2004年 12月
2004/12/27
よくわかる現代魔法 ゴーストスクリプト・フォー・ウィザーズ
桜坂洋
ISBN4-08-630204-7
集英社スーパーダッシュ文庫
シリーズ3作目。今回は弓子が主人公。
手馴れてはいるが、1,2作にくらべるとちょっとパワーダウン。
人物の心理描写をト書きでやりすぎ?
次の作品はこのシリーズではないらしい。期待してます。がんばって。
2004/12/27
巨人軍に葬られた男たち
小田淳太郎
ISBN4-10-107721-5
新潮文庫
精神を病み死亡した、昭和45年の巨人ドラフト1位の湯口投手と、
王貞治監督の解任劇を取材したノンフィクション。
突込みが浅く、期待はずれ。
2004/12/25
万物理論
グレッグ・イーガン
ISBN4-488-71102-2
創元SF文庫
すべての物理現象を説明する統合された理論である万物理論の公表をめぐり、
公表を阻止しようとするカルト教団が暗躍、
さらに、なぞの病気DISTRESSが世界各地で発生する。
短編だったら何本書けるかわからないほどのSF的アイディアを
惜しげもなく突っ込んである。さすがはイーガン。
堪能しました。未訳の長編があと3本ほどあるようだけど、
早く翻訳してほしいものだ。
2004/12/23
象と耳鳴り
恩田陸
ISBN4-396-33090-1
祥伝社文庫
元判事の老人を主人公にしたミステリ短編集。
恩田陸は、トリックや推理を軸にした
いわゆる本格ミステリを書く人ではないと思っていたのだが、
とても面白かった。どの作品もそれぞれ趣がことなり、それでいて質が高い。
ちなみに主人公は、「六番目の小夜子」に登場する、関根秋の父親。
この短編集には、秋の兄と姉が登場するが、それぞれ名前は「春」と「夏」。
「冬」はいないのかな?
2004/12/22
日本の戦争
田原総一朗
ISBN4-09-405002-7
小学館文庫
数ヶ月ぶりに本を読む。
マジソンでは、通勤時間がないのと、仕事が忙しいのとでほとんど本が読めなかった。
日本がなぜ誰が考えても負けるとわかっている太平洋戦争に突入して
しまったのかを、明治維新から説き起こして論じている。
結論は一言ではいえないが、
元老という制度化されていない機構によってかろうじて運用されていた
システムが、元老たちがいなくなったために、意思決定のシステムを
もたなくなってしまった、ということなのだろう。
今現在の日本政府にも、共通する話のようでおそろしい。
2004年 9月
2004年 8月
2004/8/27
遺伝子の使命
ロイス・マクマスター・ビジョルド
ISBN4-488-69811-5
創元SF文庫
原題「Ethan of Athos」。なんと1986年の作品。
マイルズ・ヴォルコシガン シリーズの年表の中でずっと「アトスのイーサン(未訳)」として
紹介されていたのだが、マイルズ自身が作中にまったく出てこないせいか、
翻訳がずっとあとまわしにされていたらしい。
デンダリィ隊のエリ・クインが大活躍。
男性だけが人工子宮を使って生殖を続けている閉鎖的な殖民惑星アトスは、
人工子宮の卵子培養基の機能低下のために絶滅の危機を迎える。
主人公イーサンは、卵子培養基(つまり卵巣)を購入するために、
宇宙ステーションに派遣されるが、
セタカンダのテレパシーをもつミュータントの追跡に巻き込まれる。
いつもながら見事にまとまったプロットと絶妙な人物描写。
ホーガンには彼女のつめの垢を煎じて飲ませたいぐらいだ。
2004/8/22
揺籃の星
ジェイムズ・P・ホーガン
ISBN4-488-66323-0, ISBN4-488-66324-9
創元SF文庫
あのヴァリコフスキーの「衝突する宇宙」を下敷きにしたハードSF、
ってヴァリコフスキーを出した時点でハードSFではない、という説も。
木星から巨大な彗星が飛び出して、地球と接近して、といういわゆる破滅モノ。
3部作の1作目ということだけど、今後どうなるのかまったく展開がよめない。
なにしろ地球はもう滅びてるし。
まあ、次が出たら買わざるを得ないわけですが。
2004/8/19
秘密
東野圭吾
ISBN4-16-711006-7
文春文庫
例の広末涼子主演で映画化された作品。
ずっと前から借りていたのだが、ビデオを見てから読もうと思って
わざと読んでいなかった。結局ビデオを見る暇がなくて先に読んでしまった。
結末の秘密に関しては、なんか別の解釈もありうると思うので
なんなのだが、全体としてはさすがは東野圭吾というべき傑作。
最後のヒロスエのあとがきによるとどうも映画のラストは小説と若干違う
とのこと。ぜひぜひ見てみなければ。
2004/8/15
渡辺恒雄 メディアと権力
魚住昭
ISBN4-06-273811-2
講談社文庫
なんでナベツネがこれほどの権力を握っているのか、
知りたかったので読んでみた。
「どのようにして」権力をにぎったのかはなんとなくわかったが、
「なんで」そうまでするのか、一種異常な権力欲はまったく理解できない。
とりあえず読売新聞の読者にはちょっとこの本を読んでみてほしい。
ある種異能の人であることは間違いない。
先日、一場選手への裏金で巨人のオーナーを辞任したわけだが、
視聴率ががた落ちで、
選手会や一般のファンにもそっぽを向かれて
うまくまわらなくないプロ野球経営を
放り出した、というあたりが本当のところなのではないか。
放り出してくれるのはまったくありがたいわけだが。
2004/8/11
ちょっと笑える話
ベネット・サーフ
ISBN4-16-730902
文春文庫
ランダム・ハウス創設者のひとりで、
アメリカ出版界の大御所だった著者があつめた、ジョーク、実話集。
訳者の常盤新平によるあとがきも味わい深い。
2004年 7月
2004/7/27
さいたまチェンソー少女
桜坂洋
SFマガジンに載った短編。
アメリカ人の祖父からなぞのチェンソー格闘術を受け継いだ少女が、
うちゅーじんにたぶらかされた彼氏を殺しに行く、という。
「よくわかる現代魔法」の後書きにかかれていた話はたぶんこれなのね。
すごいぜ。
2004/7/23
黒蠅
パトリシア・コーンウェル
ISBN4-06-273907-0, ISBN4-06-273908-9
講談社文庫
検屍官シリーズの12作目。
スカーペッタは検屍局長をやめてフロリダにいる。
そんなことより、なんと、XXXXは生きていた!
油断ならないシリーズだ。
最後が、まるで数話残してうちきりになったシリーズものかなにかのように、
バタバタと大団円。これでいいの?
2004/7/21
我語りて世界あり
神林長平
ISBN4-15-030539-0
ハヤカワ文庫JA
エムコムというシステムで、全人類が相互に完全な感情移入をすることで
個体、個性が意味を持たなくなった世界が舞台。
例によってちょっと不思議な。
2004/7/17
銀行倒産 ドキュメント金融恐慌
佐高信
ISBN4-06-185300-7
講談社文庫
昭和2年、大蔵大臣の失言を契機に生じた金融恐慌を描く。
どちらかというと責任を取ることのない官僚と大臣の姿勢に厳しい。
バブル前の1987年に書かれた本だが、今読むと別のリアリティがある。
UFJも東京三菱と合併するらしいし、どうなっちゃうんでしょう。
2004/7/13
百器徒然袋 風
京極夏彦
ISBN4-
角川ノベルズ
榎木戸 探偵大活躍のシリーズ。中篇が3本。
こちらのほうが読みやすくてよい。
最後の最後に主人公(というか狂言回し)の名前がようやく出てくる。
む?ということは、これで終わりなのかな?もったいないような。
幹となるシリーズのほうは妙に重くて読みにくいけど、
こちらのほうは気楽に読めてよい。
2004/7/1
慶応四年のハラキリ
夢枕 獏
ISBN408747254X
集英社文庫
短編集。「上段の突きを喰らう獅子」は、自身の「上弦の月を喰べる獅子」
のパロディであると同時に、なぜか宮沢賢治のパロディ。
タイトルはいいんだけどね、タイトルは。
うーん。いまいち。
2004年 6月
2004/6/22
トンデモ本の世界S
と学会
ISBN4872338480
太田出版
トンデモ本シリーズの最新刊が2冊同時発売されていたので、まずは1冊購入。
まあいつもどおり。
2004/6/14
不安な童話
恩田陸
ISBN4-10-123414-0
新潮文庫
25年前に死んだ画家の遺作展で倒れた主人公は、
その画家の生まれ変わりではないかと告げられる。
主人公はいろいろと「見えて」しまう人なのだが、
物語の骨格はあくまで推理小説。おもしろい。
2004/6/12
六番目の小夜子
恩田陸
ISBN4-10-123413-2
新潮文庫
かなり手が後から入っているらしいが、一応デビュー作らしい。
3年ごとにサヨコが現れ文化祭で劇を上演するという慣わしがある
地方の受験校が舞台。
6人目のサヨコが現れるべき年に、沙世子という美少女の転校生が現れる。
恩田陸の特徴なのだろうか、
どこまで幻想で、どこから現実なのかが最後になってもよくわからない。
青春群像を描いてさわやか。ジュブナイルとして楽しむのが正解?
2004/6/5
UNIXという考え方
Mike Gancarz
ISBN4-274-06406-9
オーム社開発局
小さいプログラムをシェルスクリプトでつなぐ設計指針を提示する
UNIX 万歳本。
まあ、小さいシステムならそれでいいのだろうけど、やっぱり
大きいシステムは、その方針では作れないよね。
2004年 5月
2004/5/28
よくわかる現代魔法 ガーベージコレクター
桜坂洋
ISBN4-08-630184-9
集英社スーパーダッシュ文庫
中学高校の某サークル後輩の処女単行本に早くも続編が!
なにはともあれめでたい。
今回は、もともとの主人公であるはずの女子高生はほとんど活躍せず、
ほとんど美鎖ばっかり。が、おかげで焦点が散漫にならず、より魅力的に
書けていると思う。
こんな感じで、一人ずつ書いていくといいのかもしれない。
佐伯の弟と「キョウコ」の話はいつかかかれることがあるのだろうか。
わざとなのかもしれないが、ガーベージコレクターという書き方は理系っぽくない。
ガベージコレクタ が自然かな。
2004/5/24
朝霧
北村薫
ISBN4-488-41305-6
創元文庫
「円紫師匠とわたし」シリーズ5巻。
わたしは、無事大学を卒業、出版社に就職。
最後の短編では就職後数年がたっている。
このまま、時々続編が出る、というシリーズになってくれると
よいなあ。
2004/5/14
獅子の門 白虎編
夢枕獏
ISBN4334075592
光文社 カッパブックス
夢枕獏の格闘ものの5巻。
4巻が出るのに10年以上かかったが、5巻はわりと速かった。
加倉文平がでかいだけの奴に負けるのは納得行かないが、
文平はある意味で主役(のひとり)ではないからしかたないのか。
トーナメントが終わったらどうするつもりなんだろう。
きれいに落ちをつけてほしいものだが、だらだら続きそうな気もするなあ。
2004年 4月
2004/4/30
麦の海に沈む果実
恩田陸
ISBN4-062739275
講談社文庫
「三月は」の第4部の一部を構成していた「謎の学園帝国もの」を長編化したもの。
この作品の側からも「三月は」への言及があるため、参照がループになっている。
広大な湿地の中の広大な中高一貫の学園に記憶を失った転校生がやってくる。
オチは若干読めていたような気もする。
2004/4/28
光の帝国 常野物語
恩田陸
ISBN4087472426
集英社文庫
ある種の超常能力を持つ「常野」の人々を描く連作短編集。
どの話も独立しているのだが、なんとなく関連している。
ある意味尻切れトンボなので、続きを希望。
2004/4/26
童貞
酒見賢一
ISBN4087473619
講談社文庫
女系社会で育った少年が、女系の象徴でもある大河に対する復讐を企てる
実は夏王禹だった、というオチ。
2004/4/23
波の上の魔術師
石田衣良
ISBN4163202803
文春文庫
フリーターの主人公が、老相場師に見込まれて弟子入りし、
銀行株をターゲットにした仕手戦に挑む。
果たして銀行株で大もうけすることが銀行に対する復讐として成立しているのか
どうかよくわからない。どうなんでしょう?
ともあれ面白かった。
2004/4/8
三月は深き紅の淵を
恩田陸
ISBN4062648806
講談社文庫
4部構成の長編。各部は独立しておりそれぞれ中篇として読める。
「三月は深き紅の淵を」という小説が小説の内部に出てくる。
1部は、4人の老人がこの小説を書こうとしているが、それをネタに
若者をからかう話。
2部は、二人の女性編集者がこの本の作者を探しに出雲に旅する話。
3部は、「球形の季節」とおそらくは同じ町を舞台にした、二人の美しい
異母姉妹ががけの上の公園から墜落死する話
4部は、3つの話が混在するモザイクのような印象の定まらないはなし。
2004/4/13
堪忍箱
宮部みゆき
ISBN4101369224
新潮文庫
宮部みゆきの江戸時代もの。
2004/4/6
あなたの人生の物語
テッド・チャン
ISBN4-15-011458-7
早川文庫SF
短編集。いずれも傑作だが、
人類とまったく異なる方法で世界を知覚する異星人との交流を通して、
主人公が時間にとらわれない知覚を得る表題作や、
文字の組み合わせでゴーレムを動かすことができる世界を
描く「七十二文字」などが印象的。
イーガンとル・グィンを足したような、といったらほめすぎか。
この短編集以外に作品がないというのがなんとも残念。
ぜひもっと書いていただきたい。
2004/4/2
だれが「本」を殺すのか
佐野眞一
ISBN4833417162
プレジデント社
再販制度に依存しきった版元、中卸、書店、台頭するインターネットサイト
やBOOK OFF、ハリポタを大量に買い込む図書館、と、
本に携わる広範な人々にインタビューしたドキュメンタリー。
本屋がストックとフローの両方を担わされている、というのはなるほど。
この本も図書館で借りていたので、ちょっと申し訳なく思ったり。
2004年 3月
2004/3/10
記憶は脳のどこにあるか
酒田英夫
ISBN4000077279
岩波書店 NEW SCIENCE AGE
概観しているだけで、結局よくわからない。
2004/4/10
表面の世界
荻野圭三
ISBN4785386959
裳華房 ポピュラーサイエンス
固体表面の話を期待していたのだが、主に液体の表面活性の話だった。
応用範囲が非常に広いことがわかった。
2004/4/10
超ひも理論と宇宙
吉川圭二
ISBN4785386843
裳華房 ポピュラーサイエンス
何度読んでもわかったようなわからないような。
2004/3/5
球形の季節
恩田陸
ISBN4-10-123412-4
新潮文庫
4つの高校がある東北のある町で、エンドウさんがいなくなるという
うわさが広がり、実際にエンドウという名の生徒が行方不明になる。
なんとも表現しにくいが、独特の引き込まれるような世界観。
おもしろい。背表紙のあおりには「学園モダンホラー」と
なっているが、うーん、なんか違うような。
2004年 2月
2004/2/29
宇宙人は本当に実在する
矢追純一
ISBN4-309-25102-1
河出書房新社
UFOオヤジの本。トンデモ本の世界などではよく知っているが、
やはり原典にあたらなければ、ということで。
2004/2/27
危険な頭痛 気になる頭痛
鈴木一郎
ISBN4-391-11814-9
主婦と生活者
頭痛には血管性頭痛と緊張性頭痛があるそうな。
私のはどうも血管性ぽい。カフェインで収まる理由もなんとなく
納得。
2004/2/26
予知夢
東野圭吾
ISBN4-16-711008-3
文春文庫
ひさびさの東野圭吾「探偵ガリレオ」の続編。
科学者の主人公が、大学の同級生の刑事から持ち込まれる不思議な事件を解き明かす。
軽く読める。
2004/2/24
宇宙をあやつるダークマター
池内了
ISBN4-000065025
岩波科学ライブラリー 2
宇宙の重量の大半を占めるとも言われる
ダークマターに関する研究の現状をまとめたもの。
2004/2/23
よくわかる現代魔法
桜坂洋
ISBN4-08-630163-6
集英社スーパーダッシュ文庫
中学高校の某サークル後輩の処女単行本、ということで購入。ちょっと表紙が恥ずかしい。
内容的にも、かなり恥ずかしかったりするが、魔法の解釈はなかなかに斬新。
同期したループを世界中のコンピュータで走らせて依代にする、なんていうのは
すばらしい。どうやって、マイクロセカンド単位で同期するんだろう、とか、
同じプログラムでループを走らせたら、速度差でどんどんずれていってしまう
よなー、とかいうこととはさておき。
実際、まったく同じネタでかなりそれっぽいSFホラーがかけると思う。
そういう方向に行かないのは、本人の嗜好なんだろうから仕方ないけど。
とりあえず、次回作にも期待。がんばれ。
大根いりのカレーはよく作ってる。
レタスのゴマよごしだっておいしいに決まってる。
先入観はいかんですね。
2004/2/22
茄子 1-3
黒田硫黄
ISBN4-06-314272-8, 06-314295-7, 06-314314-7
講談社 アフタヌーンKC
一応連載漫画なのだが、毎回話がかわる謎の作品。
うち一編が、去年「アンダルシアの夏」というタイトルでアニメにもなったらしい。
絵柄もころころ変わるし、内容も、急に自転車レースになったりSFになったり
時代劇になったり、とすごい。
こんなものが連載されるからアフタヌーンはあなどれない。
2004/2/16
テスラ 発明的想像力の謎
新戸雅章
ISBN4-87593-268-5
工学社
テスラに事寄せて好きなこと書いている、という感じ。
最後のカメラの話なんてテスラほとんど出てきてませんが。
2004/2/13
バカの壁
養老孟司
ISBN4-10-610003-7
新潮新書
いわずと知れたベストセラー。だが、中身はとても薄いような。
インタビューだから、というわけでもないだろうが、
話に焦点がなく、あっち行ったりこっち行ったり。
何で売れたんだ?
2004/2/9
失敗しない家の建て方・選び方
別冊宝島編集部
ISBN4-7966-2150-4
宝島社文庫
後半の技術的な話は面白かったんだけど、
前半の税金の話は難しくてよくわからなかった。
もう一度落ち着いて読み直しましょう。
2004/2/7
寄生虫学はおもしろい
藤田紘一郎
ISBN4-89706-868-1
羊土社 ひつじ科学ブックス
とっつきやすそうな想定に反して、中身は相当にハード。
特に免疫関係の単語が説明なしにバンバン出てくるので、
その辺は読み飛ばすしかない。
2004/2/6
インターネットはからっぽの洞窟
クリフォード・ストール
ISBN4-7942-0743-3
草思社
ハッカーを捕まえる傑作「カッコウはコンピュータに卵を産む」の著者が
インターネットが爆発的に普及しつつある1995年に書いた作品。
原題のsilicon snake oil の
snake oil は、(インチキの)万能薬というようなニュアンスらしい。
ガマの油みたいなものか?
結局、論点は「インターネットはすばらしいかもしれないけど、万能では
ありえないから、あんまりそっちにお金を使うのはまずいだろう」
というところに尽きるか。
2004/2/5
東池袋・大勝軒のオヤジさんが書いたこれが俺の味
山岸一雄
ISBN4-86-063030-0
あさ出版
サンシャイン裏にある、1時間は並ばないと食べられないラーメン屋大勝軒の
名物オヤジの書いた自伝。荒川沖の大勝軒でつけ麺をたべながら読んだ。
人柄のつたわってくるなかなかよい本。
気になるのは、あと2年で今の店は閉めなければならない、と書いてあったこと。
建物の関係なのだろう。2003年7月出版の本だから来年まで、ということか。
もう一度行っておくかな。
2004/2/4
古代日本の超技術
志村忠夫
ISBN4-06-257175-7
講談社ブルーバックス
下の本とタイトルはすごく似ているがぜんぜん関係ない。
下の本は横書き、こちらは縦書き。
内容は神社仏閣の建築の話や、日本刀の話など。
著者は電子デバイス関連の技術者らしいが、あれこれちょっとこじつけがすぎる。
古代の鉄は確かにさびなかったかもしれないが、
それは単に、技術的、原料的制約による意図しない副産物に過ぎず、
それをもって古代の技術が優れていて、現在のはだめだ、という
議論にはならないと思うのだけど。
2004/2/2
図解 古代・中世の超技術38
小峯龍男
ISBN4-06-257262-1
講談社ブルーバックス
超技術という言葉に怪しいものを期待していたのだけど、
自動的にあく神殿やら、最古の自動販売機やら、まともな
ものばかり。紀元前1世紀のヘロンという人の書き残した
ものがたくさん出てくる。
2004年 1月
2004/1/30
続 ハッブル望遠鏡が見た宇宙
野本陽代
ISBN4-00-430691-4
岩波新書
「星雲」という言葉は「銀河」と同じような意味かと思っていたのだが、
星が爆発した後の塵が拡散したような状態も星雲というのね。
知らなかった。
2004/1/30
豆腐小僧双六道中 ふりだし
京極夏彦
ISBN4-06-212214-6
講談社
妖怪マニア京極夏彦による、狂言形式の、妖怪入門。
主人公は豆腐小僧。これは、あの相原コージ描くところの
「お盆小僧」とおなじものか?
どうでもいいけど、版型がすごく分厚い正方形(15cm x 15cm x 5cm)で
すごく読みにくい。もうちょっと何とかならないのか?
2004/1/17
人はなぜハマるのか
廣中直行
ISBN4-00-006580-7
岩波科学ライブラリー 80
薬物などに対する依存がなぜ生じるのか、を説いている。
基本的には強化学習機構の副作用である、ということなのか。
2004/1/16
プリオン病の謎に挑む
金子清俊
ISBN4-00-006593-9
岩波科学ライブラリー 93
BSEの原因とされるプリオンに関するモノグラフ。面白い。
プリオン病は自然発生するが、通常の状態では
個体が死ぬだけであり、広く伝染する類のものではない。
それを伝染するようにしてしまったのは、肉骨粉による
人為的な共食いだった、ということか。
このシリーズ、100ページ前後に1つのトピックがまとまっていて
わかりやすくてとてもよい。見つけたら借りることにしよう。
2004/1/14
ザ・ベリー・ベスト・オブ「ナンシー関の小耳にはさもう」100
ナンシー関
ISBN4-02-261418-8
朝日新聞社
2002年に急逝したナンシー関が
週刊朝日に連載していたエッセイのベスト版。
視点はするどいし、なるほどと思わされることもおおいが、
なんでこの人、芸能界ばっかりなんだろう?
もう少しほかに目を向けると周りの人も助かっただろうに。
2004/1/10
百鬼夜行抄 1-5
今 市子
朝日ソノラマ ソノラマコミック文庫
昔2巻まで借りて読んだことのある漫画を再読。今度は文庫で5巻まで。
主人公は作家であるおじいさんの使い魔「青嵐」を引き継いでしまい、
そのせいでさまざまな神霊と交わることになる。
絵もお耽美でなかなかよい。
2004/1/8
チョムスキー
田中克彦
ISBN4-00-600035-9
岩波現代文庫
チョムスキーの言語学の歴史上での位置を(批判的に)述べた本。
生成文法の細かいルールなどには立ち入らず、その
意外にナイーブなコンセプトの、
相対的な位置を述べているのでわかりやすい。
今度は生成文法の細部を勉強してみたい。
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