2006年 12月
2006/12/28
エッジウェア卿の死
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130007-4
ハヤカワクリスティー文庫 7
身勝手な女優の夫エッジウェア卿が,刺殺される.女優が現場で目撃されていたが,
彼女には鉄壁のアリバイがあった.が,彼女のそっくりさんを演じていた女優が
直後に睡眠薬で自殺.女優が殺したのか,はたまた,女優ははめられたのか?
ヘイスティングス大活躍でうれしい.
2006/12/27
改革の虚像 裏切りの道路公団民営化
櫻井よしこ
ISBN4-10-127226-3
新潮文庫
猪瀬直樹が,道路公団民営化で国民を裏切り,骨抜きにしたと論じる.
テレビを見ていても,高圧的にしゃべって議論の通じなさそうな
人だったが...
2006/12/22
心療内科を訪ねて - 心が痛み,心が治す
夏樹静子
ISBN4101443130
新潮文庫
心身症から腰痛を起こし3年間立てなかったという著者が,
心身症から回復した患者にインタビューした本.
心理的要因からこれほど苛烈な肉体症状が生じるとは..
2006/12/21
ブラック・コーヒー
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130065-1
ハヤカワクリスティー文庫 65
「ブラック・コーヒー」と「評決」の2編をおさめた戯曲集.
前者はポアロの登場するミステリ.超破壊兵器の化学式が盗まれ,
科学者がコーヒーに入った毒で毒殺される.
後者は,心理劇でミステリではない.
亡命してきた科学者の難病に苦しむ妻が,
科学者に恋するわがままな女生徒に薬殺されるが,
女生徒が直後に事故死したため,嫌疑が妻のいとこにかかる.
後者はアガサのミステリを期待する観客には評判が悪かったそうだが,
なかなかの傑作である.
2006/12/16
魔女と暮らせば
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
ISBN4-19-861461-X
徳間書店
大魔法使いクレストマンシーシリーズのひとつ.
書かれたのはこれが一番初めらしいが,時代的には,
「クリストファー」の25年後ということになるらしい.
この話に出てくるクレストマンシーが,クリストファー.
主人公のキャットは,野心家の姉グウェンドリンとともに
孤児となり,親戚のクレストマンシーに引き取られる.
グウェンドリンが救いのない悪党でちょっと読後感悪い.
クレストマンシーがもうすこしうまく立ち回っていれば
こんなひどいことにはならなかったんじゃないかと
思うのだが.あと,クレストマンシーの奥さんのミリーは,
「女神」なんだろうか?
あと,9つの世界にそっくりさんが存在せず,その分の
命を持っているの大魔法使いという設定なわけだが,
その子供たちは他の世界に,そっくりさんがいるのだろうか?
不思議.
2006/12/13
質問力 話し上手はここがちがう
齋藤孝
ISBN4-480-42195-5
ちくま文庫
質問を構成するチカラを分析している.
他にも,恋愛力,段取り力,コメント力などの著書がある模様.
2006/12/13
精神科に行こう!
大原広軌 藤臣柊子
ISBN4-16-765646-9
文春文庫 PLUS
マンガ家とその元編集のコンビ.
精神科は怖くないから,調子が悪かったら
行きましょう,と論じる.
藤臣柊子は,いしかわじゅんの元妻らしい.
2006/12/12
もの言えぬ証人
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130014-7
ハヤカワクリスティー文庫 14
富豪の老婦人が死亡し,甥と姪に分けられると思われた
遺産がすべて付き添い婦に譲られた.
死後2ヶ月たって,老婦人からの依頼状をうけとった
ポアロが真相を解き明かす.
タイトルの「証人」はテリアのボブのこと.
ひさびさ?にヘイスティング大佐がでてくるが,解説によるとこのあとは
最終作の「カーテン」まででてこないのだそうな.びっくり
2006/12/9
クリストファーの魔法の旅
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
ISBN4-19-861435-0
徳間書店
イギリスのファンタジー.「大魔法使いクレストマンシー」シリーズのひとつ.
主人公の子供のころを描いている.
著者は「ハウル」の作者らしい.
クリストファーは,9つの命をもち,
12個ある並行世界群に自由に出入りできる能力を持つが,その
重要性に気がついておらず,ラルフ叔父に利用され,密輸の片棒を
担がされる.
それぞれの登場人物のキャラが立っていて面白い.
この話は番外編的な位置づけなのだろうが,他の作品に
この作品の登場人物は出てくるんだろうか.猫のスログモーデンとか.
2006/12/7
信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス
宇月原春明
ISBN4-10-130931-0
新潮文庫
99年の11回日本ファンタジーノベル大賞受賞作.
第二次世界大戦直前のベルリンで,詩人アントナン・アルトーに
日本人が近づき,彼の興味の対象であるヘリオガバルスと信長が
双方ともバールと呼ばれる太陽神を崇拝する両性具有者だったと説く.
一歩間違えば単なる山田風太郎なのだが,
さすがに現代的.秀吉モノもあるようなのでそちらも読んでみたい.
ちなみにアントナン・アルトーは実在のシュールレアリストらしい.
2006/12/5
ほんものの魔法使
ポール・ギャリコ
ISBN4-480-42184-X
ちくま文庫
傑作「猫語の教科書」の作者によるファンタジー.
手品師のギルドが治める町に,本物の魔法使いが来てしまう.
英語だと「手品師」と「魔術師」は両方とも Magician なのだけど
日本語だと別の単語になってしまうので,いまひとつわかりにくい.
2006年 11月
2006/11/30
ハイブリッド - 新種 -
ロバート・J・ソウヤー
ISBN4-15-011535-4
ハヤカワ文庫SF
ネアンデルタール・パララックス 3部作の最終巻.
メアリはポンターと結婚,ネアンデルタールの遺伝子工学の力を
借りて子供をつくろうとする.が,ネアンデルタールの地球を
狙うジョックがその機械を悪用しネアンデルタールだけを殺すエボラウィルスを作成,
ネアンデルタールの一掃をもくろむ.
ある種のユートピアものだということになるのだろう,同時に
女権拡張論的でもある.
人間の脳にはある種の欠陥があり,特定の磁場に対して
感情をともなう幻覚を見ることがあり,これがすべての宗教の基盤に
なっている,という「宗教回路」はちょっとイーガンっぽい.
2006/11/29
リスタデール卿の謎
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130056-2
ハヤカワクリスティー文庫 56
月末になってようやく今月初の読了.いかに酷い月だったかわかる.
リハビリにはいい短編集.いかにも軽いおとぎばなし的なものばかり.
2006/11/18
Monster House
CGアニメ.芝生にはいっただけで激怒する老人が卒倒.その妻の
魂が宿った家が近づくものを食べてしまう.
UAの超下手吹き替えで聞いたのでいまいち.うまければ評価はちがうかも.
ベビーシッターひどすぎ.そのボーイフレンドも.
2006/11/18
My super ex-girl friend.
ちょっと所有欲の強すぎるガールフレンドは実はG-girl (スーパーマンみたいなもの)だった!
という.アパートにサメを投げ込んでくるのには笑った.
むかし,スーパーマンが地球人と子供を作るには,みたいなジョーク論考を
読んだことを思い出した.A. C. クラークだったか?
2006年 10月
2006/10/27
カズムシティ
アレスティア・レナルズ
ISBN4-15-011571-0
ハヤカワ文庫SF
笑っちゃうぐらい分厚い英国ハードボイルドスペオペ.
なんと文庫本で1100ページ.重くて持ち歩きにくいから,
分冊してページ数を減らしてほしい.字を小さくしても可.
人類がさまざまな遺伝的,機械的強化によっていくつかの属に分離して
宇宙に広がった未来.
物語は,主人公の現在と未来,さらに入植時の伝説的な英雄にして犯罪者スカイの
話と,3本のストーリーが交錯して語られる.が,読みにくくはない.
入植船が僚船に先んじるために,減速時に冷凍睡眠している乗員を投棄して
重量を減らし,減速のタイミングを遅らせる,というのは,すごい絵だ.
入植船の後ろを,同じ格好に擬態してついてくる生命体もコワイ.
しかもこの話では端役.
2006/10/23
忘られぬ死
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130084-8
ハヤカワクリスティー文庫 84
パーティの席で,資産相続者にして美女のローズマリーが青酸を飲んで死ぬ.
そのなぞを追求していたローズマリーの夫も同様に毒殺される.
犯人探しやトリックはそれほど意外でもないが,
人物の心理描写はさすが.おもしろかった.
探偵役のレイス大佐はポアロものの「ナイルに死す」や「開いたトランプ」にも登場する.
2006/10/20
グリュフォンの卵
マイクル・スワンウィック
ISBN4-15-011558-3
ハヤカワ文庫SF
短編集.10編中ヒューゴー賞受賞作5編.すごいね.
世界の果てにある階段を無限に降りていく「世界の果てにて」が印象的.
原作のGriffin's Egg のgriffinを「訳者にとってはギリシャ神話のイメージが強かったため」
ギリシャ語読みの「グリュフォン」と書いてしまうのは,越権ではないのか,
ちなみに,訳者は小川隆.
2006/10/16
殺戮投法
トム・シーヴァー,ハープ・レズニコフ
ISBN4-10-2118811-8
新潮文庫
タイトルが「アストロ球団」っぽいの借りてみた.
作者の一人,トム・シーヴァーは,大リーグ通算311勝205敗の大投手.
しらなかった.そのせいか,文中で展開するワールドシリーズは,
スコアブックが起こせそうなほど,一打席ごとに丁寧に書かれている.
ワールドシリーズの開幕直前,ワンマンでだれからも嫌われていた球団オーナーが
頭部に硬球を受けて殺される.
もと体操選手のスポーツ記者の主人公は,悪徳警官から強要されて事件のなぞを追う.
殺害されるオーナのモデルはヤンキースのスタイン・ブレーナーなのだそうだ.
ナベツネも原にボールぶつけられて殺されないように注意したほうがいい.
2006/10/15
おしどり探偵
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130052-X
ハヤカワクリスティー文庫 52
「トミー&タペンス」シリーズの短編集.
秘密機関からの依頼で,探偵事務所を引き受けることになった二人が,
当時有名だった小説上の名探偵の真似をしたりしながら解決する.
かるくてよい.
2006/10/13
科学と非科学の間
安斉育郎
ISBN4-480-03753-5
ちくま文庫
おそらくは中学生,高校生あたりを対象に書かれた啓蒙書.
著者はジャパン・スケプティクス会長.
2006/10/12
レフト・アローン
藤崎慎吾
ISBN4-15-030838-1
ハヤカワ文庫JA
ハードSF短編集.最新の科学的流行をちゃんと咀嚼して書いている.
なかなかよかった.他のも読んでみたい.
2006/10/8
超・殺人事件 推理作家の苦悩
東野圭吾
ISBN4-10-139522-5
新潮文庫
ジョーク短編集.超XX殺人事件 が8編収められている.
表紙よりも背表紙のほうが幅が広くなってしまう,超長編殺人事件は
最近ちょっとしゃれになっていない.
2006/10/6
海馬 脳は疲れない
池谷裕二,糸井重里
ISBN4-10-118314-7
新潮文庫
気鋭の脳科学者と,コピーライタの対談.
学術的なはなしかと思うと,ようするに科学的な事実を
糸井重里が普段から考えていることにひきつけて解釈するだけ
の,哲学書?かな.
2006/10/5
秘密機関
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130047-3
ハヤカワクリスティー文庫 47
トミー&タペンス シリーズの1作.クリスティの長編としては
「牧師館」に続く2作目だそう.
推理小説というよりは,冒険小説のこのシリーズ.
推理ものとしてみるといかにも食い足りない.タペンスのキャラでもっている感じ.
幼馴染の若い二人が偶然再会し,冒険家協会を立ち上げよう,などと話し合っていると,
怪しい依頼が舞い込み,事件に巻き込まれ,
アメリカからの機密書類を偶然渡されたアメリカ人女性を探すことに.
黒幕のブラウン氏の正体は,まあ,ありきたりだ.
2006/10/3
ヘラクレスの冒険
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130060-0
ハヤカワクリスティー文庫 60
ポアロは,ヘラクレスの冒険にちなんだ12の事件を厳選し,
最後に解決してから引退しよう,と考える.
という話なのだが,実際にはこの後もポアロの活躍は続くのであった.
2006/10/1
邪魅の雫
京極夏彦
ISBN4-061824384
講談社ノベルズ
久々の京極堂シリーズ.一見まったく関連のない殺人が
連鎖的に発生する.その背後には戦争中に軍部が作成した
毒薬があった.
今回は,登場人物の狂人がいまいち狂いっぷりがたりなくて,
ちょっと物足りない?
プロットは緻密でさすが.
にしても800ページ1600円というのは,新書サイズの本として
いかがなものか.読みにくくて仕方がないぞ.
2006年 9月
2006/9/23
リンダリンダラバーソール
大槻ケンヂ
ISBN4-10-142927-8
新潮文庫
バンドブームに翻弄される若者を描く青春小説?
基本的には実話なんだろうけど,どのくらいフィクションなのかちょっとわからない.
タイトルの「リンダリンダ」はいわずと知れたブルーハーツのあれ.
「ラバーソール」は当時のロック少女がはいていたゴムの厚底靴のことなんだそうな.
なかなかよかった.しかし大槻ケンヂの音楽まったく聴いたことがないのに,
本のほうはこれで3冊目か.うーん.
2006/9/21
五匹の子豚
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130021-X
ハヤカワクリスティー文庫 21
ポアロもの.16年前に起きた,妻が夫を毒殺したといわれる事件の
真相追求を娘が依頼してくる.ポアロは,
友人兄弟,夫の愛人,家庭教師,妻の妹,の5人にインタビューし,
真相を見出す.
タイトルは5人の関係者を,5匹の子豚にたとえているが,これは,
5本の指を子豚に見立てて子供をあやす遊びから来ている.
ベルギー人のポアロがなんでそんなものを知っているのか
ちょっと不思議.
非常によくデザインされた傑作.これまで読んだクリスティでは
ベストかもしれない.夫の愛人のエルサは強烈.
2006/9/21
キリスト教は邪教です!
F・W・ニーチェ
ISBN4-06-272312-3
講談社+α新書
ニーチェが発狂前に最後に書いたといわれる「アンチクリスト」の「超訳」.
論旨がよくわからない.
2006/2/
不完全性定理
野崎昭弘
ISBN4-480-08988-8
ちくま学芸文庫
「ゲーデル・エッシャー・バッハ」の訳者による入門書.
といってもやっぱり難しくて,通勤の往復でさらりと読めるものではない.
私には数学の才はないと,痛感.
2006/9/20
おたくの本懐 「集める」ことの叡智と冒険
長山靖生
ISBN4-480-42047-9
ちくま文庫
コレクター論.本文のなかでは「おたく」と「コレクター」を峻別している
のにどうしてこのタイトルなのかよくわからん.
原題は「コレクターシップ」だったらしいが,受けが悪かったんだろうか.
2006/9/16
書斎の死体
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130036-8
ハヤカワクリスティー文庫 36
マープルものの長編.
書斎に金髪美女の死体が!という当時ありがちだった?ミステリをクリスティが料理.
金髪美女は,海岸のリゾートホテルでダンスパートナーとして働く若い女性で,
彼女を気に入った富豪が養女として迎えようとしていたところだった.
さらに,近隣の高校生が自動車から焼死体として発見される.
基本的には死体の入れ替えによるアリバイづくりトリックなのだが,
居室の遺留指紋を調べているにもかかわらず,死体が違うことに
気がつかないというのはいくらなんでもひっかかるなあ.
2006/9/10
死人の鏡
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130058-9
ハヤカワクリスティー文庫 58
ポアロの短編4編.表題作には サータスウェイト氏がちょい役で登場.
2006/9/8
沈黙の春
レイチェル・カーソン
ISBN4-10-207401-5
新潮文庫
初期のころに,農薬による生態系へのダメージをデータに基づいて警告した名著.
原著は1962年に発行されている.
今の日本の農薬はさすがにここまでひどくないことを信じたい.
中国の畑では,虫も鳥もいない中にプラスティックのようにテカテカとした
野菜が整然と並んでいるというが,本当なんだろうか.
おそろしいことだ.
2006/9/8
デッドアイ・ディック
カート・ヴォネガット
ISBN4-15-011219-3
ハヤカワ文庫SF
一人称で小さなイベントを積み重ねていくタイプの文章は,よみずらいことも
あるのだが,この人の文はリズムがあって読みやすい.
主人公は12歳の時に,銃を町に向けてうったらたまたま妊娠中の女性の額に命中してしまった
ためデッドアイ・ディックとあだ名されている.
故郷の町は中性子爆弾の誤爆で人だけがいなくなったが建物は残っている.
SFっぽいところがあるとすれば,この爆弾の話だけ.
他の作品も読んでみたい.
2006/9/5
NかMか
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130048-1
ハヤカワクリスティー文庫 48
トミー&タペンス シリーズの2作目.このシリーズ,わずか
長編4編,短編1冊しかでていないのだが,50年近くにわたって
書き続けられているらしい.2作目の時点では,二人は45ぐらい.
双子の子供を育て終えている.第2次世界大戦中,ドイツからの
スパイが潜伏しているという情報を得て,二人は田舎町のゲストハウスに
潜入する.
わりにチープなアクションもの,という印象だが,
トミーとタペンスの描写ですくわれる.勝手についてきてしまうタペンスがよい.
2006/9/1
カミとヒトとの解剖学
養老孟司
ISBN4-480-08674-9
ちくま学芸文庫
カミを信じる気持ちを脳の構造から説く.
「仏教」という季刊誌に連載していた論考にいくつか追加したもの.
非常に興味深いが未消化という印象.
2006年 8月
2006/8/26
蜘蛛の巣
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130068-6
ハヤカワクリスティー文庫 68
戯曲.戯曲を読む場合,演劇では視覚的に表現される部分が字であっさりと書かれている
部分を頭の中で再構築しながら読まなければならず,なれないと大変だ.
外務官僚の再婚相手となった陽気な奥さんの前に,
突然,前の奥さんの再婚相手の死体が現れる.
しかもなぜか警察がやってきて...というコメディ.
2006/8/24
人類の月面着陸はあったんだ論
山本弘,植木不等式,江藤巌,志水一夫,皆神龍太郎
ISBN4-903063-01-1
楽工舎
最近聞くようになった,実はアポロは月に行ってない,というトンデモ話の本.
具体的には,「これマジ」というテレビ番組と,副島隆彦の「人類の月面着陸はなかったろう論」
という本に対する反論になっている.後者の本はどうも本当にすごそうだ.
古本屋で100円以下で見つけたら読んでみたい.
2006/5/23
自動車ロン
福野礼一郎
ISBN4-575-29466-7
双葉社
あちこちに掲載された原稿の採録本.非常にロジカルで面白い.
2006/8/18
無実はさいなむ
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130092
ハヤカワクリスティー文庫 92
たくさんの養子を持つ資産家の女性が殺され,その養子の一人が
犯人として獄死.その2年後になって,その養子のアリバイを証明する
人物が現れ,落着していた事件が再び影を落とす.
トリックやオチはちょっと食い足らないところはあるが,
養子たち,夫の人物描写が実によく書けていて非常に面白かった.
2006/8/14
誰も知らなかった新世代クリーン・ディーゼルその真実と未来
家村浩明
ISBN4-575-29741-0
双葉社
ディーゼルは1997年のコモンレール「革命」の前後でベツモノになっているのに,
日本ではちょうどそのころからディーゼルがカタログ落ちしているので,
日本のユーザは乗る機会さえない,と説く.なるほど.
昨今の原油高でまた状況が変わるとよいのだが.
2006/8/14
三幕の殺人
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130009-0
ハヤカワクリスティー文庫 9
クィン氏シリーズの主人公であるサータスウェイト氏が活躍.
引退した俳優チャールズのハウスパーティで,牧師が毒殺され,
さらに数ヵ月後,友人の医師がまったく同じように毒殺される.
毒はニコチン.チャールズ,その
若い恋人?エッグと,サータスウェイトの3人が事件を追及する.
こんなことをするなら,ポアロは呼ばなければよかったと思うのだが
どうだろう.
2006/8/13
ホメロスを楽しむために
阿刀田高
ISBN4-10-125524-5
新潮文庫
「イリアス」と「オデッセイア」を残したといわれるギリシャの吟遊詩人
ホメロスの解説本.紀元前800年から900年あたりの人だといわれているが,
それすらよくわかっていないというのがびっくり.
高校生のころ,オデッセイアを読んでみたが,あまりに退屈だったことを
思い出す.やはりバックグラウンドの知識がある程度ないと苦しいのだろう.
そもそもオリジナルの媒体が違うので,小説技法的には未熟だ,という指摘
にも納得.
2006/8/10
系統樹思考の世界 すべてはツリーとともに
三中信宏
ISBN4-06-149849-5
講談社現代新書
つくばの農業環境技術研究所の研究員による系統樹に関する入門書というか啓蒙書.
なかなかよくかけているが,私がこの本のターゲットから外れていたようで残念.
2006/8/8
痕跡
パトリシア・コーンウェル
ISBN4062749475, 4062749483
講談社文庫
スカーペッタシリーズ.
リッチモンドに呼び出されたスカーペッタは,不審死した少女の検死を行う.
犯人はわりに小物で,サイコではあるがたかが知れている.
むしろ,犯人以外の登場人物(ルーシーの同性の恋人とか被害者の両親とか)のほうが
怖い.いや,スカーペッタ,マリーノ,ルーシーら主要登場人物だって
めちゃめちゃゆがんでる.とくにルーシーなんて,犯罪者じゃない,というだけで,
まともじゃない度合いでいったら犯人よりもひどいぐらいなんじゃないだろうか.
2006/8/5
スウィング・ガールズ
ウォーターボーイズと同じ監督による,女の子版.
東北の高校の女の子が,ジャズのビッグバンドを組むというお話.
話の構造も,竹中直人も,ウォーターボーイズに似ている.
方言が魅力的.東北のどこなんだろう?
めがねの子がかわいい.
2006/8/3
わたしの「超」時間活用法
童門冬二
ISBN4-12-203577-5
中公文庫
売れっ子の作家がその時間管理法を語る,という本なのだが,
わたしはそもそもこの作者を知らない.
朝4時半におきてテープに吹き込んで,口述筆記,という
スタイルはちょっとうらやましい.
晩御飯は全部一人で外食というのも.
2006/8/2
ポアロ登場
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130051-1
ハヤカワクリスティー文庫 51
ポアロものの第一短編集.
ヘイスティングスがずっとでていてうれしい.
2006年 7月
2006/7/28
みんなの投資
藤田郁雄
ISBN4-478-62072-5
ダイアモンド社
国内株,外国株,外国債券のそれぞれの投資信託を手数料を重視して選択し,
定額を積み立てで購入することで老後の資産を構築しよう,という本.
わかりやすく,具体的.
2006/7/27
オリエント急行の殺人
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130008-2
ハヤカワクリスティー文庫 8
「アクロイド」とならぶ,ミステリの禁じ手のアレ.
これだけの大技でありながら,技以外の筋がちゃんと楽しめるのは
さすが.
イスタンブールからパリに向かう豪華特急の1等客室で乗客が刺殺される.
2006/7/25
指紋捜査官
堀の内雅一
ISBN4-04-374402-1
角川文庫
指紋一筋の元警視庁捜査官,塚本宇兵に取材したノンフィクション.
フィリピンに技術指導に行ったりしている.
2006/7/22
4000億の星の群れ
ポール・J・マコーリィ
ISBN4-15-011522-2
ハヤカワ 文庫 SF
ニュースペースオペラというジャンルらしい.90年代にかかれたものだが,
訳出は2005年.小菅久美の表紙イラストは対象読者を狭めているような気がする.
超光速航法を手に入れた人類が太陽系近辺の恒星系を細々と開拓し始めたころ,
小惑星帯を拠点とする,敵対的な異性人と邂逅するが,
捕獲すると自爆してしまうため正体がつかめない.
主人公の日系ハーフのテレパス,ドーシー・ヨシダは
その異性人と関連すると思われる惑星に調査員として派遣される.
その惑星は,巨大な赤色巨星の周辺を回っているにもかかわらず
当然静止しているべき自転が人為的に与えられており,
複数の惑星系から移植したと見られる生物相が混在していた.
惑星表面での徒歩での探索がストーリーのメインなのであんまり
スペオペという感じはしないが,サナギを経由して変態する生物の描写はなかなか面白い.
2006/7/18
青列車の秘密
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130005-8
ハヤカワクリスティー文庫 5
比較的初期のポアロもの.ちょっとハードボイルドものっぽい展開.
離婚を考えていた大富豪の令嬢が寝台車で殺害され,ルビーが強奪される.
狂言回し的に登場する,グレー嬢が印象的.
聞きなれない「青列車」はブルートレインのことだった.
2006/7/17
幻のスーパーカー
福野礼一郎
ISBN4-575-28840-3
双葉社
フェラーリ,ランボルギーニなどのいわゆるスーパーカーに関する論考集.
フェラーリの12気筒ミッドシップのクランク軸は地上60センチ!で
まともにコーナリングできない,という話はびっくりだ.
逆に,カウンタックは非常にまじめに作られているというのも意外.
鋼管のトラスで組まれたフレームも美しい.
最近のフェラーリやランボはどうなんだろう?
2006/7/13
メソポタミアの殺人
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130012-0
ハヤカワクリスティー文庫 12
ポアロもの.
中近東のバクダット近辺の遺跡発掘宿舎で
発掘隊長の妻が殺害される.
被害者の看護婦が記述した形になっていて,ポアロの影は異例に薄い.
クリスティの再婚相手は,考古学者で,発掘旅行にもついていった
とのことなので,看護婦の中近東の描写はクリスティの感想だという
ことなんだろう.
2006/7/10
死の猟犬
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130055-4
ハヤカワクリスティー文庫 55
短編集.めずらしく怪奇的な内容のものがあるのだが,本当に怪奇現象が
怪奇現象でおわるものと,トリックがあるものが混じっているのは
紛らわしくて困る.「検察側の証言」は戯曲として独立した文庫にもなっている.
2006/7/8
外貨投資 基礎知識&儲けの方法
植田進
ISBN4-88399-425-2
すばる舎
外貨預金,外貨MMF,外貨債権,外貨投資信託,外貨為替証拠金取引を紹介.
むずかしいです.
2006/7/6
最強のファイナンス理論 心理学が解くマーケットの謎
真壁照夫
ISBN4-06-149647-6
講談社現代新書
人間の非合理的な市場行動を心理学の視点で解釈する「行動ファイナンス理論」の入門.
古典的な合理的市場参加者を「ゴルゴみたいな人」と書いているのがおかしい.
しかも注で,初期のゴルゴは該当しない,とちゃんと書いてるし.
内容は非常に興味深かった.
利益に対してはリスク回避的なのに,損に対してはリスク愛好的になる,
というプロスペクト理論など,なるほどたしかにそうだ.
ただ,これが,市場の予測につかえるの?というとまだまだ道は遠そうだ.
2006/7/1
外貨で月20万円稼ぎ続けている私の連勝法
山根亜希子
ISBN4-7569-0897-7
明日香出版社
外国為替証拠金取引 というもので投資する話.
儲かる場合があるというのはわかるのだが,
誰が損をしているんだろう?わからん.
とりあえず,外貨預金があんまりよくないということはわかった.
2006年 6月
2006/6/30
ヴァンパイアの塔
ディクスン・カー
ISBN4-488-11825-9
創元推理文庫
1940年代に活躍した,トリックを重視した推理小説の大家,
カーによる短編全集の6.
ラジオドラマの脚本集.イギリスを舞台にした
陰鬱な描写が特徴的だが,実はアメリカ人らしい.
怪奇的な描写で始まっても,結局は合理的な説明がついてくれるところが
安心して読めるというか.
2006/6/30
パーカー・パイン登場
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130057-0
ハヤカワクリスティー文庫 57
新聞に一行広告を出し,不幸な人を募って,その不幸を解決する,
パーカー・パインの活躍する短編集.
この路線はなかなか面白いと思うのだが,
途中からトラベルミステリーになってしまうのが残念.
2006/6/26
シェイクスピアを楽しむために
阿刀田 高
ISBN4-10-125526-1
新潮文庫
シェイクスピアの解説本.主要な作品を紹介してくれてまったくありがたい.
著者の手際にはおどろくばかり.解説本ばかり5冊読んだが,ご本人の
作品もよまなければ.
2006/6/25
オーケンののほほん日記ソリッド
大槻ケンヂ
ISBN4-10-142924-3
新潮文庫
「ぴあ」に連載していた日記らしい.心療内科にいったり,大変そうだ.
このひと,まじめなロッカーなんだなあ.
2006/6/24
本気の海外投資完全マニュアル
石田和靖
ISBN4-7759-9020-9
Pan Rolling
香港の銀行に行って口座を作って,投資信託をしましょう,
という趣旨の本.わざわざ行って口座をつくるのはかなり
面倒だが,行くのは一度だけで,あとはインターネット,郵送で
すむらしい.香港なら観光がてら行くという選択肢がありうるのが
強みだ.
著者は
このサイト のひと.
ISBN番号.4の次が4桁っていうのはめずらしい.
出版社が弱小だとこうなるのか?
2006/6/22
ダ・ヴィンチ・コード
ダン・ブラウン
ISBN4-04-295503-7,295504-5,295505-3
角川文庫
大ベストセラーをとうとう借りてくることができた.
思ったよりボリュームないですね.ハヤカワなら文庫1冊に入りそう.
クリプティクス,あんな原始的な機構なら聴診器で
音を聞きながらやれば一発で開錠できてしまいそう.
パピルスは酢なんかで簡単にとけるのか?
など,突っ込みどころ多数.
なぞも全体にしょぼい.導師の正体も,
登場人物リストから消去法で考えるとかなり早いうちに
わかってしまうし.ニュートンでXXXというのもすぐわかるし.
物語の大半が夜半から翌朝までに終わってしまう,というスピード感
はよい.映画のほうが面白いかも.
2006/6/19
アラビアンナイトを楽しむために
阿刀田 高
ISBN4-10-125508-3
新潮文庫
阿刀田高による古典紹介シリーズ.アラビアンナイト特有の扇形に展開する
話をたくみにまとめてある.さすが.
2006/6/17
ヒューマン -人類-
ロバート・J・ソウヤー
ISBN4150115206
ハヤカワSF文庫
「ホミニッド」につづくネアンデルタールものの第二弾.3巻の「ハイブリッド」で完結.
前作でネアンデルタール世界に戻ったポンターが帰ってくる.
今度はメアも向こうをおとずれたり.
伏線らしきものがいろいろはられているので3巻に期待.
2006/6/13
The Perfect Man
UAで見る.母親の失恋に伴う引越しに嫌気がさした長女が,
母親に恋する理想の男性をでっち上げる.
site .
Chris NothのThe perfect man っぷりが笑える.
主役の Hilary Duff は,変に垢抜けないと思ったのだが,
それなりに有名な「セレブ」らしい.わからないもんだ.
2006/6/13
ピンクパンサー
UAで.古典作品のリメイク?むちゃくちゃでかいピンクダイヤであるところの
ピンクパンサーが盗まれ,持ち主が殺される.
田舎警察からやってきたクルーゾー警部が犯人を捜す.
前半は間抜けっぷりを描き,後半でいいところを見せるあたり「Mr. Bean」の
映画版のようにゆるい.
2006/6/13
北村薫のミステリー館
北村薫 編
ISBN4-10-137329-9
新潮文庫
謎のギャラリーに続く,アンソロジー.やはり宮部みゆきとの
解説対談が最後についている.
宗教団体少年部の山岳修行を描く「滝」が印象的.
2006/6/12
戦闘美少女の精神分析
斎藤環
ISBN4-480-42216-1
ちくま文庫
2000年に刊行された単行本の文庫化.
表紙は透明なアヤナミのフィギュア.
いろいろと議論しているが,すごく要約すると,
アニメのような抽象度の高い世界では,その世界のリアリティを
担保するために,本能に直結するセクシュアリティが必要で,
その対象として,外傷なくして戦う「ファリックガール」が
最適なのだ,という論理?よくわからない.
解説の東浩紀の「動物化するポストモダン」も読みたい.
ヘンリー・ダーガー というアウトサイダーアーティストの紹介は興味深い.
2006/6/8
火曜クラブ
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130054-6
ハヤカワクリスティー文庫 54
マープルものの短編集.順番としては,牧師館の殺人の次にかかれたもの.
6人のメンバーが集まり,だれかが事件を紹介し,それをみんなで解決しようとする,
というもの.13編,どれをとっても面白い.さすが.
アシモフの「黒後家蜘蛛の会」はこのスタイルにならったものなのかも
しれない.
2006/6/6
謎のギャラリー 名作博 本館
北村薫
ISBN4-10-137323-X
新潮文庫
北村薫 が古今東西のミステリーを語る.
本来はこれを読んでから,謎の部屋,こわい部屋,愛の部屋に進む
べきものだったようだが順番が逆になってしまった.
2006/6/6
コーランを知っていますか?
阿刀田 高
ISBN4-10125529-6
新潮文庫
とても勉強になる「知っていますか」シリーズ.
旧約,新約と比べると,原典にストーリー性がないので
面白みに欠けるか?
2006/6/2
ナイルに死す
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130015-5
ハヤカワクリスティー文庫 15
映画化もされているポアロものの傑作.
親友の恋人を奪って結婚した資産家の女性が客船上で射殺される.
親友の犯行が疑われたが...
さすがに名高いだけのことはあり,とても楽しめた.
伏線もあざやか.
「開いたトランプ」に出てきた諜報部員レイス大佐が登場するのもうれしい.
映画は大昔にテレビでみた記憶がある.DVD借りてきてみてみようかなあ.
2006/6/1
ベツレヘムの星
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130094-5
ハヤカワクリスティー文庫 94
クリスティのクリスマス向け短編集.異教徒にはよくわからんです.
2006年 5月
2006/5/31
ザ・サーチ
ジョン・バッテル
ISBN4822244873
日経BP社
最近,ツクダニにするほどでているグーグル関連本のひとつ.
「ウェブ進化論」が明るい未来ばかりを描いているのに対し,
現実的な副作用にも焦点をおいて書いている.
なかなか面白かったのだが,なんとも翻訳が読みにくい.
技術系の訳者じゃないみたいなので,しょうがないのかもしれないが,
理解できていない技術用語を無理やり訳そうとした結果
わけのわからない文章になっている場所が散見される.
こういう本は訳者を選んでほしいなあ.
2006/5/27
「超」整理日誌 インターネットは「情報ユートピア」を作るか?
野口悠紀雄
ISBN4-10-125622-5
新潮文庫
「週刊ダイヤモンド」の連載エッセイをまとめたもの.
「超」整理日誌の続編.「インターネットは」云々のあたりは
10年近くもたってしまうと,あまり意味がない.最近
の動向についての意見が読みたい.
オリジナルの「「超」整理法」をよんでいないので,それも.
2006/5/26
人生の教科書「家作り」
藤原和博
ISBN4-480-42162-9
筑摩書房
著者はリクルートのフェロー.世界各地,国内での賃貸暮らしを
経験したあとに,杉並のあたりに家を建てた際の経験を語る.
自分で考えて家を建てるのは,お金もさることながら,
投入エネルギーの点でも,一生に一度だということが
よくわかった.
2006/5/25
アポロってほんとうに月に行ったの?
エム・ハーガ (芳賀正光)
ISBN4-02-257757-6
朝日新聞社
ありがちな,月に行っていない説の本.
「想像力を働かせろ」と主張するが,表面的な情報から
妄想をめぐらせているだけのトンデモ本.想像と妄想は違うと思うのだが.
本としても,驚くほど内容が希薄で,100ページそこそこしかないのに,
さらに上下に余白があり,字も大きい.これで980円は
いくらなんでもひどすぎる.朝日新聞社は一体どうしたのか.
2006/5/24
1冊を1分のスーパー速読法
日本速読協会
ISBN4-396-31293-8
祥伝社黄金文庫
ほとんどがリアリティのない「おかげ話」でまったくつまらない.
こんな本なら,速読法を知らなくても5分もかければ十分だ.
2006/5/23
愛の探偵たち
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130061-9
ハヤカワクリスティー文庫 61
短編集.戯曲「ねずみとり」の原作「三匹の盲目のねずみ」が収められている.
ちょっと恥ずかしいタイトルのクィンものの表題作の原題は「Love Detectives」.
そのままだ.
ほかには,マープル,ポアロの短編が収められている.
2006/5/21
特殊法人改革のまやかし 官僚たちの甘い汁
櫻井よしこ
ISBN4-10-127224-7
新潮文庫
原題「日本のブラックホール」を改題したもの.
特殊法人に限らず,自治体などでも,会計にフローの概念はあるが
ストックの概念がない,というのが諸悪の根源なんじゃないだろうか?
どうしてそんなことになっているのやら.
2006/5/21
「超」整理日誌
野口悠紀雄
ISBN4-10-125621-7
新潮文庫
「週刊ダイヤモンド」の連載エッセイをまとめたもの.
ナウシカとワグナーの「指輪」,トールキンの「指輪物語」を比較した
論考はなかなかおもしろい.
2006/5/21
邪悪の家
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130006-6
ハヤカワクリスティー文庫 6
古い邸宅にすむ美女ニックが命を狙われる.
ポアロは彼女を守ろうとするが,彼女のいとこが
あやまって射殺されてしまう.
偽造のプロとか,麻薬ディーラの中佐などが登場するが,
狙われていた美女が実は..というギミック.
ヘイスティングス,ジャップが両方でていてなんかうれしい.
2006/5/18
ウェブ進化論 -本当の大変化はこれから始まる
梅田望夫
ISBN4-480-06285-8
ちくま新書
Web 2.0とかロングテールとか.
ネットワークの「あちら側」と「こちら側」とでは,コスト構造がまったく異なるので
今後はそれを理解しないとやっていけませんよ,と説く.
おもわずGoogleに転職したくなる.入れてくれないだろうけど.
しかし,2chなんかを見ていると,
「ネットワークの集合知」にはやはり懐疑的にならざるを得ないし,
Googleの収益が,ロングテールで構造的に通常と違うとはいえ,結局は
広告に頼っているというのは,それでいいのか,と思わずにいられない.
いずれにしろ,もう少しまじめに情報を収集しないと,やっていけなくなりそうだ.
がんばらねば.
2006/5/16
マン島の殺人
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130064-3
ハヤカワクリスティー文庫 64
短編集.ミステリではない,神秘的な作品も数多く含まれている.
また,クィン氏シリーズの最後の作品である,「クィン氏のティーセット」が含まれている.
表題作は,オートバイレースで知られるマン島の観光振興のために行われた
宝探しゲームのために書かれた変り種.ちなみに機関車トーマスのソドー島は
マン島と本土の間にあることになっている.
2006/5/7
魔術の殺人
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130039-2
ハヤカワクリスティー文庫 39
マープルもの.ミス・マープルが招かれた富豪となった少女時代の同級生の屋敷で,
精神分裂の少年が発砲事件を起こすと同時に,殺人事件が起こる.
トリックはわりにわかりやすく,図面を見ると見当がついてしまったが,
それでも面白く読めるのはクリスティーならでは.
2006/5/4
謎のクィン氏
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130053-8
ハヤカワクリスティー文庫 53
連作短編集.「パーティによく招かれるが招待客リストの順番はいつも最後」の
傍観者サタースウェイト氏が,触媒ハーリ・クィン氏と会うことで,
さまざまな謎を解き明かす.ハーリ・クィンはharlequin (道化者)からきている.
独特の雰囲気が楽しめた.
クィンものには,ほかに短編集「愛の探偵たち」の表題作があるらしい.
サタースウェイト氏は,ポアロものの
三幕の殺人,死人の鏡,にも登場するらしい.
また,「マン島の黄金」に収められた「クィン氏のティーセット」
はクリスティーの遺作らしい.
2006/2/
心理療法個人授業
河合隼雄,南伸坊
ISBN4-10-141035-6
新潮文庫
南伸坊の個人授業シリーズ第4弾.
今回はユング派の泰斗,箱庭療法で有名な,文化庁長官,河合隼雄だ.
ほんと,このシリーズ,南伸坊がうらやましい.
2006年 4月
2006/4/28
謎のギャラリー 謎の部屋
北村薫 編
ISBN4-10-137324-8
新潮文庫
例によって宮部みゆきとの対談が最後についている.
難破で孤島に流れ着いたサーカスの生き残りの運命を描く
「豚の島の女王」が印象的.
このシリーズ,あとは「本館」があるはずなので探さなければ.
2006/4/24
AEON FLUX
いつものようにUAで鑑賞.
公害病で500万人にまで減少した人類は,壁に囲まれた都市で
グッドチャイルドと呼ばれる独裁者の支配の下で暮らしている.
この支配を打破しようとするレジスタンス組織の暗殺者イーオンは,
グッドチャイルドの総領に迫るが,その瞬間過去の記憶がフラッシュバックする.
実は,400年前から子供が生まれなくなっており,クローンした細胞を
妊婦に移植することで社会が保たれていた.不妊治療は完成しつつあるのだが,
支配力を失うことを恐れる勢力がそれを総領に対して隠していた.
設定はさておき,中途半端なアクションシーンが興を削ぐ.というか
何を見せたくて作った映画なのか,というところが
根本的にわからん.
2006/4/24
牧師館の殺人
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130035-X
ハヤカワクリスティー文庫 35
ミス・マープルものの長編第1作.なんと第2作までの間に12年たっているそうな.
牧師の書斎で,村の名士で嫌われ者ののプロズロウ大佐が射殺された.
大佐の妻と不倫関係にあった絵描きがと大佐の妻が相次いで自首するが,
すぐに互いをかばおうとしただけであることが判明する.
この村にはマープルをふくめ独身の老嬢が3人もいることになっているのだが,
このころのイギリスでは一般的なことだったんだろうか?
ちょっと不思議だ.
2006/4/22
ダーウィンの使者
グレッグ・ベア
ISBN478971537X, ISBN4789715388
ソニーマガジンズ
「ブラッド・ミュージック」を思い起こさせる,グレッグ・ベアの
アウトブレイクもの.
ヒトのDNA内にコピーされ,親子間で遺伝していく「内在性ウィルス」が
活性化し,ヘロデ流感と呼ばれる流産をもたらす疾病を引き起こす.
しかも流産した妊婦は1月後に処女懐胎する.
一方,ネアンデルタールの男女と現生人類の赤ん坊の死体が
アルプスの洞窟から発見される.
ネアンデルタールは現生人類の祖先ではないということになっていたような..
生まれてすぐしゃべれたり,2音同時に発声できたり,という新人類の
発展方向も微妙な気がする.全体としては面白かった.内在性ウィルス
は実在らしいし,生物のことってまだまだわかってないこと多いんだな,と.
2006/4/19
ABC殺人事件
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130011-2
ハヤカワクリスティー文庫 11
クリスティーの代表作の一つともいわれる名作.
ポアロに挑戦状がとどき,頭文字Aの街で頭文字Aの人が殺され,
Bの街でBが,Cの街でCが殺されていく.
狂気に基づいた連続殺人のなかに,
本当に意図した殺人を紛れ込ませる,というその後の
ミステリでよく使われる手のオリジナル.完成度も高い.
2006/4/18
立花隆、「旧石器発掘ねつ造」事件を追う
立花隆
ISBN4-02-257601-4
朝日新聞社
2000年11月に発覚した旧石器ねつ造に関して,2001年3月に出版されている.
発覚直後の混乱した状況が伝わって面白い.
2006/4/17
マギンティ夫人は死んだ
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130024-4
ハヤカワクリスティー文庫 24
下宿の家主をしていたマギンティ夫人が鈍器で頭を殴られて死亡し,
下宿人が犯人として逮捕された.スペンス警部は下宿人の犯行では
ないと直感し,ポアロに相談する.マギンティ夫人は殺害される
直前,新聞の日曜版に掲載された4人の過去の犯罪者特集した記事を
切り抜いていた.
ポアロが,投宿する下宿屋のまずいめしの描写が面白い.
2006/4/16
大増税のカラクリ
斎藤貴夫
ISBN4-480-42182-3
ちくま文庫
源泉徴収と年末調整によって,納税者の大半であるサラリーマンが
納税意識を持たないようにされていることの問題点を
指摘する.とはいえ,サラリーマン全員が確定申告したら
その膨大なコストはどうなるんだろう.
納税者番号とIT技術で軽減できる部分もあるだろうけど
それもいやだし.
2006/4/14
無敵のハンディキャップ 障害者が「プロレスラー」になった日
北島行徳
ISBN4-16-762801-5
文春文庫
障害者プロレス団体「ドッグレッグス」を立ち上げた著者によるノンフィクション.
リアルな障害者の描写に圧倒される.
おどろいたのは,「プロレス」といいながら,勝負がガチだったということ.
こんなところにもUWFの影響が.
2006/4/12
満潮に乗って
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130023-6
ハヤカワクリスティー文庫 23
比較的後期のポアロもの.第2次世界大戦が終わっている.
大富豪が亡くなり,直前に結婚した若い未亡人が財産を得る.
未亡人にはアフリカで死別した前夫がいたのだが,
この男を名乗る男が村に現れ,殺される.
半分近くになるまで人が死なず,そのかわり人間ドラマに
重点が置かれている.さすがにうまい.
主役であるリンが語る,
戦争で本当に恐ろしいのは,自分で考えることを放棄する
楽さを知ってしまうことだ,というのは慧眼.
2006/4/8
愛国殺人
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130019-8
ハヤカワクリスティー文庫 19
ポアロのかかりつけの歯医者が殺された.さらに,同じ歯医者の患者が
二人殺される.ポアロの後に受診した銀行頭取をねらったものかと思われたが.
目次がマザーグースの歌になっていて,原題もそれにちなんだもの
「One, Two, Buckle my shoe」.日本語のタイトル「愛国殺人」は
米国でのタイトル「The Patriotic Murders」からきているそうだ.
二転,三転してなかなか面白かった.
2006/4/5
ビジネス・ナンセンス事典
中島らも
ISBN4-08-748755-5
集英社文庫
11年間サラリーマンをやっていたという著者が
サラリーマンの世界をアイウエオ順で語る.
エッセイのような項と,ショートショートの項が
入り乱れていて面白い.
2006/4/5
ひらいたトランプ
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130013-9
ハヤカワクリスティー文庫 13
4人の殺人容疑者と,4人の探偵役が呼ばれたパーティで,
殺人容疑者たちが囲むブリッジテーブルのそばにいたホストが殺される.
4人の過去の事件や二転三転するプロットなど,おもしろい.
ブリッジというゲームをもっとよく知っていたらもっと楽しめた
のだろうが.
ヘイスティングズはでてこない.かれがでてくるのは最初のうちだけなのか?
2006/4/3
ポケットの中の野生 ポケモンと子供
中沢新一
ISBN4-10-129012-1
新潮文庫
宗教学者として高名な著者が,フロイトやレヴィ=ストロースをひきながら,
ポケモンを語る.ちょっとプリミティブな讃歌になってしまっているが
切り口はさすが.
2006/4/1
謎のギャラリー こわい部屋
北村薫 編
ISBN4-10-137325-6
新潮文庫
「愛の部屋」同様,宮部みゆきとの対談がついている.
全体に面白いが,こわすぎ.苦手なのよねー.
乙一のデビュー作という「夏と花火と私の死体」は印象的.
当時16歳だというから恐れ入る.
2006年 3月
2006/3/24
謎のギャラリー 愛の部屋
北村薫 編
ISBN4-10-137326-4
新潮文庫
「謎のギャラリー」という単行本シリーズに,追加,再編したものの一つ.
あと,「本館」と「謎の部屋」がある.
奥さんが突然狐になってしまった英国紳士を描く「狐になった婦人」が印象的.
2006/3/23
ポケットにライ麦を
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130040-6
ハヤカワクリスティー文庫 40
ポアロばかりというのもなんなので,マーブルを.
マザーグースにちなんだいわゆる見立て殺人もの.
2006/3/20
地上最強への道 大山カラテもし戦わば
大山倍達
ISBN4-480-42159-9
ちくま文庫
言わずとしれた大山総裁による書.
が,解説は大槻ケンヂ.やっぱり今読むとギャグにしか
思えないところが...でも私は極真が好き.
2006/3/19
七つの黒い夢
乙一, 恩田 陸, 北村 薫, 誉田 哲也, 西澤 保彦, 桜坂 洋, 岩井 志麻子
ISBN4-
こういうコワイ系の話は苦手なので,ふだんなら絶対読まないのだけど,
桜坂 洋が入っているので,とりあえず読んでみた.
読後感が悪いのは,「天使のレシート」ぐらいで,後はOK.
桜坂 洋 の「10月はSPAMで満ちている」は,
「よくわかる現代魔法」シリーズの,嘉穂ちゃんの後日談.
すでに20代なかばになってる.
秋葉原界隈の,秋葉原駅よりの末広町近辺はずいぶん再開発されてしまって
この話の舞台のような寂れた雑居ビルはもうなさそうだけど,
あと,SPAMってそんなにまずいかなあ.常食にはしたくないけどね.
2006/3/17
旅客機大全
中村浩美
ISBN4-10-133531-1
新潮文庫
飛行機マニアによるやたら分厚い文庫本.
ボーイングの亜音速旅客機ソニックライナーはどうなっちゃったんだろう.
2006/3/13
汁かけめし快食學
遠藤哲夫
ISBN4480039783
ちくま書房
日本の食事の基本は汁かけめしにあり,と説く.
カレーが普及したのもその文化があったからであり,
初期のカレーは,野菜汁かけめしのアレンジとして成立していたのだと.
美食じゃなくて快食,というのはすばらしいコンセプトだ.
やっぱりもりもりたべて,元気出していかないとね.
2006/3/12
ビッグ4
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130004-X
ハヤカワクリスティー文庫 4
ポアロシリーズではあるが,他の作品とはかなり違っていて,
まるで007みたい.中国人を首領とする国際陰謀組織ビッグ4と
ポアロが対決する,という.
挙句の果てにイタリアの山の中に作られた基地が大爆発(-_-).
あとがきによると,離婚の後,まともにかけなくなっている時期に
それ以前の短編をまとめる形で書かれたらしい.ちょっと納得.
2006/3/
武器としてのスキャンダル
岡留安則
ISBN4-480-03942-2
ちくま文庫
「噂の真相」の編集長が,大昔に書いた本の文庫化.
ただし文庫化に際して,かなりの量の補遺がなされている.
2006/3/6
ゴルフ場殺人事件
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130002-3
ハヤカワクリスティー文庫 2
フランスの別荘で,南米の富豪が刺殺され,ゴルフ場で発見される.
二転,三転するトリックはなかなかに面白い.
ヘイスティングズ,またプロポーズ.今回はうまくいったようだけど.
シンデレラ嬢は今後も出てくるんだろうか?
2006年 2月
2006/2/27
スタイルズ荘の怪事件
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130001-5
ハヤカワクリスティー文庫 1
近所の図書館に,クリスティー文庫全100巻が入った模様.
今後ボチボチ読んでいきたい.というわけで,
クリスティーのデビュー作にして,ポアロ・シリーズの第1作がこれ.
ワトソン君役のヘイスティングズが,訪問先のスタイルズ荘で殺人事件に
巻き込まれ,ベルギーから亡命してきた元刑事ポアロに解決を求める.
時代は第一次大戦の最中.
臭化カリでストリキニーネが沈殿するという話は,まったく出てこないので
推理小説としては反則のような.
2006/2/24
「家計破綻」に負けない経済学
森永卓郎
ISBN4-06-149750-2
講談社現代新書
ある種の陰謀論なので,ちょっと気分が暗くなる.
もうすぐインフレになるというのなら,株でも買うかなあ.
土地よりは流動性高いから.
2006/2/23
ミカドの肖像
猪瀬直樹
ISBN4-09-402312-7
小学館文庫
猪瀬直樹が20年前に週刊ポストに連載していたものの文庫化.
プリンスホテルって,旧宮家の土地を使っているから「プリンス」という
名前だというのははじめて知った.
ミカドという歌劇が英語圏で有名だということも,
それに名前を取ったゲームがあることも知らなかった.
一番驚いたのは,明治天皇の御真影として知られている写真が,
実はイタリア人画家キヨソーネによる肖像画を写真に撮ったものだ,
という話.ちなみにこのキヨソーネはあの西郷隆盛の肖像として
知られているが,実際にはまったくの想像で書かれた肖像画を
描いた人物でもある.
その御真影が展示されている造幣局の取材の際に御真影を写真に撮ろうとしたら,
なんの法的な根拠もなく断られたという話もびっくりだ.
20年前に比べればさすがに,「ミカド」に対する禁忌感はだいぶ
薄れたと思いたいけどどうなんだろうか.
2006/2/22
日本経済50の大疑問
森永卓郎
ISBN4-06-149597-6
講談社現代新書
インフレターゲット論者によるQ&A形式の経済入門.
コントロールされたインフレを起こして,物価を緩やかに上昇させないと
デフレスパイラルで取り返しがつかなくなる,という主張.
わかりやすい.
竹中平蔵とどっちが正しいのか門外漢の私にはわからないけど,つくづく思うのは,
竹中平蔵って童顔で得してる,ということ.
言っていることはそうとうきついのになあ.
2006/2/21
不味い!
小泉武夫
ISBN4-10-125941-0
新潮文庫
醸造学者にして食評論家?である著者が,世界で食べたまずいものを
語る.お惣菜やさんのハムカツや,ひなびたラーメン屋のラーメン
あたりのいかにもといったものから,
クサギカメムシの幼虫といった,そりゃ不味かろうというものまで.
おそるべし.
2006/2/20
またまた自動車ロン
福野礼一郎
ISBN4-575-29500-0
双葉社
自動車評論家の自動車論.いろいろな雑誌に書かれた辛口の批評ばかりを
集めたものなので,かなり面白い.
FRは右ハンドルのほうが作りやすく(トランスミッションでセンタートンネル側が
けられるので左ハンドルではアクセルペダルの位置がおかしくなる),
FFは左ハンドルのほうが作りやすい(エンジンを横置きにした分だけ乗員を
前進させようとすると右ハンドルだとホイールに干渉してアクセルペダル
の位置が出せない)というのは,ナルホドだ.
前作「自動車ロン」も図書館にあるらしいから借りてこよう.
2006/2/10
竹中教授のみんなの経済学
竹中平蔵
ISBN4-344-40362-2
幻冬社文庫
いわずと知れた小泉内閣の顔のひとりが一般向けに書いた本.
経済理論としては正しいんだろうけど,その結果として
実際に個々の人間になにがおこるのか,に関する想像力を
まったく欠いているのが恐ろしい.そんなことを考えていては
経済学者も政治家もできないということか.
2006/2/9
国債のカラクリ
宮尾攻
ISBN4-09-402136
小学館文庫
日本の赤字国債の状況のレポート.返せる当てもない借金を
積み上げてしまっているわけだが,さて,どうなるのか.
2006/2/8
顔
南伸坊
ISBN4-
ちくま文庫
人間が顔に対して非常に強く,特殊な興味を持つことに関する
研究,のはずだったらしいのだが,たんなる面白いエッセイに
なっている.見開き2ページで1テーマ.雑誌連載だったらしい.
2006/2/8
秘密結社の暗躍
桐生操
ISBN4-
小学館文庫
小学生向けの雑誌の特集か,ムーなどのオカルト雑誌みたいな妄言の羅列.
まったく出典をあげていないので,適当なことを書いている用にしか見えない.
こんな本はだしちゃだめでしょ.
2006/2/7
「超」納税法
野口悠紀雄
ISBN4-
新潮文庫
超整理法で儲けてしまったために納税で工夫をしなければならなかった
らしいのだが,それで税金の本を書くとは,さすがだ.
小さい事業主が法人化することによって,税額をコントロールできて
しまうことが,法人税収の低下につながっている,ということ.
そんなにお得なのか...
2006/2/6
なぜ「耐震偽装問題」は起きるのか
長嶋修
ISBN4-
講談社+α新書
耐震偽装問題は業界の構造的な問題であり,解決するには
個々の国民が住宅に対する意識を転換する必要がある,と説く.
2006/2/3
文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの
ジャレド・ダイアモンド
ISBN4-7942-1464-2 ISBN4-7942-1465-0
草思社
「銃・病原菌・鉄」の作者による新刊.リクエストしたら図書館が買ってくれた.
いつもありがとう >> 越谷図書館.
「銃・病原菌・鉄」もすごかったが,この本もおそろしい労作.
いや,こちらのほうが書くのにかかった資料ははるかに多いだろう.
さまざまな歴史上の,そして現代の文明が,いかに崩壊し,また
崩壊しつつあるかを,膨大な資料をもとに解析している.
鍵になる5つの要素は,環境被害,気候変動,近隣の敵対集団,友好的な取引相手,
環境問題への社会の対応,である.
環境問題のかなりの部分が,所与の条件に起因し,人類には制御できないこと,
にもかかわらず,制御可能な部分を注意深く制御することで,文明を
存続させることができることが論じられている.
ルワンダの項など,読んでいるだけで絶望的な気分になってくるわけだが,
それでも完全に悲観的にはなっていないところが,またすごいところ.
子供のいる身としては,何かできることをしなければならないと痛感する.
聞くところによればそれなりに売れているようだが,ぜひ多くの
人に読んでもらいたいものだ.
2006年 1月
2006/1/28
梶原一騎伝
斎藤貴男
ISBN4-10-148731-6
新潮文庫
巨人の星,あしたのジョーなど,作品をあげればきりがない
漫画原作者梶原一騎の破滅的人生.
2006/1/20
あのころの未来 星新一の預言
最相葉月
ISBN4-10-148222-5
新潮文庫
星新一のショートショートから,現代社会の問題を考えるエッセイ.
星新一といえば,中学生のころ熱中して読んだものだが,
大学生のころ読み返してみたら,すごく軽く感じてしまった.
今読み返すとどう思うんだろうか.再読してみよう.
2006/1/15
ほんまにオレはアホやろか
水木しげる
ISBN4-10-135731-5
新潮文庫
水木しげる先生の半生記.戦争で片手をなくす話がさらりと書いてあったり,
紙芝居や貸本時代の食うや食わずの生活が明るく書いてあったりと,
やはり只者ではない.
2006/1/13
旧石器遺跡捏造
河合信和
ISBN4-16-660297-7
文春新書
藤村新一による遺跡捏造が,なぜまかりとおってしまったのかを
同じ世界にいた著者が書いている.
発掘捏造が,
基本的には部外者である著者たちが藤村氏の捏造を暴く,という立場で
書かれているのに対して,本書は暴露記事が発表されるまで信じていた人の
立場から書かれている点が異なる.
でも,やっぱりなんでこんなずさんな話がまかりとおってしまったのか,
納得いかないのだけど.
2006/1/13
旧約聖書を知っていますか
阿刀田 高
ISBN4-10-125519-9
新潮文庫
ユダヤ人と神の契約と呼ばれるものがなになのか,ようやくおぼろげながら
わかった.こんなバカな話をもとに何千年も戦争しているのか...
宗教って恐ろしいなあ.
2006/1/12
アースシーの風 - ゲド戦記V
アーシュラ・K・ル・グウィン
ISBN4001155702
岩波書店
「帰還」からさらに10年たって発表された5巻.すごい話だ.
「さいはての島へ」でのゲドの努力にもかかわらず,まだ世界のバランスは
崩れており,竜が王国を襲ったり,死者の世界との壁が崩れようとしたり
していた.王となったレバンネンは
ゲドとテナーの養い子であるテハヌーを迎え,バランスを回復させようとする.
ゲド,最初にちょっとでてくるだけ.安易にゲドの魔力が復活したり
しないあたり,好感が持てる.
どうも外伝を先に読むべきだったらしい.ちょっと失敗.
2006/1/11
帰還—ゲド戦記最後の書
アーシュラ・K・ル・グウィン
ISBN4001106868
岩波書店
「さいはての島へ」発表から十数年たって発表された
ゲド戦記の4.タイトルに反してその後1巻と,外伝がでていたりする.
「さいはての島へ」で,魔法を使い果たしたゲドが故郷の島でテナーと再会する.
主人公はどちらかといえば(というか完全に)テナーであってゲドではない.
2006/1/10
さいはての島へ
アーシュラ・K・ル・グウィン
ISBN4001106868
岩波書店
ゲド戦記の3.世界の魔法バランスがくずれ,魔法が使えない地域が
広がっていくのを知った大賢人ゲドが,アレン王子をともなって
修正のための旅にでる.
2006/1/9
星界の紋章〈3〉異郷への帰還
森岡 浩之
ISBN4150305552
ハヤカワ文庫JA
そろそろ,「星界の戦旗」を読んでみようかと思い,復習のために
「紋章」のほうを再読.10年ぶり?軽いので,病床には最適.
しかし,すべての単語にわざわざ造語でルビを振るのはやめてほしいなあ.
マニアだと全部覚えたりしちゃうんだろうけど.
2006/1/6
人間はどこまでチンパンジーか?—人類進化の栄光と翳り
ジャレド・ダイアモンド
ISBN4788504618
新曜社
チンパンジーと遺伝子的にはそれほど違わない人類の,なにが特殊で,なにが特殊ではない
のかを議論した労作.「銃・鉄・病原菌」ほどではないが,大変に示唆的でおもしろかった.
人類が,過去に何度もジェノサイドを行っていること,
居住環境を破壊したために文明が滅んだこともなんどもあることなど,
暗澹とした気持ちになる.
複数の民族が交易のために発展させる言語「ピジン」と
それを母体として母語として成立する「クレオール」があるが,
世界中で独立して発展したクレオールのほとんどが同じような
文法になる,というのは大変興味深い.この場合動詞は
主語の直後に来るそうだ.やはり日本語などは特殊な言語なのか.
「そうではなくて」が乱発されていたりして,翻訳がちょっとよみづらいのが残念.
「とおり」が「とうり」になっていたりするのは編集の問題だが.
2006/1/4
マインドスター・ライジング
ピーター・F・ハミルトン
ISBN4488719015, 4488719023
創元SF文庫
地球温暖化で主要都市が水没してしまったイギリスを舞台に,
体内に特殊な人工器官を埋め込むことによって人為的に超能力を
もたされたマインドスター隊の生き残りである主人公が,
大企業のお嬢さんを助けて敵と対峙するハードボイルドSF.
なかなか面白かった.連作らしいので続編も機会があれば読んでみよう.
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