理不尽な進化: 遺伝子と運のあいだ
ISBN4255008035
朝日出版社
進化論の適応的説明の持つトートロジー的な構造を議論。 スティーブン・ジェイ・グールドは、進化論に関する多数のエッセイで知られる。 一方、リチャード・ドーキンスは、「利己的遺伝子」で高名な進化論学者。 この二人の間に長年の論争があったことは知っていたが、詳細は全然把握していなかった。 本書には議論の顛末が周辺事情をふくめて詳しく書かれている。
結局グールドは自ら混乱して自滅したという評価なわけだが、それでも著者は ある意味でグールドの肩を持っている。 グールドの、依存しつつ反発するという態度は矛盾しているかもしれないが、 非常に誠実な態度だと思う。 一方、ドーキンスの揺るぎのない信念もまた魅力的。
本書は非常に丁寧に書かれていてわかりやすい。端折ればいくらでも短くなりそうだが それだとこのニュアンスは伝わらないだろう。良書。
0 件のコメント:
コメントを投稿