2009年6月25日木曜日

百億の星と千億の生命

百億の星と千億の生命 カール・セーガン ISBN4102294058 新潮文庫

カール・セーガンの絶筆.原題は"Billions & Billions". 「コスモス」でのカール・セーガンの決まり文句だったらしい.本人はそんなこと言っていないと言っているが.内容は専門の天文学のことだけでなく,環境問題や政治にも踏み込んでいる.

「コスモス」はすばらしい番組だった.当時中学の先生がカール・セーガンの物まねをしていたのを思い出す.物まねと言っても,夢見るような目つきで斜め上を見上げて口をあけるだけだったが.

最後の章には彼の闘病生活が書かれており,エピローグは残された妻が書いている.

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カール セーガン
新潮社
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2009年6月22日月曜日

どろろ

どろろ 手塚治虫 ISBN425316997X 秋田文庫

小学生のころに立ち読みして以来,30年ぶりの再読.父親の野望の為に,体のパーツを魔物に取られて生まれてきた百鬼丸が,夜盗の娘どろろと,パーツを取り返すための旅を続ける.

終わり方が妙に中途半端のような.ところで,なんでタイトルが主人公じゃなくてどろろのほうなんだろう?

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手塚 治虫
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2009年6月20日土曜日

スターシップ―反乱

スターシップ―反乱 マイク・レズニック ISBN4150117063 ハヤカワ文庫SF

傑作「キリンヤガ」の作者によるスペオペ. 主人公ウィルソン・コールは数々の勲章を受けているが,同時に上官の命令に反対したことで左遷され,辺境をパトロールするセオドア・ルーズベルトに任官される.退屈な任務になるかと思われたが,任官されたその日のシフト中に敵艦が惑星に着陸したことを知り,シャトルで惑星に向かう.

印象としてはビジョルドのマイルズものに近い.著者の作品は結構邦訳されているのだけど大半が絶版.こういうのなんとかならないものか.

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マイク レズニック
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2009年6月19日金曜日

紙魚家崩壊 九つの謎

紙魚家崩壊 九つの謎 北村薫 ISBN4061826379 講談社ノベルズ

力の抜けた短編集.表題作のタイトルは当然ポーの「アッシャー家の崩壊」からとられてるのだろうけど,全然関係ない感じ.

最後の中編は、カチカチ山をミステリとして再構成したもの.実にそれっぽい話に仕上がっていて,なんというか,流石である.

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2009年6月18日木曜日

魂の重さは何グラム?

魂の重さは何グラム? レン・フィッシャー ISBN4102172513 新潮文庫

「ビスケットを崩壊させずに紅茶に浸す方法の研究」によって99年にイグ・ノーベル賞を受賞した科学者による科学エッセイ集.本職は化学らしい.注釈が非常に充実した本で,本文が220ページぐらいなのに,注釈が80ページぐらいある.大変おもしろいので他の著書もよんでみたいところだが,いまのところ翻訳されているものはこれ以外には無いようだ.残念.

ヤング率のヤングが光の波動論を主導?していたのは知らなかった.昔の学者は芸域が広いなあ.

魂の重さは何グラム?―科学を揺るがした7つの実験 (新潮文庫)
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2009年6月14日日曜日

ThoughtWorksアンソロジー

ThoughtWorksアンソロジー ThoughtWorks Inc. ISBN487311389X オライリージャパン

アジャイル界隈で有名なThoughWorks社のエンジニア14名による,それぞれテーマの異なるエッセイ(?)集.DSLをいろいろな方法で構成する話,多言語プログラミングのあたりは面白かった.「サービス進化パターン」で触れられている,「WSDLが新しくなっちゃってウェブサービス動かない」問題は,Globusの4.0と4.2のあいだでまさに起きていたり.

私の職種では,アジャイル開発はわりにどうでもいいので,いまひとつありがたみがわからなくて残念.

2009年6月12日金曜日

情報科学のための自然言語学入門―ことばで探る脳のしくみ

情報科学のための自然言語学入門―ことばで探る脳のしくみ 畠山雄二 ISBN4621072692 丸善

期待していたものとはまったく違った.生成文法を帰納的に求めていく過程が,著者のいう「科学的」に,書かれているだけ.どこがどう「情報科学のための」なのか?導かれた文法も,「すごく奇麗に一般化できたんですよ,ここまで一般化しちゃうと使い道は無いんですけどね」的なものに見えるが...

この本は,自然言語が主題なのではなく,自然言語を題材に「科学」を語っているのだろう.ただ,科学の対象として,自然言語はあまり向いていないので,説得力が全然ない.企画自体に無理がある.「科学」の捉え方もかなりプリミティブで,ちょっとどうかと思う.

あと,文中の図の繰り返しが異様に多くうんざり.ページ数稼ぎ?

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2009年6月10日水曜日

カズムシティ

カズムシティ アレステア・レナルズ ISBN4150115710 ハヤカワ文庫SF

これは読んでないと思って読み始めたらどうもおかしい.メモを見返してみると既読であった.うーん,俺って.

現代的だが,本質的にはハードボイルドなスペースオペラ.主人公は,スカイズエッジ星から仇を追ってイエローストーン星のカズムシティにたどり着く,という話.ストーリーよりも,融合疫,軌道エレベータの破壊,亜光速船の冷凍カプセル投棄,巨大宇宙船に偽装する生命体などのガジェットを楽しむものなのだろう.「啓示空間」の登場人物の名前がちょっと出ていたり.エンディングに出てくる女性兵士は「啓示空間」の主役? 「量子真空」という続編もあるようだ.1600円(税別)...文庫本の値段か?

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自然言語処理

自然言語処理 天野 真家,宇津呂 武仁,成田 真澄,福本 淳一,石崎 俊 ISBN4274204650 オーム社

自然言語処理に関する教科書.いかにも教科書的によくまとまっている.

理論はともかく,言語の単語レベルにくると結局ヒューリスティクスと例外のかたまりになっちゃうのは,しょうがないのだろうか.計算機パワーとストレージ容量で押し切る方法はないのだろうか.

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2009年6月6日土曜日

ベガーズ・イン・スペイン

ベガーズ・イン・スペイン ナンシー・クレス ISBN4150117047 ハヤカワ文庫SF

短編集. 「ベガーズ・イン・スペイン」「眠る犬」「戦争と芸術」「密告者」「想い出に祈りを」「ケイシーの帝国」「ダンシング・オン・エア」.「眠る犬」は「遥かなる地平(1)」で,「ダンシング・オン・エア」は「90年代SF傑作選(下)」で既読.

表題作「ベガーズ・イン・スペイン」と「眠る犬」は,遺伝子改変により眠らなくなり,知的で,情緒が安定し,あまつさえ不老不死になってしまった無眠人と,従来の有眠人の対立を描く.タイトルは,一人のスペインの乞食が来たら1ドルをやるだろうが,1000人来たらどうする?という比喩的な思考実験を意味する.

ナノテク,遺伝子改変など90年代っぽいガジェットと,登場人物に対する乾いた筆致が,現代SFっぽい.同じ著者のプロバビリティ・シリーズが最近邦訳されている.このシリーズは「密告者」の世界をベースにしているらしい.これらも機会があったら読んでみたい.

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2009年6月5日金曜日

グリーンIT 完全理解!

グリーンIT 完全理解! ITproグリーンIT取材班 ISBN4822234215 日経BP社

ネコも杓子もグリーン,ということで読んでみた.グリーンITは大きく分けて,IT「による」省エネルギーと,IT「の」省エネルギー,という側面があるわけだが,バランスよく書かれていて,資料としてもよくまとまっている.

データセンターにおける,グリーンITとしては,冷却と電源の見直しが一番効きそう.体育館みたいな部屋を一律に冷やすのは明らかに馬鹿げている.極論すれば機器のインテークだけ冷えて入ればよいのだから.電源も高効率化,DC化がうまく行けばそうとう稼げそうだ.

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2009年6月4日木曜日

そこが知りたい「脳の病気」

そこが知りたい「脳の病気」 天野 恵市 ISBN4101204217 新潮文庫

ベテラン脳外科医が,さまざまな脳の病気を分かりやすく解説. 各章の後半はエッセイになっていて,読みやすい. てんかんの原因のほとんどが難産だ,ということをここまではっきり書いてある 本もちょっとめずらしいかも.

栗本慎一郎の解説がちょっとウザい.

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2009年6月1日月曜日

水木しげるの日本妖怪紀行

水木しげるの日本妖怪紀行 水木しげる,村上健司 ISBN4101357323 新潮文庫

イラストが見開き一枚,水木しげるによる解説が見開き2ページ,村上健司による「探訪ガイド」が見開き2ページ,という構成で,1妖怪を6ページで紹介.イラストは既発表のものを集めただけなんじゃないだろうか.「探訪ガイド」はちょっと画期的でその妖怪ゆかりの地への訪れ方が,XXX線YYY駅から徒歩Z分みたいに書かれている.レストランガイドみたい.

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