2012年1月28日土曜日

セドナ、鎮まりてあれかし

セドナ、鎮まりてあれかし 泉 和良 ISBN4150310181 ハヤカワ文庫JA

舞台のセドナは、冥王星よりもさらに遠い楕円軌道をもつ実在の小惑星。この世界では 人工太陽を持ち、人口的に重量物質を内核に流し込まれて、大気を持ち 居住可能な環境としてテラフォームされている。しかし、 過去において大規模な人類同士の抗争の戦場となり、多数のナノマシンが ばら撒かれた結果、生態系が破壊されて、ほとんど居住不能になっている。 夜になるとナノマシンの砂嵐が吹き荒れる。

このお話は、戦闘において脳にダメージを受けたため、聖なる白痴となった 主人公ゴロが、セドナに唯一駐留する老将軍と、お供のアンドロイドとともに 先の大戦犠牲者の遺骨を収集する、というもの。 ヤマもなければオチもない。

素直に読めば、日本は二次大戦の戦没者の遺骨収集を国を挙げてやるべき、 というように読めるんだけど、そこまですら考えないで書いていそうで怖い。

ナノマシンがほとんど魔法の用に扱われている。なにしろ、 語り手はナノマシンの集合体がなんとなく意思をもった何かだし。 老将軍の遺志で、戦没者の遺書が太陽系中に発信されるし。 こういうのってSFでもなんでもないよね。

セドナ、鎮まりてあれかし (ハヤカワ文庫JA)
泉 和良
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