2015年1月27日火曜日

自爆する若者たち―人口学が警告する驚愕の未来

自爆する若者たち―人口学が警告する驚愕の未来 グナル・ハインゾーン ISBN4106036274 新潮選書

戦闘可能な若年成人男子の層が拡大した状態をユース・バルジといい、このユース・バルジが 移住や侵略、クーデターによる内戦の主たる原因であると説く。 ここで重要なのは単に過大な人口によってこれらの自体が発生するのではなく、 社会的なポストの不足によって引き起こされるという点。 したがって、人口密度という意味ではそれほど高くない状況でも起こるし、 主体は食い詰めた貧民ではなく、十分な教養を受けたが惣領にはなれない次男坊、三男坊である。 大航海時代のヨーロッパの急拡大も、ペスト禍から回復するために、それまで暗黙裡に行われていた 産児制限を禁止したためである、と。

つまり、今起こっているイスラムとの衝突は、イデオロギー的である以前に、 人口構造の問題である。しかも、この先10年ぐらいは絶対に解決しないということか。 なんてこった。

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グナル ハインゾーン
新潮社
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邪馬台国は沖縄だった!―卑弥呼と海底遺跡の謎を解く

邪馬台国は沖縄だった!―卑弥呼と海底遺跡の謎を解く 木村 政昭 ISBN4476033059 第三文明社

邪馬台国の場所に異論があるのは、 魏志倭人伝で書かれている経路だと九州にも畿内にも行かず南に突き抜けてしまうからだが、 実はほんとに南に突き抜けた所にあったんじゃね?という趣旨。 ちょっと虚を突かれた感がある。

沖縄周辺は隆起したり沈降したりしており、邪馬台国の頃はもっと広かった、首里城よりも大きい 遺跡が北谷に沈んでいる、という。 まあ、この辺りまではいいとして、徐福がどうこうとかいう話になると眉唾どころではないような。。

ちなみに第三文明社だったが、創価学会の教義とは全然関係ない。こういう本も出してるのね。

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木村 政昭
第三文明社
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2015年1月23日金曜日

恐竜はなぜ鳥に進化したのか―絶滅も進化も酸素濃度が決めた

恐竜はなぜ鳥に進化したのか―絶滅も進化も酸素濃度が決めた ピーター・D. ウォード ISBN4163699600 文藝春秋

地上の酸素濃度は過去において大きく変動しており、その変動が引き金となって進化が引き起こされた、と説く。 そもそも酸素濃度が大きく変動しているというのが驚きだ。 プレート移動による鉱床の引き込みや、木質層の埋没によるらしい。

もうひとつ驚いたのは、鳥の肺の構造。哺乳類の肺は肺そのものが拡大、縮小して吸気、排気するが、 鳥の肺は隔壁型といって一方通行のシリンダーになっていてそれ自体は稼働せず、 吸気された空気は肺後方の気嚢に一度蓄えられてから前方の肺をとおして排気される。 このため、鳥の吸気効率は哺乳類よりもはるかによいらしい。 この機構は恐竜時代に、低酸素時代への適応として進化したのではないか、という。

どのくらい定説となっているのかわからないが、とても面白かった。

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ピーター・D. ウォード
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生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント

生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント 西原 理恵子 ISBN4166608681 文春新書

西原理恵子の身も蓋もない人生相談。しかしこの芯の太さは一体なんなんだろう。。 「ちくろ幼稚園」のころから読んでるけど、ホントただもんじゃないよな。。 戦場カメラマンと結婚したというのにもびっくりしたけど、その後の離婚、再婚、 彼の死もびっくり。そしてまた今の高須のかっちゃんにもまたびっくり。 この人、人間のスケールで言えば、日本最大級なんじゃないだろうか。。。

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超絶バブルの安全な投資術 バブル期に始める株式投資の勝ち方

超絶バブルの安全な投資術 バブル期に始める株式投資の勝ち方 安間 伸 ISBN4492732942 東洋経済新報社

2013年7月刊行。アベノミクスを受けて、これからバブルので株を買おう! という趣旨。前7割がたは金融緩和によるとインフレターゲットの解説。 後ろの方に、何を買うべきかが書かれている。

1年半経ってみると、たしかに株はずいぶん上がっているけど、バブルって言うほどにはならなかった。 消費税増税の影響もあるのだろうけど。 私の世代だと、輸出系を買えという御託宣だが、これは今も有効なんだろうか。

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安間 伸
東洋経済新報社
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2015年1月17日土曜日

あの頃の誰か

あの頃の誰か 東野 圭吾 ISBN433474897X 光文社文庫

バブルの頃に書かれた未収録ミステリー短篇を集めたもの。 空気感が懐かしい。 「秘密」の原型となった短編「お父さん」収録。この話苦手なんだよなあ。。

あの頃の誰か (光文社文庫 ひ 6-12)
東野 圭吾
光文社 (2011-01-12)
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アイヌは原日本人か

アイヌは原日本人か 梅原 猛, 埴原 和郎 ISBN4094600442 小学館ライブラリー

1982年に出た対談本が、1993年に文庫化されている。さすがに古い。

ちょっと面白かったのは、金田一京介が日本語は膠着語だが、アイヌ語は抱合語なので 言語的には関係ない、としたのが間違いで、もともと同系統の言語なのではないか、 という指摘。この話その後はどういう整理になってるんだろうか。

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梅原 猛 埴原 和郎
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2015年1月12日月曜日

アベノミクスの終焉

アベノミクスの終焉 服部 茂幸 ISBN400431495X 岩波新書

アベノミスクは実はうまくいっていないのではないか、ということをデータに基づいて精密に議論。 これはこれで、説得力がある。多分そういうことなんだろうなあ。

高橋洋一の理屈では、通貨供給量によってインフレ予想をコントロールすることになっていたが、 よく考えてみると通貨供給量を増やすとインフレになると予測してくれるという点に関して とくに根拠が提示されていない。

この本を読んでフラストレーションがたまるのは、代案を提示していないからだろう。 そういう本じゃないのはわかっているのだけど。いまだに経済学というのは 何も予想することができず、どうすべきか教えてくれる事もできないのだなあ。。

アベノミクスの終焉 (岩波新書)
服部 茂幸
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2015年1月11日日曜日

生命保険の罠 保険の営業が自社の保険に入らない、これだけの理由

生命保険の罠 保険の営業が自社の保険に入らない、これだけの理由 後田 亨 ISBN4062814854 講談社+α文庫

著者は元ニッセイの営業マンで、独立して保険アドバイザーをしている。 基本的に保険は掛け捨てで、パッケージではなくアラカルトで選ぶべき、 入院補償などの「あったほうがいい」程度のものは、確率と費用を勘案して 慎重に選択するべき、とのこと。

基本的に騙してなんぼみたいな感じになってる。祝い金なんてほぼ詐欺だし。 CMの関係か、テレビも絶対にこういう話を取り上げないからなあ。。 もうすこし厚労省が宣伝の仕方に制約を加えるべきなのではないか。

イナイ×イナイ

イナイ×イナイ 森 博嗣 ISBN4061825313 講談社ノベルス

思い出すために読み直してみた。 美術品鑑定のために出入りしている屋敷で殺人事件が起こるという構図はムカシ×ムカシと同じで 読んでいると混乱してくる。この話では鷹知はでてくるけど椙田はほとんど出てこない。 というか登場人物リストでは椙田事務所の面々よりも上に鷹知が載ってるくらいだ。

犯行の態様はかなり異常だけど、推理小説として許容範囲でよかった。

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CUDA by Example 汎用GPUプログラミング入門

CUDA by Example 汎用GPUプログラミング入門 Jason Sanders, Edward Kandrot ISBN4844329782 インプレスジャパン

今更ながらGPGPUのお勉強。非常に平易に書かれた入門書。わかりやすいが、 パフォーマンスチューニングの方法はこれを読んでもなかなかわからない。 チューニングに必要な定量的なデータがもう少し載っているとうれしいのだけど。。

この後、読むのにいい本ってあるのだろうか。

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2015年1月10日土曜日

ムカシ×ムカシ

ムカシ×ムカシ 森 博嗣 ISBN4062990202 講談社ノベルス

椙田探偵事務所で働く学生バイト真鍋くんと、女性従業員小川さんが活躍するXシリーズの第4作。 1作目から3作目までが2007年5月からの8ヶ月の間に立て続けに出たのに、 その後6年半も放置され、2014年6月にこの4作目が、11月に5作目がでている。この分だと6作目までは すぐにでてまた放置だろうか??

大正期の女流作家である百目一葉の子孫である百目鬼家で老境の当主夫妻が殺害される。 真鍋と小川は、当主の孫娘が守る屋敷で遺産の整理に従事していたが、 屋敷の井戸で当主の甥の死体が発見され、さらに当主の娘も密室で殺害される。

このシリーズがどんなだったか、完全に忘れていたので、ちょっと読み直さないと。 一応密室殺人が出てくるのだけど、トリックすら明かされず完全にスルーされているところが すごい。いちおうミステリーなのに。。。

ムカシ×ムカシ (講談社ノベルス)
森 博嗣
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2015年1月7日水曜日

MASTERキートン Reマスター

MASTERキートン Reマスター 浦沢 直樹, 長崎 尚志 ISBN409186726X 小学館

名作Masterキートンの20年後を描く。 キートンはもう一歩のところでまだ博士号が取れず。 娘は結婚するも離婚。 お父さんもご存命。しかし、犬の太助まで生きてるっていうのはちょっと不自然か。

あいかわらず、素晴らしく良い。一時は全部持っていたシリーズを手放してしまったのが残念だ。 電子出版でまた買うかな。。

MASTERキートン Reマスター (ビッグ コミックス)
浦沢 直樹 長崎 尚志
小学館 (2014-11-28)

2015年1月4日日曜日

グローバル恐慌―金融暴走時代の果てに

グローバル恐慌―金融暴走時代の果てに 浜 矩子 ISBN4004311683 岩波新書

2009年1月に出た本。2008年9月15日のリーマン・ショックのわずか3ヶ月後。 サブプライムローン債権化の話がわかりやすく説明されている。

この人は毎年のように今年こそ恐慌が起こるというような本を書いていてオオカミ少年的あつかい になっているけど、基本的にグローバル化した経済がアンコントローラブルで本質的に 制御不能だ、という畏れ自体は正しいと思うんだよなあ。

グローバル恐慌―金融暴走時代の果てに (岩波新書)
浜 矩子
岩波書店
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