2007年 12月
2007/12/31
捩れ屋敷の利鈍 The Riddle in Torsional Nest
森博嗣
ISBN4-06-182231-4
講談社ノベルズ
Vシリーズ.
SMシリーズの西之園萌絵と保呂草潤平が共演.
メビウスの輪の形状をした建築物のなかにかくされた
短剣状の宝具,エンジェルマヌーバが盗まれ,
さらに2名が殺害される.
メビウスになっているということと,トリックが全然
関係ないというのが,逆にびっくりだ.
2007/12/29
支那そば館の謎
北森鴻
ISBN4-334-92398-4
光文社
もと盗人の寺男が,みやこ新聞の女記者とさまざまな謎を解く
短編集.
表題作は,ラーメンと町家がある意味似ている,という
ことなのだが,ちょっと無理が有るような.
2007/12/28
写楽・考 蓮丈那智フィールドファイルIII
北森鴻
ISBN4-10-602658-9
新潮エンターテインメント倶楽部
蓮丈那智シリーズのIII.狐目の教務担当が本格的に
ストーリーにからんできた.もう一人の美人助手もいるし,
主人公の影がどんどん薄くなる...
ホームズ3人,ワトソン1人という感じ.
フェルメールから写楽にくるとはびっくり.
2007/12/22
招かれざる客
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130069-4
ハヤカワクリスティー文庫 69
戯曲.車椅子にのった暴虐な男が自宅の居間のフランス窓のそばで
射殺される.車が脱輪したため,たまたまその場を訪れた男は,
拳銃をもった男の妻がそばにたっているのに遭遇し,彼女を
かばうために一計を案ずる.
最後の2転3転がみごと.
2007/12/20
レタス・フライ
森博嗣
ISBN4-06-182466-X
講談社ノベルズ
短編集.9篇中5篇は本当に短く,ある程度のボリュームが
あるのは,アジアの某独裁国を訪れた警察関係者が,
美術館でコンクリートがくりぬかれていた事件を追う
「ラジオの似合う夜」と,
故郷に戻ったらなぜか街が砂で覆い尽くされていたという
怪奇もの?「砂の街」,
SMシリーズの西之園萌絵が登場する,
「刀之津診療所の怪」だけ.
最後のものは佐々木叔母と診療所の所長に何か縁があるという
ことだけはわかったが,誰なのか分からない.
他のシリーズ作品をちゃんと読まないといけないのか.
2007/12/20
黒と茶の幻想
恩田陸
ISBN4-06-274945-9,ISBN4-06-275361-8
講談社文庫
40才を目前にした高校・大学時代からの同級生の男女4人が,屋久島を歩く.
歩きながらいろいろと謎解きをしてしまう,
と言う点は「夜のピクニック」に似ている.
年齢が大体同じなので,ちょっと色々考えさせられてしまう.
思い出の中に登場し,非常に重要な役回りを演じる梶原憂理は
「麦の海に沈む果実」の登場人物らしい.
が,正直いって,全然思い出せない.再読しなければ.
2007/12/14
ダウン・ツ・ヘヴン
森博嗣
ISBN4-12-003544-8
中央公論新社
スカイ・クロラのシリーズ.
スカイ・クロラの前日譚で,スカイ・クロラに隊長としてでてくる
草薙水素が主人公.当時はエースパイロットだった.
カンナミも登場.
黒猫マークのティーチャとの市街地での空中戦がクライマックス.
夢枕漠の格闘ものと同じぐらい紙面が白い.
2007/12/12
スカイ・クロラ
森博嗣
ISBN4-12-003158-6
中央公論新社
ミステリではなく,SF.戦闘妖精雪風に雰囲気がすごく似ている.
不必要にハードボイルド.
押井守によるアニメ化が予定されている.
主人公は,遺伝子薬の作用で不老化した「キルドレ」と呼ばれる
人種の一人.この世界では,会社組織によって戦争が行われており,
主人公はある会社の社員として,日々レシプロ機で戦争をしている.
この話だけでは,世界の全体像が見えない.
すでに現在4作出版されているらしいので,他作品に期待.
「クロラ」は「Crawler」.長音を省略する主義なのは分かるが,
せめて「クロウラ」ではないのか.browserを「ブラザ」と
書くようなものだと思うのだが.
2007/12/4
アクナーテン
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130071-6
ハヤカワクリスティー文庫 71
戯曲.古代エジプトのファラオで,
アメン神を排してアテン神信仰を進めようとしたアクナーテンの悲劇.
2007/12/3
黄色いアイリス
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130059-7
ハヤカワクリスティー文庫 59
短編集.ポアロ5篇,パーカー・パイン2篇,マープル1篇,その他1篇.
なんかやっぱり読んだことあるような気が...
すくなくとも,「バクダットの大櫃の謎」は,「クリスマスプディング」に
入っている,「スペイン櫃」とほぼ同じ.
表題作「黄色いアイリス」も既読感あり.
2007/12/1
数奇にして模型 NUMERICAL MODELS
森博嗣
ISBN4-06-273194-0
講談社文庫
犀川,西之園のSMシリーズの一つ.
M工大の女子学生が研究室で扼殺される.
ほぼ時を同じくして,近くの公会堂で,コスプレモデルの女性が,
殺害され,頭部を切断されて発見される.
同じ部屋で倒れていた大学院生に双方の嫌疑がかかる.
動機があまりにも異常なので,読者の推理ができない,
というのはミステリとして反則じゃないのだろうか..
ミステリじゃないのかもしれないけど.
2007年 11月
2007/11/26
アクロイド殺し
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130003-1
ハヤカワクリスティー文庫 3
あまりにも有名なあれ.
以前別の文庫で読んでいるのでわかっているのだが,
叙述トリックがたくみなので,それでも楽しめる.
ポアロシリーズの長編としては3作めなのだが,
ポアロはこの時点で,探偵をやめて引退し,カボチャづくりを
しようとしている.このあと50年ぐらい活躍することになるのだが...
2007/11/24
天使たちの探偵
原りょう
ISBN4-15-030576-5
ハヤカワ文庫JA
ちょっとハードボイルドな探偵物の短編集.
荒事なんかはなくて,推理ものになっているところがスマート.
りょうは寮のウカンムリのない文字.アマゾンでも仮名表記に
なっていたので,どうもJISにはいっていないらしい.
2007/11/24
海浜の午後
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130070-8
ハヤカワクリスティー文庫 70
戯曲集.みじかいものが3編.
これも絶対に読んだことがあるんだが.
メモをとり忘れたということがあるだろうか.
2007/11/22
ねずみとり
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130066-X
ハヤカワクリスティー文庫 66
いまだに上映されることのある,傑作戯曲.
雪にとざされた,若夫婦が経営を開始したばかりの山荘に,
殺人犯がいるのではないかということで,刑事がスキーで登場.
電話線が切られ,外部との連絡が断たれたなかで,
第二の殺人がおこる.
これも読んだことがあるのに,メモが残っていない.
と思ったら,「愛の探偵たち」に小説版が入っているのを
読んだらしい.
2007/1/20
面白南極料理人 笑う食卓
西村淳
ISBN4-10-115352-3
新潮文庫
よりレシピを指向した第2弾.醤油はなくても
中華ドレッシングでなんとかなる,というのはなるほど.
2007/1/20
面白南極料理人
西村淳
ISBN4-10-115351-5
新潮文庫
昭和基地よりもさらに1000km奥地,富士山よりも高いところに,
ドーム基地がある.そこで調理担当として越冬した著者の
のんきな日記.
完全に隔絶されたところで,9人だけで1年暮らすという
だけで気が遠くなる.火星旅行なみ?
実際一人おかしくなりかかっているみたいだし.
零下70度でもジョギングする鉄人とかも...人間ってすごい.
2007/11/19
クリスマス・プディングの冒険
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130063-5
ハヤカワクリスティー文庫 63
短編集.表題作と「スペイン櫃の秘密」は絶対読んだことがあるのだけど,
この本自体は,始めて読んだはず...
このシリーズの別の短編集にも入っているということがあるだろうか.
解説は川原泉.この人いまなにやってるんだろうか.
2007/11/17
I Now Pronounce You Chuck and Larry
これもUA機内.ラリーとチャックはNYの消防士.
1年前に妻を無くしたラリーは,年金受取人の変更
手続きをしておらず,面倒なことになっていることに気がつき,
親友のチャックに頼んでゲイとしての偽装パートナー契約を結ぶように
持ちかける.軽い気持ちで始めたことだったのだが,
市当局が疑念をもって調査し始めたため,二人はどんどん深みにはまる.
美人弁護士アレックスのJessica Bielがよかった.
2007/11/17
HairSpray
UA機内で鑑賞.英語音声,中国語字幕.
舞台は1960年のボルチモア.レッドパージとかやっているし,
黒人差別もある.
主人公は太っているけどダンスが上手なトレイシー.
やっぱり太っている母親役をジョン・トラボルタがやっているのが話題.
ダンスも歌もよい.
全編ノリノリだけど,日本の映画館だとみんな身じろぎもしないで
見ているんだろうなあ,きっと.
主役のNikki Blomskyはオーディションで選ばれた新人だそう.
この話にはピタリとはまって素晴らしかったけど,今後
どうするんだろう? と余計な心配をしてしまう.
2007年 10月
2007/10/27
ブラック・コーヒー [小説版]
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130034-1
ハヤカワクリスティー文庫 34
戯曲「ブラック・コーヒー」の小説化.
ストーリーはおなじ.戯曲がベースなので,妙に説明的だったりする.
ヘイスティングスがいい.
小説化したのはアガサではない.ので,「検察側の証人」のようにオチが
戯曲版と微妙に違ったりはせず,冒頭にポアロ宅でのシーンが追加されているぐらい.
2007/10/26
ヒッコリー・ロードの殺人
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130026-0
ハヤカワクリスティー文庫 26
ポアロの優秀な秘書ミス・レモンの姉が勤める学生寮で
不可解な盗難事件が起きる.ポアロの警告によって
一人の女子寮生が犯人であると名乗り出,事件は解決するかに
見えたが,その女子寮生が自殺に見せかけて毒殺されてしまう.
さらに,学生寮のオーナと別の女子学生が殺害される.
ポアロは切り裂かれたリュックサックに事件の鍵があるとにらむ.
原題は Hickory Dickory Dock.マザーグースらしい.
2007/10/25
蒼ざめた馬
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130093-7
ハヤカワクリスティー文庫 93
臨終直前の婦人の懺悔を聞いた牧師が撲殺される.
婦人はある種の犯罪組織にかかわっていたらしく,
牧師が残したメモには最近死亡した人々の名前が書かれていた.
主人公は田舎村の魔女たちが呪いをかけて人を殺すことを
請け負っていることを突き止め,調査のために自ら依頼人となる.
オリヴァ夫人が登場する.
途中まではオカルトっぽくてどうなることかと思ったが,
ちゃんと戻ってくるので安心.
タイトルとなっている魔女の館の名前,「蒼ざめた馬」は
死神は蒼ざめた馬に乗っているという聖書の言葉から来ている.
2007/10/25
ロシアンパワー養成法
足立弘成
ISBN4-7542-2047-1
英知出版
ロシアに留学したサンビストの著者がロシア流のトレーニング法と
トレーニングに関する考え方を説く.股関節の重要性を
説く理論には説得力が有る.「ズドン」とか「Z足」とか
用語もおもしろい.
2007/10/22
脳と魂
養老孟司,玄侑宗久
ISBN978-4-480-42326-9
ちくま文庫
解剖学者と禅僧の対談集.
なんかわかったような,わからないような.
かみ合ってるような,かみあっていないような.
2007/10/19
デセプション・ポイント
ダン・ブラウン
ISBN4-04-295508-8, ISBN4-04295509-6
角川文庫
ダ・ヴィンチ・コードのダン・ブラウンによる長編.
著作順としては,「天使と悪魔」と「ダ・ヴィンチ・コード」の間に位置する.
3作読んでみて,この人はこういうのしか書けないんだなあ,ということがわかった.
最期の意外な黒幕も,稚拙な叙述トリックも同じ.暇つぶし以上にはなかなかならない.
映画ばえはするだろうから映画にするといいと思う.
主人公はNASAを攻撃することで人気を上げてきた次期大統領候補の娘.
そんな大統領選挙の最中,NASAが北極海の氷のなかから数百年前の隕石を
発掘,その中に三葉虫の痕跡を発見する.生命が宇宙からもたらせれた
証拠かと思われたが,その隕石には陰謀が秘められていた.
2007/10/19
七つの時計
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130074-0
ハヤカワクリスティー文庫 74
「チムニーズ館の秘密」の続編?
チムニーズ館に滞在していた若い外交官が睡眠薬の飲みすぎで死亡する.
暖炉の上には7つの目覚まし時計が並べられていた.
チムニーズ館のお嬢さんバンドルは,外交官の友人ジミーと真相を探る.
背後にはセブン・ダイアルズという秘密組織があった.
わりに脳天気な冒険小説.叙述トリックはさすが.
2007/10/15
サブカルチャー神話解体
宮台真司,石原英樹,大塚明子
ISBN978-4-480-42307-8
ちくま文庫
漫画や音楽などの「サブカルチャー」の機能に着目し社会の変遷を読み解く.
著者らの博覧強記には驚かされる.
ただ,こういうものはどうしてもそうなってしまうのだろうが,解析はかなり恣意的に感じる.
人格を,「ミーハー自信家」「頭のいいニヒリスト」「バンカラ風さわやか人間」
「ネクラ的ラガード」「友人よりかかり人間」の5つに分類する
「人格システム理論」はかなり謎で,本書のなかでは,導出の方法も
理論も紹介されていない.
上野千鶴子の解説もよい.
2007/10/4
キャラクターズ
東浩紀,桜坂洋
新潮社
新潮に掲載された作品.
純文学とか文芸業界にうといので今ひとつネタがわからないのだが,
面白かった.
2007/10/2
シタフォードの秘密
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130076-7
ハヤカワクリスティー文庫 76
ノンシリーズ.
雪に閉ざされた山荘で行われた降霊会で,その山荘の持ち主の大佐の死が予言される.
友人が麓の町にいる大佐の無事を確かめに雪をおして訪問するが,
大佐は予言どおり殺害されていた.
疑いをかけられた大佐の甥の恋人は,記者を籠絡して調査を進める.
トリックはちょっと単純.だが気がつかなかった..
2007年 9月
2007/9/30
雲をつかむ死
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130010-4
ハヤカワクリスティー文庫 10
ポアロもの.
フランスからイギリスに向かう飛行機の中で
金貸の女性が毒針で刺されて殺害される.
ポアロの座っていた座席から矢筒が発見され,
吹き矢で殺害されたかと思われたが...
吹き矢では無いのだろう,と言うのはなんとなくわかった.
単純な手口なのだが,十分証拠があったのだろうか.
2007/9/30
老ヴォールの惑星
小川一水
ISBN4-15-030809-8
ハヤカワ文庫SF
4篇からなる短編集.かなりストレートなSF.
迷宮にとじこめられた政治犯の運命を描く「ギャルナフカの迷宮」,
絶滅に瀕したホットジュピター上の巨大生命の生態を描く「老ヴォールの惑星」,
ちょっとイーガンっぽい「幸せになる箱庭」,
食べられる水に覆われた惑星に不時着したパイロットが,
電話だけを頼りに10年間水上を漂流する「漂った男」.
どれもうまい.
2007/9/19
帝都東京・隠された地下網の秘密 [2]
秋庭俊
ISBN4-10-126352-3
新潮文庫
続編.地図が改竄されていたという話はまあ,あるかなという気がするのだけど,
それが現在の地図にも残っているっていうのは,ちょっと...
2007/9/19
帝都東京・隠された地下網の秘密
秋庭俊
ISBN4-10-126351-5
新潮文庫
東京の地下には,戦前から戦中にかけて一大地下網が
整備されており,戦後の地下鉄や高速道路の地下部分が
それらを利用しているという主張.俄には信じがたいが,
結構説得力がある議論.著者がいう程ではないにせよ,
たしかにある程度の地下道はあったのではないかと思ってしまう.
2007/9/19
Ocean's 13
シリーズ3作め.といっても1も2も見ていないのだが.
最年長の仲間がアル・パチーノ演じるホテル王にだまされ
心臓病で倒れる.復讐のために仲間がホテルの開業にあわせて
細工を行い,カジノで客に勝たせ,ダイアモンドを奪う.
出演陣は豪華らしいのだが,よくわからなかった...
前作まででていたらしい女優陣がでてないのが残念.
2007/9/19
日本一の色男
植木等の無責任シリーズに続く日本一シリーズの代一作.
恋人の手術料を稼ぐために,化粧品のセールスマンとして
いろいろな女性をだますが,最後は恋人に裏切られる.
2007/9/15
Prates of Carribean - At World's End
Jackを死の世界?である世界のはてに迎えにいき,海賊連合を結集し,
イギリス軍と戦う.戦闘しーんは派手だが,7インチぐらいのスクリーンでは
いまいち感動がない.
最後の落ちもそれでいいのか?という感じ.カリプソ,いまいち弱いし.
不死になるのはJackでよかったと思うのだが.
2007/9/15
Fantastic4 Rise of the Silver Surfer
メタボールでつくったCGのサンプルみたいなシルバーサーファー登場.
銀河魔王?とかいうのに自分の星を滅ぼされないためにあちこちの星を
滅ぼしていたはずなのに,最後は一人で相打ち.っていうか
生き残ってる.そんなにつよいなら始めからもっとがんばれ.
どこの星の生き物なのかもわからないのに,自白薬とかつかって
尋問しているアメリカ陸軍の超科学力にはびっくりだ.
前回の悪役がまたでてくるが,何を考えてるのかさっぱりわからん.
主人公の隊長?が一番弱くてほとんどなんの役にもたっていないのが
なんとも.あ,岩男よりはましか?
飛行機の中で見たのだが,例によって声優陣が最悪.
ただなんだから文句をいうなといわれそうだが,なんとかしてほしい.
2007/9/15
スウィングガールズ
再見.やっぱり上野樹里は「のだめ」よりもこっちのほうがいいかも.
傑作だ.
2007/9/15
シリコンバレー精神 グーグルをうむビジネス風土
梅田望夫
ISBN4-480-42253-6
ちくま文庫
著者は,「ウェブ進化論」のひと.
1994年にシリコンバレーに移住した著者が,月に一度連載していた
エッセイをまとめたもの.ネットバブルの興隆と崩壊がなかから語られている.
サブタイトルに反して,グーグルにはほとんど触れていない.
2007/9/14
カリブ海の秘密
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130043-0
ハヤカワクリスティー文庫 43
マープルもの.
カリブ海の小さなホテルを訪れたマープルが,
またまた殺人事件に巻き込まれる.
昔の話が好きな退役軍人が,殺人犯の話をしていた直後に毒殺され,
その軍人の部屋にあった高血圧の治療薬が,普段はなかったと
証言したメイドが刺殺される.
このときクリスティは74歳,マープルは78歳だったそうだ.
おそるべし.
2007/9/4
変な映画を観た!!
大槻ケンヂ
ISBN978-4-480-42324-5
ちくま文庫
大槻ケンヂがこれまでにみた変な映画を語る.
やはりこいつはただ者ではない.
2007/9/3
孔雀狂想曲
北森鴻
ISBN4-08-747780-0
集英社文庫
故物商雅蘭堂の主,越名集治が故物にまつわる謎をとく短編集.
女子高生のバイト安積が花を添える.
ちょっと「ギャラリーフェイク」を思わせる.
ほかのものも読んでみよう.
2007年 8月
2007/8/31
ねじの回転 Feburuary Moment
恩田陸
ISBN4-08-747889-0, ISBN4-08-747890-4
集英社文庫
歴史を改変した結果HIDSという病気を抱え込んでしまった未来人が,
それを修正するために,二・二六事件を「確定」しようと介入.
安藤,栗原,石原莞爾の3人は協力させられるが,なぞの「ハッカー」の
妨害により事態は混乱していく.
なんと,歴史改変もののSFである.びっくり.こんなものも書けるとは...
大変面白かった.
2007/8/25
運命の裏木戸
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130050-3
ハヤカワクリスティー文庫 50
「トミー & タペンス」シリーズの最終巻.
クリスティーの作品としても最晩期のものらしい.80歳
トミーとタペンスは75歳.
あらたに移りすんだ古い家で,タペンスが古い本から
「メアリは自然死ではない」と読める暗号?を発見.
しかもそれを残したと思われる少年がやはり死亡していることがわかる.
実は,その家では第一次大戦時代にスパイにからんだ事件があったのだった.
推理はほとんどなくて,夫婦の会話を楽しむものなのだろう.でも,
やっぱり最晩期の作品はちょっとしまらない気がする...
2007/8/22
象は忘れない
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130032-5
ハヤカワクリスティー文庫 32
最晩期のポアロもの.「カーテン」は比較的早い時期に書かれたと
いわれているので,実際にはこれが最後にかかれたポアロかもしれない.
そのせいか,過去の作品への言及が多い.
女流推理小説家オリヴァ夫人再登場.
オリヴァ夫人はある席で,名付け子の恋人の母親から,名付け子の
両親の心中事件で,どちらがどちらを先に殺したのかと問われる.
ポアロとオリヴァは「象のように」忘れない人々に
質問することで,大昔におきた事件の真相を探る.
話の構造としては「五匹の子豚」に似ているが,切れ味はだいぶおちる.
2007/8/20
さあ,あなたの暮らしぶりを話して
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130085-6
ハヤカワクリスティー文庫 85
自伝というかノンフィクションというか.
アガサが再婚相手の考古学者と一緒にシリアに発掘旅行に
行った際のアラビア人やクルド人との交流を描く.
相当苛酷な状態に見えるのだが,ユーモアを絶やさず,
全てのものに対する愛情が感じられる.
やはりただものではない.
2007/8/13
薬害エイズの真相
広河隆一
ISBN4-19-890498-7
徳間文庫
オリジナルは1994年に書かれており,補遺で96年までカバーされている.
薬害そのものもひどい話だが,検査の結果でエイズ感染が発覚しても
患者に知らせないというのは,いったいどのような正当化が可能なのか.
2007/8/6
朽ちていった命 - 被爆治療83日間の記録 -
NHK「東海村臨界事故」取材班
ISBN4-
新潮文庫
バケツで臨界事故の被爆者の病状を追うドキュメンタリー.
おどろいたことに,被爆直後は,一番ひどい右手でも軽いやけどぐらいで,
意識も完全だったらしい.放射線障害の恐ろしさが逆に伝わってくる.
しかし,長期的には治癒の見込みがまったくない患者にいろいろやって83日
永らえさせることにどんな意味があったのか疑問.
タイムリーにも,広島被爆の日.
2007/8/5
鳩のなかの猫
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130028-7
ハヤカワクリスティー文庫 28
中東で革命がおき,王の遺産の宝石類が行方不明になり,
その王のいとこが入学した
名門女子高で体育教師が体育館で殺される.
学生の一人に依頼されたポアロがなぞを解く.
2007/8/3
人質カノン
宮部みゆき
ISBN4-10-129551-4
新潮文庫
短編集.なかなかよかった.
いじめ問題関連が多いのは,書かれた時期のせいか?
2007年 7月
2007/7/30
凶笑面 蓮丈那智フィールドファイルI
北森鴻
ISBN4-10-120721-6
新潮文庫
「美貌の民俗学者」蓮丈那智とその助手内藤三國がフィールドワークの
最中に出会う殺人と民俗学的ななぞを同時に解き明かす,「本格民俗学ミステリ」
短編集.
登場人物は,典型的なホームズとワトソン君で安心して読めるし,
民俗学的な部分もちゃんと検討されているようで面白い.
しかし,「本邦初,民俗学ミステリ」というあおりはどうなんだろ.
京極夏彦はちがうの?
2007/7/29
アラブの怨念
布施広
ISBN4-10-133731-4
新潮文庫
アラブ・イスラムの
911のあと,イラク侵攻の前というタイミングで出版されている.
このあとも絶望的な状態はなにも変わらず,むしろ悪化しているというのが
なんとも...
2007/7/29
希望格差社会 「負け組」の絶望感が日本を引き裂く
山田昌弘
ISBN4-480-42308-5
経済的収入格差だけではなく,
将来にもてる希望の格差が問題であると説く.
格差は,経済不況によるものではなく,ニューエコノミーの普及による
構造的なもので,好況化してもなにも解決しない.
経済格差に対する対策もさることながら,アイデンティティクライシスに対する
対策が重要,と説く.公共機関によるお見合いは確かに重要だと思う.
2007/7/25
ハロウィーン・パーティ
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130031-7
ハヤカワクリスティー文庫 31
ポアロもの,最後期に属する.
ハロウィーン・パーティの準備の際に,殺人を見たことがあると
公言した少女が,パーティの最中に殺害される.
その場にいたオリヴァ夫人が旧友ポアロに助けを求める.,
退官したスペンス警視も登場.
2007/7/20
タナトスの子供たち 過剰適応の生態学
中島梓
ISBN4-480-42091-6
ちくま文庫
なぜ人がヤオウのか,の論考.
この社会は,少女たちにとってそれほどまでに生きにくいのか?
ちょっと実感がわかない.
なかなか面白かったが,「(爆)」はやめてほしい.
2007/7/18
ゼロ時間へ
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130082-1
ハヤカワクリスティー文庫 82
ノンシリーズ.
スポーツマンが元夫人と夫人を同時に叔母宅に招待,その叔母が惨殺され,
遺産の遺贈相手の一人である元夫人に嫌疑がかかる.
バトル警視が登場,バトル警視の台詞上でポアロも登場.
2007/7/13
夜のピクニック
恩田陸
ISBN4-10-123417-5
新潮文庫
これ以上ないというくらいストレートな青春小説.
本屋大賞を受賞したということで,名前は前から聞いていた.
1昼夜かけて80キロ歩き通す高校の歩行祭が舞台.
主人公は,口をきいたことのない異母兄弟のクラスメートとの
関係をその間に何とかしようとする.
登場人物みんなが妙にリアリティがある.実際モデルがいたんじゃないだろうか.
とても面白かった.
2007/7/12
ねじれた家
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130087-2
ハヤカワクリスティー文庫 87
ノンシリーズ.主人公のチャールズが2年間の東洋勤務から戻り,
ガールフレンドのソフィーにプロポーズしようと連絡を取ると,
ソフィーの祖父が毒殺されていた.
ソフィーの家では祖父を頂点とする大家族が同居しており,
誰もが互いに依存する「ねじれた家」だった.
状況は「ポアロのクリスマス」とちょっと似ているが,
殺された祖父の性格設定はまったく違っている.
これもちょっと読後感が悪い.
2007/7/8
バートラム・ホテルにて
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130044-9
ハヤカワクリスティー文庫 44
マープルもの.
ロンドンの一角にある歴史的たたずまいを持つホテルで,
うっかりものの牧師さんが失踪.無事発見されるものの,
その直後に,若い女性をかばってドアマンが射殺される.
ホテルには大強盗団との関連が疑われていた.
ビートルズが言及されているのが印象的.クリスティの
活躍期間は本当に長くてびっくりだ.
が,この作品は,個人的にはいまいち.
クリスティには珍しく読後感がわるい.
2007/7/6
ポアロのクリスマス
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130017-1
ハヤカワクリスティー文庫 17
性格の捻じ曲がった富豪が,クリスマスに,お互いをいがみ合わせるために,
家族を召集,その晩に殺される.すべての家族に動機と機会があり,
捜査は難航する.
クリスティにはめずらしい密室殺人.とはいえ密室のトリックは
すぐにばれてしまい,あまり重要ではないのだが.
トリックは反則すれすれ.読み直してみると,かろうじて
反則ではないとは思うのだが,やられた感あり.
2007年 6月
2007/6/26
葬儀を終えて
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130025-2
ハヤカワクリスティー文庫 25
ポアロもの.
資産家が亡くなり,家族が数十年ぶりに集まった席で,ちょっとオカシイと
おもわれている末の娘が,「だってリチャードは殺されたんでしょう」と言い放ち,
その2日後に,自宅で惨殺される.
これは,最後までぜんぜんわからなかった.
登場人物が山のようにいるのに,まったく混乱せずに頭に入ってくる.
おそるべしクリスティの筆力.
2007/6/20
天使と悪魔
ダン・ブラウン
ISBN4-04295501-0,ISBN4-04295507-X,ISBN4-04295502-9
角川文庫
「ダヴィンチの暗号」のシリーズの1作目.
次期は「ダヴィンチの暗号」の直前.
セルンで反物質の大量生産法を発明した学者が殺され,
反物質が盗まれ,バチカンのどこかに仕掛けられる.
おりしもバチカンでは,新たな教皇を選ぶためのコンクラーベが
行われていた.さらに,4人の教皇有力候補が誘拐され,
ローマの各所で次々と殺されていき,イルミナティを名乗るものが,
犯行声明をだす.
話の構造は「ダヴィンチの暗号」に驚くほど似ているが,
こちらのほうが,一段ひねりが効いていてより楽しめた.
2007/6/16
バクダットの秘密
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130088-0
ハヤカワクリスティー文庫 88
クリスティお得意の,冒険もの.
勤め先を首になったばかりのおてんば娘が,公園で出会って,
一目ぼれをした男性を追いかけて,バクダットを訪れ,
世界的な,大陰謀に巻き込まれる.
2007/6/16
神の手
パトリシア・コーンウェル
ISBN4-06-275267-0, ISBN4-06-275268-9
講談社文庫
スカーペッタもの.ルーシーの脳幹に腫瘍ができている.
相変わらず,スカーペッタは超セクシーということになっている.
何歳なんだ一体.
多重人格ネタなのだが,キャラクターがちゃんと書き込まれていないので,
だれだったのかわからなくなってしまったり.
私の読み方が杜撰なだけなのだろうけど.
2007/6/10
死が最後にやってくる
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130083-X
ハヤカワクリスティー文庫 83
紀元前2000年のエジプトを舞台にした異色作.
家長が権威を持つ墓守の一家に,家長が若い妾を連れ帰ったことで
一家の中に不穏な空気が流れる.やがて妾が墜落死したことで
すべてが解決したかに思えたが,その後も続々と一家のものが殺害される.
舞台がいつでもどこでも,アガサ節は変わらず,という感じ.
2007/6/9
指が月をさすとき,愚者は指を見る
四方田犬彦
ISBN4-591-07915-5
ポプラ社
「世界の名科白50」が副題.
警句とそれにまつわるエッセイ.50あるのだが,タイトルのものが一番面白い.
ちなみに詠み人知らず,だそうだ.
「これでいいのだ」by 赤塚不二夫も含まれていたりして.
作者は,比較文学者で,映画評論家.
なかなか面白そうなので,他の著作もよんで見たい.
2007/6/5
フラガール
シンガポールエアーで鑑賞.
液晶が小さいのでよく見えなかったのが残念.
はじめて,蒼井優が誰なのかを認識したが,
なかなかステキだ.
トヨエツが蒼井優の兄役ででている.
端役のように見えるが,一応主演男優という位置づけなのが,
なんか納得いかない.ひょっとして,重要なシーンが,
飛行機向けにはカットされていたのか?
2007/6/5
石原良純のこんなに楽しい気象予報士
石原良純
ISBN4-09-405001-9
小学館文庫
まあ,内容が薄いのははじめから期待していないからいいとして,
40才すぎた男が,第一人称に「僕」をつかって本を書くのは
どうかと思う.
2007/6/5
ホロー荘の殺人
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130022-8
ハヤカワクリスティー文庫 22
ポアロもの.
近くの別荘の昼食に招待され,出向いたポアロはプールサイドで
殺された男を目撃する.明らかに男の妻が射殺したかに見えたのだが,
その妻の持っていた拳銃と遺体から摘出された弾丸の線条痕が一致せず,
事態は混迷する.
殺された男は,前夜に15年前に分かれた女優と再会し,揉め事があったばかり,
さらに,同じ別荘には彫刻家の愛人もいた.
いつもどおり安心して読めた.
2007年 5月
2007/5/31
脳と仮想
茂木健一郎
ISBN4-10-129952-5
新潮文庫
ソニーの人.キーワードは「クオリア」.
人間が認識できるのは,外界そのものではなく,
その投影である「クオリア」だけである,と説く.
そりゃそうだろうけど.だからなんだ?
2007/5/31
アルツハイマーを知るために
佐藤早苗
ISBN4-10-131051-0
新潮文庫
おそろしい.こんなにおそろしい病気だとは思っていなかった.
アルツハイマーが発症したら,周りに迷惑をかけたりする前に
殺して欲しいと思う.
2007/5/23
國語元年
井上ひさし
ISBN4-10-116823-7
新潮文庫
戯曲集.
表題作は,故 川谷拓三の主演でNHKでドラマ化されていた.
明治初期に標準語を決めようとする官僚の物語.
この短い戯曲を書くためにどれだけ資料を集めたのかと
思うと気が遠くなる.
2007/5/20
帝王の殻
神林長平
ISBN4-15-030525-2
ハヤカワSF文庫
火星三部作の2.舞台は火星で,一作目よりかなり前.
1作目のラストで登場する,火星の地下に眠る地球人,
梶野大佐がこちらにも登場.
この時代の火星人(といっても人間)は,PABと呼ばれる主人の人格をコピーする
ように作られた球形のコンピュータとペアで生活している.
そのPABを作成した秋沙技研の「帝王」と呼ばれた所長がなくなり
残された長男が後を継ぐ.
それまでは孤立していたPABを接続するアキサネットが稼動したとき,
自閉症のような症状を示していた長男の息子に異変が起きる.
2007/5/18
あなたの魂に安らぎあれ
神林長平
ISBN4-15-030215-4
ハヤカワSF文庫
神林長平のデビュー長編にして,「火星三部作」の1作目とされる.
最近,三部作の3作目「膚の下」が出たので,それを読む前に再読.
有害な地表の紫外線を避け,火星の地下に住む人間と,それを地上で支える
有機アンドロイド.彼らの間に,徐々に軋轢が生じ,それぞれ
組織を作って破壊活動が行われるようになった.
アンドロイドの間には造物主「エンズビル」が降臨して,
最後の日が来るという伝説がある.
予知能力をもつ僧侶,玄鬼はエンズビルの来訪を予知する.
もっと読みにくかった印象があったのだけど,かなりすっきりと読めた.
次は,2作目「帝王の殻」か.
2007/5/15
ティンカー
ウェン・スペンサー
ISBN4-15-011572-9
ハヤカワSF文庫
中国が,移民船の送出のために衛星軌道上につくったハイパーフェイズと
呼ばれるワームホールの副作用でピッツバーグがエルフホームと呼ばれる
異世界に飛ばされてしまう.エルフホームには,いわゆる耳がとがっていて
不老不死のエルフがいる.エルフホームとは別にオニヒダと呼ばれる世界があって,
そこにはオニやらカラス天狗やらキツネやらがいる.
月に一度丸一日,シャットダウンと呼ばれる
日があってハイパーフェイズをダウンしている間だけ,ピッツバーグは地球に
もどる,という設定.
主人公ティンカーは,18歳の天才少女でハイパーフェイズを設計した科学者の娘で,
ピッツバーグでスクラップ屋を営んでいるが,
オニの眷属である狛犬からエルフの王を助けたことで争いに巻き込まれる.
ライトノベルみたいなのり.でも分量は大目.
2007/5/11
Music and Lyrics
ヒュー・グラント,ドリュー・バリモア主演のラブコメ.
邦題「ラブソングができるまで」.
主人公アレックスは80年代にアイドル的なポップスグループの一人として一世を風靡したが,
今は落ち目.そこに若者に抜群の人気を誇る仏教系アイドルCoraから作曲の依頼が来るが,
彼は詞がかけない.
実は植物の管理に来ているソフィーに作詞の才能があることがわかり,
彼女を説得して詩を書かせる.
ポップス時代の曲もふくめて,楽曲がなかなかキャッチー.
Coraもわけわからなくて面白い.コンサートの大仏とか.
2007/5/11
親指のうずき
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130049-X
ハヤカワクリスティー文庫
トミー&タペンスシリーズの3作目.二人はすでに初老になっている.
老人ホームでなくなったトミーの叔母が譲り受けた絵の元の持ち主である
老婦人が失踪,タペンスは絵を手がかりに探索を開始する.
背後には,大掛かりな強盗組織があった.
2007/5/6
7月24日通りのクリスマス
中谷美紀主演のラブコメ.長崎に住むさえない主人公小百合は,
マンガで読んだリスボンと長崎を重ね合わせ,憧れの照明家と
であった場所を7月24日通りと呼んでいる,夢見がちな女性.
照明家が東京から里帰りし,チャンスが訪れる.
イケメン弟のやっぱりさえない恋人が上野樹里.
劇団ひとりが,うさんくさいホストとしてでている.
幼馴染の本屋がかわいそうだ...
2007/5/5
パディントン発4時50分
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130041-4
ハヤカワクリスティー文庫 41
マープルもの.マープルの友人が,パディントン発の電車で,
併走する車両内で殺人が行われているのを目撃する.
当然すぐに死体が発見されると思われたのだが,なぜかそうならない.
マープルは,死体が到着駅直前にある広大なお屋敷に遺棄され,
隠されていると見当をつけ,
非常に有能なハウスキーパーである
に依頼して,遺体を発見する.そのお屋敷には,当主ではあるが
財産の処分ができない老人と,その息子,娘たちがすんでいた.
一番怪しくない人,で犯人が絞れてしまう.
超有能ハウスキーパー は,「私を月に連れてって」のお八重さんを
髣髴とさせる.お八重さんほど口は悪くないが.
2007/5/4
ブラウン神父の知恵
G・K・チェスタトン
ISBN4-488-11002-9
創元推理文庫
ブラウン神父シリーズの短編集.
どうも,チェスタトンの文章は叙情的すぎるのか,なかなか
頭にはいってこない.
2007/5/2
フランクフルトへの乗客
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130096-1
ハヤカワクリスティー文庫 96
1970年にかかれた冒険もの.
主人公はイギリスの外交官.霧のために一時着陸した空港で,
若死にした妹によく似た女性からパスポートとマントを貸してほしいと
依頼され,事件に巻き込まれる.
全世界に学生運動に端を発したアナーキズムが蔓延,その背後には
大きな陰謀が...
最後は,老科学者が,人間の性格を変えてしまうガスをつくって
万事解決,という方向に行きそうな感じなのだけど,それでいいのか?
2007年 4月
2007/4/27
死との約束
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130016-3
ハヤカワクリスティー文庫 16
イスラエルを舞台にしたポアロもの.
精神的なサディストである,ジャバザハットみたいな母親に支配された
旅行中の一家で,その母親が殺される.犯人は家族のだれであっても
おかしくないが,はたして..というような話.
中近東旅行の雰囲気がたのしい.
レイス大佐が名前だけ出てくる.
この世界では,ABC殺人事件が
出版されているらしい.どういうことなんだろう.
2007/4/25
前巷説百物語
京極夏彦
ISBN4048737694
角川書店
又市が活躍する巷説百物語シリーズの最新巻.といっても,
時代は,10年前にさかのぼり,百介はでてこない(実はちょっとだけでている).
かけだしの又市が,恨みや借りなどの「損」を買い取る損料屋「ゑんま屋」一党の
一人として活躍.が,江戸の町に巣食う裏の組織ににらまれてゑんま屋は全滅.
「後巷説百物語」でちょっとだけでてきた,江戸と大阪の闇の組織同士の因縁が
語られる.
比較的,気楽なシリーズだと思っていたのだが,この本は結構ハード.
江戸と大阪の仕掛けあいに関する続巻が期待されるが,そっちはさらにハードになりそうで
いやだなあ.付録として,人物相関図みたいなものがついてきて,そちらも面白かった.
2007/4/23
極短小説
スティーヴ・モス ジョン・M・ダニエル 編
ISBN4-10-203411-0
新潮文庫
55ワードしばりで一般から募集した小説を集めたもの.各話は文庫本の半ページ分ぐらいしかない.
アメリカンなものも多くていまいちわからなかったりするのだが,
それを割り引いても質は低い.ただ55ワードでも十分表現できる
ということはわかった.
2007/4/22
世紀末の作法 終ワリナキ日常ヲ生キル知恵
宮台真司
ISBN4-04-353001-3
角川文庫
テレクラ少女の行動を通して,現代社会を分析する著者の,あちこちに
かいた文章をまとめたもの.比較的古い(といっても97年ごろだが)ので,
ポケベルやらテレクラやらが分析の対象になっているが,
今だったら,ケータイと出会い系なんだろうなあ.
最近の論考も読んでみたい.
2007/4/16
算法少女
遠藤寛子
ISBN4-480-09013-4
ちくま文庫
実在する同名の和算の書を下敷きに書かれたジュヴナイル.
さわやかでよい.
2007/4/14
白昼の悪魔
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130020-1
ハヤカワクリスティー文庫 20
ポアロもの.ヘイスティングスが,地の文に一度だけでてくる.
干潮時には地続きになるような岸辺の島のリゾートホテルで
元女優の夫人が殺される.浮気相手の男や,夫が疑われるが,
みんなにほぼ完璧なアリバイがあった.ポアロは滞在客のひとり.
2007/4/11
なぜエヴァンスに頼まなかったのか?
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130078-3
ハヤカワクリスティー文庫 78
ノンシリーズの一作.主人公 ボビィは,偶然がけ下に落ちたけが人を
見つけ,臨終にたちあうことになる.その絶句が,タイトル.
この言葉を,遺族に話した後,命を狙われることになる.
ボビィは,幼馴染(でも貴族)の娘フランキーと一緒に,なぞを追う.
わりに単純な冒険ものだが,キャラが立っていてなかなかすばらしい.
最後に,二人が結婚してケニアに行くことになる,っていうのはちょっと
やりすぎ?
2007/4/7
知っておきたい日本の神様
武光誠
ISBN4-04-405701-X
角川ソフィア文庫
さまざまな神社の縁起がかかれている.
しかし,本当に神道の神様はまともに系統立てられていないなあ.
わかりにくくて困る.
「死んだときに体重がちょっと軽くなる」ということが
ほぼ間違いなく確認されている,なんて書いてあるんですが.
2007/4/7
新・飢狼伝 <巻ノ1> 秘伝菊式編
夢枕獏
ISBN4575007595
双葉社
飢狼伝,いつのまにか,13巻まででひと段落ということになったらしく,
「新」がついた.でも話は続きだ.毒をつかうのは反則だと思う.
ジャイアント馬場をモデルにしたと思われる「カイザー武藤」というのが
めちゃめちゃ強い.他にも,関節専門柔道家「隅田」とか,
やたら強いプロレスラー「関根」とか,いろいろでてきて,
いままででてきた葵密丸とか長田とかがザコあつかいになっていてかなしい.
が,この巻の主役は伊達.マルコとの勝負,がんばった.
2007/4/5
日本人の神
大野晋
ISBN4-10-103602-0
新潮文庫
日本語の起源がタミル語にあるという説で有名な大野晋による「神」論.
「カミ」と「God」の本質的な違いや,神仏の関連に関する議論が興味深い.
後半,タミル語の話になっている.こういうのを読むとどうしても
トンデモなのではないかと疑ってしまうのは,変な本読みすぎなんだろうか?.
2007年 3月
2007/3/31
チムニーズ館の秘密
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130073-2
ハヤカワクリスティー文庫 73
ノンシリーズの冒険小説.一次大戦後に書かれたもの.
アフリカで,東欧の王国の黒幕の手記をイギリスの
出版社に届けるように依頼された主人公が,
キング・ヴィクターとよばれる盗賊が
チムニーズ館に隠した宝石をめぐる騒動と
殺人事件に巻き込まれる.
あまりといえばあまりのオチだが,おめでたいのでまあよかろう.
2007/3/29
魔法使いハウルと火の魔法
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
ISBN4-19-860709-5
徳間書店
ジブリの「ハウルと動く城」の原作.
荒地の魔女の呪いでおばあさんにされてしまったソフィーは,
魔法使いハウルの動く城にもぐりこむ.
おばあさんになると同時に行動までおばあさんっぽくなるのが
面白い.実はアニメは未見なのだが,そのうち借りてこよう.
2007/3/26
ブラウン神父の不信
G・K・チェスタトン
ISBN4-488-11003-7
創元推理文庫
名探偵として名高いブラウン神父のシリーズのひとつ.
短編集.
ブラウン神父,殺人が起こる前から事件に絡んでいるのに,
殺人を防がなかったり,犯人が逃げるまで待っていたりと,
今ひとつ役に立たない.まあ,神父だから?
2007/3/22
私のギリシャ神話
阿刀田高
ISBN4-08-747518-2
集英社文庫
絵画や彫刻の写真を交えて語るギリシャ神話.
なかなかおもしろい.
2007/3/16
茶色の服の男
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130072-4
ハヤカワクリスティー文庫 72
ノンシリーズのひとつ.かなり初期の作品らしい.
主人公アンは,地下鉄での事故を目撃し,立ち去る医者が落とした
紙片を拾ったことから,南アフリカのダイアモンド鉱山を巡る
陰謀に巻き込まれ,南アフリカに向かうことになる.
主人公アンと,もう一人の登場人物サー・ユースタスの手記という
形であ話が進むのだが,実は...という.
アクロイドに先行したプロトタイプとしても見ることができる.
いくつかのアガサ作品に登場する諜報機関のレイス大佐が,
主人公をめぐる3角関係の一人として出てくる.
2007/3/13
検察側の証人
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130067-8
ハヤカワクリスティー文庫 67
短篇では読んでいたが、こちらは戯曲になっている。
弁護士のオフィスと法廷だけに押し込めてしまうテクニック
にはおどろきだ。
オールドミスが殺され,遺産相続人として指定された若者が逮捕される.
若者のアリバイを証言できるのは妻だけなのだが,
なぜか妻は若者に不利な証言をする.
短篇とは、結末が違って、もう一段どんでん返しがある。
このためちょっと読後感がわるかったりするのだが、まあ
それはしょうがないのだろう。
2007/3/11
予告殺人
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130038-4
ハヤカワクリスティー文庫 38
ミス・マープルのひとつ.
ローカル新聞に,ある下宿で殺人が行われるとの広告が掲載され,
物見高い近所の住民が集まったところで,電気が消え,
強盗が登場,女主人に向けて銃を2発発射したあと,自分を撃って死亡する.
さらに,関係者が絞殺される.
トリック的にも凝っているし,人物の造形に
妙なリアリティがあってよい.
2007/3/8
役に立つ一次式 整数計画法 「気まぐれな王女」の50年
今野浩
ISBN4-535-55462-5
日本評論社
著者曰く日本初の「応用数学ドキュメンタリー」.
ちょろっとアプリケーションとしてやらせていただいたことのある
領域が概観できて有意義だった.
このジャンル,もう少しまじめにやってもいいかもしれない.
知っている先生が何人か登場している.
2007/3/6
この人を見よ
マイケル・ムアコック
ISBN4-15-0104441
ハヤカワSF文庫
むかーし,買ったSF.ノイローゼ?に悩んだ精神科医がタイムマシンでキリスト
生誕を見に行き,キリストとして磔になる,という.
キリスト教のバックグラウンドがないので,よくわからない.
2007/3/2
ドラゴンの歯
エラリー・クイーン
創元推理文庫
作者と同名の探偵,エラリー・クイーンが活躍するシリーズのひとつ.
偏屈な億万長者が死に,遺産を相続した二人の姪の一人が
ホテルで殺される.
いかにも,アメリカの探偵小説という感じ.ロマンス色が強い.
いとこから引き継いだ蔵書の一部.なんと1965年発売の初版.
ISBN番号がない.
2007年 2月
2007/1/
大山倍達正伝
小島 一志, 塚本 佳子
ISBN4103014512
新潮社
極真空手総裁の虚構に満ちた伝説の真実に迫る,600ページ近い大著.
基本的にはウソを暴いている形なのだが,著者たちに極真空手と大山総裁への
愛があるせいか,いやな感じではない.
前半は韓国人としての,後半は日本人武道家としての大山倍達が描かれている.
前半はほとんど戦後日本史という感じで,石原慎太郎のいう「三国人」の
ニュアンスがようやくわかった気がする.
総裁の死後,極真空手が分裂してしまったのは本当に残念だ.
2007/1/
言語の興亡
R.M.W. ディクソン
ISBN4004307376
岩波新書
進化論の断続平衡モデルを言語の変遷に持ち込んで議論している.
それはそれで納得いくのだが,現代社会の破壊的な影響によって
おそらくは平衡期が今後二度と来ない,というのは,なんというか残念だ.
今まさに失われようとしている,幾多の言語をフィールドワークして記録するべきだ
という主張はすばらしい.
2007/2/19
図書室の海
恩田陸
ISBN4-10-123416-7
新潮文庫
短編集.「夜のピクニック」の前編にあたるものや,「六番目の小夜子」の
外伝?などなど.
解説はなんと山形浩生だ.
2007/2/16
スリーピング・マーダー
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130046-5
ハヤカワクリスティー文庫 46
ニュージーランドからイギリスに帰国し,田舎町に家を買い求めたヒロインは,
観劇の途中で,その家で過去に殺人を目撃したことを思い出す.
その家は,彼女が2歳のころに1年だけ住んでいた家だったのだ.ヒロインとその
夫はミス・マープルの手を借りて昔の殺人事件の真相を追究する.
マープルものとしては最後の作品らしい.よぼよぼになっていくポアロにくらべると
まだまだ元気そうなのだが.
人物造形が巧みでとても面白かった.解説は恩田陸.
2007/2/15
R62号の発明・鉛の卵
阿部公房
ISBN4-10-112109-5
新潮文庫
昭和28年から32年にかけて書かれた短編12編.
世相を写してか,陰鬱な作品が多い.
SFとして読むとやはり古いといわざるを得ない.
読み方間違ってるようなきもするが.
2007/2/12
教会で死んだ男
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130062-7
ハヤカワクリスティー文庫 62
ポアロもの11篇,マープル1篇,怪奇物1篇からなる短編集.
ヘイスティングス君がずっとでていてそれだけでもうれしい.
2編目の,「潜水艦の設計図」は絶対最近読んだことがあるのだが
別の短編集にもはいっていたのだろうか?戯曲集に戯曲版が入ってたとか?
2007/2/10
死への旅
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130090-2
ハヤカワクリスティー文庫 90
冒険小説.冷戦時代,西側から優秀な科学者が次々と姿を消す.
失踪した科学者の一人を追うと見られた妻が事故死.
その妻に髪の毛が似ているというだけの,自殺志願の女性が
スパイとして送り込まれる.
いまいち.
2007/2/9
複合汚染
有吉佐和子
ISBN4-10-113212-7
新潮文庫
「恍惚の人」で知られる著者によって
昭和49年から50年にかけてかかれた,とくに農薬による
公害を告発する書.なんといっても,朝日新聞の「小説欄」に掲載されていた,
というのがおどろきだ.
2007/2/3
複数の時計
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130029-5
ハヤカワクリスティー文庫 29
ポアロもの.情報部員である主人公が手がかりを捜索していると,
一軒の家からタイピストが悲鳴を上げて飛び出してきて,中に死体があると
訴える.死体の周りには4つの置時計が置かれていた.
主人公は友人の警官と調査をするとともに,父親の友人で,
退屈しているポアロにも相談を持ちかける.
やがて,さらに,タイピストの同僚が殺害される.
時計には結局意味がないとか,唐突な兄弟,親子関係とか,
ちょっと反則気味だが,まあよいのでしょう.
ポアロは,なんかよぼよぼになっている.ヘイスティングスは名前だけ出てくる.
ミステリに凝って,いろいろなミステリを評したりするが,
そこにアガサ自身だと思われるオリヴァー婦人が混ざっていたりする.
2007年 1月
2007/1/28
多重化するリアル 心と社会の解離論
香山リカ
ISBN4-480-42286-2
ちくま文庫
多重人格や離人症は,社会的環境の変化に対応できないために必然的に
生じていると説く.たしかに,たぶんそのとおり.
SNS やらSecond Lifeなんか,多重人格化を推し進めるためのシカケみたいなもんだ.
今後世界はどうなるんだろう.
2007/1/28
訊く
中島らも
ISBN4-06-264534-3
講談社文庫
中島らもとさまざまな達人との対談集.
元プロレスラーが面白かった.
この時点では禁酒しているようなのだが,この禁酒はその後も続いた
のだろうか...
2007/1/24
トリポッド 4 凱歌
ジョン・クリストファー
ISBN4-15-011515-X
ハヤカワ文庫SF
3部作完.
4年半後に本星からの機械がとどいて,地球大気を変化させ,人類は滅亡する
ことが判明,地球上3箇所にあるドーム都市を破壊する計画が行われる.
ドーム都市も,トリポッドも意外にもろい.そういえば,この異星人実は
兵器らしい兵器をもっていない.戦争を知らないという設定だし.
異星人を撃退した直後に人類が再度分裂,というのはリアルだ.
その引き金になるのが,みょうに理屈っぽいフランス人だというのも
イギリス人の著者の偏見を反映しているようで面白い.
2007/1/23
トリポッド 3 潜入
ジョン・クリストファー
ISBN4-15-011506-0
ハヤカワ文庫SF
オリジナル三部作の2.主人公は相変わらず,ちょっと
短気でどうにもマヌケだ.
トリポッドの秘密を探るために,ドーム都市に奴隷として潜入する.
2007/1/19
動く指
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130037-6
ハヤカワクリスティー文庫 37
マープルもの.だが,マープルは本当に端役程度にしか出てこない.
戦争で怪我をした主人公が,妹と一緒に田舎町に療養しに行くが,
平和なはずの田舎町に,中傷の手紙が飛び交うようになる.
そして,ある婦人が服毒自殺をとげ,さらにそのメイドが撲殺される.
ヒロイン?である「人間よりもむしろ馬に近い」ミーガンが魅力的.
2007/1/18
トリポッド 2 脱出
ジョン・クリストファー
ISBN4-15-011497-8
ハヤカワ文庫SF
本編3部作の1作目にあたる.
トリポッド襲来から100年がすぎ,大幅に人口を減らした
人類は洗脳キャップをかぶり,中世ぐらいまで退行した
文化生活を営んでいる.子供たちはキャップをかぶっていないが,
14歳になるとキャップをかぶせられる.
主人公はスイスの組織から派遣され世界を巡っている「はぐれもの」に
教えをうけ,友人とスイスを目指す.
いかにも,ジュブナイル.めがねを発明している,フランス人ビーンポール君がいい.
2007/1/17
トリポッド 1 襲来
ジョン・クリストファー
ISBN4-15-011493-5
ハヤカワ文庫SF
ジュブナイルSFとして評価が高いらしい4巻シリーズの1作目.
実は2-4 までがオリジナルシリーズで,1は後から追加された
前日譚という位置づけらしい.1から2までの間はなんと100年ぐらいも
飛んでいるらしい.
ある日,地球上の3箇所にトリポッド(3本足のロボット)が降り立つ.
それらはすぐに撃退されたが,まもなくトリポッド礼賛のテレビ番組が
始まり,徐々に人類は洗脳されていく.
主人公たちは,イギリスから難を逃れてスイスに行き,
ユングフラウヨッホの鉄道トンネル内に隠れ住む,
というところまで.
とても,おもしろい.続刊に期待.
イラストは,西島大介.不必要にポップでこれもよい.
2007/1/12
プルトニウム・ブロンド
ジョン・ザコーアー, ローレンス・ゲイネム
ISBN4-15-011549-4
ハヤカワ文庫SF
スラップスティックSF.
「地球最後の私立探偵」がコンピュータの相棒とともに,
プルトニウムによる原子炉内臓の美人アンドロイドを追う.
まあ,軽くてたまにはこんなのもいいかな,という程度.
今気がついたが,裏表紙の紹介文には「プルトニウムの核*融合*」なんて
書いてある...本文には,融合とも分裂とも書いていないのだが,
プルトニウムで融合はないだろう.大丈夫か?ハヤカワ.
2007/1/11
ひとりっ子
グレッグ・イーガン
ISBN4-15-011594-X
ハヤカワ文庫SF
イーガンの日本独自短編集.
計算の公理セットが違う世界があり,しかもその世界との境界は書き換え可能で,
超高速計算機で境界を向こうに押しやる,という「ルミナス」が
イーガンらしくてよかった.
表題作は,多次元世界論を前提に絶対に多次元に分離しない
存在を人工生命を作るお話.SFがジェットが多すぎてもう
なんだかよくわからない.
2007/1/10
ドナービジネス
一橋文哉
ISBN4-10-142625-2
新潮文庫
フィリピンで臓器を移植する話から,
代理母,胎児ビジネス,クローンまで幅広い.
どこまで本当だかわからないところがアレだが.
心臓病の子供のドナーにするために,子供を誘拐する
という話は怖い.しかし自分の子供のことだったら,
できる限りのことをしようと思ってしまうだろうなあ.
2007/1/6
杉の柩
アガサ・クリスティー
ISBN4-15-130018-X
ハヤカワクリスティー文庫 18
ポアロもの.
富豪婦人の遺産相続人の婚約中のカップルの前に,
美しい庭師の娘が現れ,婚約が破綻する.
やがて,富豪夫人が若干あやしい死に方をし,
さらに庭師の娘が毒殺され,遺産を相続した
富豪の姪に疑いがかかる.
ほとんどノーヒントで,真犯人がでてくるあたり,
ミステリとしては反則に近いのではないか.
まあ,クリスティはそこを楽しむものではないんだろうけど.
ちなみに,原題はSad Cypress.Cypress は糸杉のことで,
柩の材料となるが,切ると生えてこないことから喪の象徴とされている.
のだそうな.
2007/1/4
超・偉人伝
福田和也
ISBN4-10-126124-5
新潮文庫
新潮45連載されていたもの.オバはん編集長にもわかる
偉人伝,という企画.
ナイチンゲール,田中角栄,ヒトラー,ナポレオン,など.
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