き立てられる。 いちばんよい読者になりそうなのは(賢い)高校生かな。 巻末の参考文献も親切。

数学ガール フェルマーの最終定理 (数学ガールシリーズ 2)
結城 浩
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