2013年1月28日月曜日

CoffeeScriptファーストガイド モダンJavaScriptによるアプリケーション開発 (NEXT-ONE)

CoffeeScriptファーストガイド モダンJavaScriptによるアプリケーション開発 (NEXT-ONE) 飯塚 直 ISBN4798125997 翔泳社

JavaScriptの書きにくさを補うために、より関数言語っぽいシンタックスと普通のクラス階層を導入した、 JavaScriptへの変換系として実装されている 言語、CoffeeScriptの本。といいつつ、全8章300ページあまりのうち、CoffeeScriptにだけ関係 あるのは4章までの100ページあまり。あとは普通のJavaScriptでも使えるライブラリの話や 開発のベストプラクティスだったり。

CoffeeScriptよくわかっていないのだけど、この本で見る限り単なる シンタックスシュガーで、本質的なセマンティックスは変わっていない。 別に型チェックが入るわけでもない。 確かに簡潔に書けて、functionと打つ回数が減るのは短期的にはありがたいだろうけど、 IDEが使えない、デバッガで追うときに面倒くさいなどの変換系言語にありがちな問題点を考えると 導入するメリットはあんまりないような。。

2013年1月27日日曜日

なぜ絵版師に頼まなかったのか

なぜ絵版師に頼まなかったのか 北森 鴻 ISBN4334748538 光文社文庫

明治初期を舞台にした連作ミステリー。 身寄りのない少年葛城冬馬は、お雇い外国人ベルツのもとで働くことに。 明治初期の権力闘争を背景に起こるさまざまな事件を、ベルツが解き明かす。

各編のタイトルはそれぞれ著名作品のもじりになっている。 「なぜ絵版師に頼まなかったのか」はクリスティの「なぜエバンスに頼まなかったのか」。
「九枚目では多すぎる」は「9マイルでは遠すぎる」。
「人形はなぜ生かされる」は「人形はなぜ殺される」。
「紅葉夢」は「紅楼夢」。
「執事たちの沈黙」は「羊たちの沈黙」。
登場人物は魅力的だが、今ひとつキレがないというか。。

なぜ絵版師に頼まなかったのか (光文社文庫)
北森 鴻
光文社 (2010-10-13)
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シャーロック・ホームズの事件簿 新訳シャーロック・ホームズ全集

シャーロック・ホームズの事件簿 新訳シャーロック・ホームズ全集 アーサー・コナン・ドイル ISBN4334761828 光文社文庫

ホームズものの最後の短篇集。光文社からの新訳。 ホームズはやっぱり今読んでみるとあんまり面白くない。。 ツッコミを入れ始めるときりがないというか。 クリスティは今読んでも色あせることなく面白いんだけどな。

にしても、若返りのために猿の血清を打った教授が猿のような奇行にはしるとか、 ちょっと。さすがに降霊術を信じていただけのことはあるというか。

シャーロック・ホームズの事件簿 新訳シャーロック・ホームズ全集 (光文社文庫)
アーサー・コナン・ドイル
光文社
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シャーロック・ホームズ最後の解決

シャーロック・ホームズ最後の解決 マイケル・シェイボン ISBN410203613X 新潮文庫

「ユダヤ警察同盟」の著者によるホームズもの。引退して養蜂家となって数十年たち すっかり年老いたホームズが、声を失ったユダヤ少年のオウムを取り返すために立ち上がる。

すっかり忘れていたが、既読だった。。まあ、最初の1ページで既読だということに気がついたので よしとしよう。。推理ものとしては、原作同様成立していないような気もするが、 老境のホームズの雰囲気がそれらしくてよい。

シャーロック・ホームズ最後の解決 (新潮文庫)
マイケル シェイボン
新潮社
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2013年1月21日月曜日

町長選挙

町長選挙 奥田 英朗 ISBN4167711036 文春文庫

ムーミンみたいな精神科医伊良部が、人々の悩みを癒す?シリーズ第三弾。
「オーナー」ナベツネがモデルとしか言い様がない男が、閉所恐怖症やパニック障害を患う。
「アンポンマン」こっちのモデルはホリエモン。ストレスでヒラガナが書けなくなる症状に悩まされるが。。
「カリスマ稼業」これは、黒木瞳だろうなあ。。40台にもかかわらず若く美しいことで知られる女優が、美貌を保とうとする強迫観念に悩まされる。
「町長選挙」離島に2ヶ月間だけ派遣された伊良部が、島の町長選挙に巻き込まれる。。

無駄に色っぽい看護婦マユミは今回も大活躍。パンクバンドとか始めてるし。 町長選挙のオチで、200人対200人で棒倒し、ってことになってるけど、絶対死人が出ると思われる。。

町長選挙 (文春文庫)
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奥田 英朗
文藝春秋
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美人とは何か? 美意識過剰スパイラル

美人とは何か? 美意識過剰スパイラル 中村 うさぎ ISBN4087464385 集英社文庫

自ら整形手術までした中村うさぎの美人論。 性同一性障害ならぬ、容姿同一性障害だったから整形したのである、と。 容姿に関するヒエラルキーを上がるためにではなく、 ヒエラルキーから脱却するために整形した、というのは目からウロコが落ちる思い。

しかしぐるーーっと議論が回った挙句、最終的に獲得するべきなのは 「他人を愛する能力だ」という結論にはやられた。 なんとも、遠回りをしたものだ。。これが業というものなのかね。

美人とは何か? 美意識過剰スパイラル (集英社文庫)
中村 うさぎ
集英社
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トネイロ会の非殺人事件

トネイロ会の非殺人事件 小川 一水 ISBN4334928056 光文社

小川一水のミステリー短篇集。1作目と2作目はSFっぽくなくもないか。
「星風よ、淀みに吹け」月面基地での閉鎖環境における活動に関する適性をテストするための閉鎖施設BOX-Cで、テストの完遂を直前に、一人のメンバーが二酸化炭素の溜まったピットのなかで発見される。
「くばり神の紀」富豪の妾腹として生まれた女子高生が、それまで会ったこともなく冷淡であることで知られる富豪に臨終の枕元に呼ばれ、屋敷を譲り受けることに。
「トネイロ会の非殺人事件」巧妙な恐喝を続ける男の被害者十名が集まり、男を殺そうとするが、十名の中に一人だけ手を下さなかったものがいた。

トネイロ会の非殺人事件
小川 一水
光文社
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2013年1月18日金曜日

原子力戦争

原子力戦争 田原 総一朗 ISBN4480428461 ちくま文庫

1970年代に書かれた、ドキュメント・ノベル。バックグラウンドはドキュメントだけど、ディティールはフィクション、ということなのか。原発を民間企業がリードするか、通産省がリードするかの争い、米国の2つの原発開発企業間の争い、さらにはそれに割ってはいろうとする西ドイツの企業、原発からなるべく多くの金を引き出そうとする近隣住民、愚かな国民を導いているという態度を隠さない通産官僚、危険性を知らされずに搾取される現場の下請け労働者。

時代は違うけど構図は驚くほど変わらない。福島第一の原発は、このころにはすでにあり、このころから故障しがちだったらしい。笑えない。40年近くたっても核廃棄物の最終処分先が決まってないなんて、このころは想像もしなかっただろうなあ。

原子力戦争 (ちくま文庫)
田原 総一朗
筑摩書房
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妖怪文化入門

妖怪文化入門 小松 和彦 ISBN4044083037 角川ソフィア文庫

妖怪文化入門、というよりは、妖怪文化研究の入門書。 さまざまなテーマに対して、これまでどのような研究がなされてきたかを 概観している。

研究紹介になってしまっているので、若干突っ込みが足りない感あり。

妖怪文化入門 (角川ソフィア文庫)
小松 和彦
角川学芸出版 (2012-06-22)
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ふるさとへ廻る六部は

ふるさとへ廻る六部は 藤沢 周平 ISBN4101247234 新潮文庫
エッセイ集。タイトル通り、ふるさとである山形への言及が多い。


ふるさとへ廻る六部は (新潮文庫)
藤沢 周平
新潮社
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2013年1月13日日曜日

夜の試写会 (リディア&ビル短編集)

夜の試写会 (リディア&ビル短編集) S・J・ローザン ISBN4488153100 創元推理文庫

ハードボイルド推理小説短編集。 適当に借りてきたのだけどなかなか面白かった。 ニューヨークを舞台に、 中国系二世の女性探偵リディア・チンと、ピアノが趣味の中年白人男性探偵ビル・スミスが、 着かず離れずのコンビを組む長編シリーズからの短篇集。 コンビの話もあるし、リディアだけ、ビルだけしか登場しないものもある。 どれも陰影があってよい。長編も読んでみよう。

この短篇集、日本オリジナルなのだけど、ちゃんと英語タイトルもついている。 不思議なことに英語タイトルの方は「夜の試写会(Film at Eleven)」ではなくて「ペテン師ディランシー (Double-crossing Delancey)」が表題になってる。たしかに「夜の試写会」のほうが、雰囲気があっていいと思うけど。

夜の試写会 (リディア&ビル短編集) (創元推理文庫)
S・J・ローザン
東京創元社
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2013年1月9日水曜日

屍者の帝国

屍者の帝国 伊藤 計劃 円城 塔 ISBN4309021263 河出書房新社

期待されながら夭逝したSF作家伊藤計劃の遺作を、盟友の円城塔が引き継いで書いたという異色作。伊藤計劃が書き残した冒頭部はNOVA1に収録されている。

ひとことで言ってしまえば、ゾンビがでてくるスチームパンク。この世界ではフランケンシュタインに端を発した死体再生技術が産業にまで発展し、死体に霊素をうわがきすることで再生した屍者を単純労働に使役することが一般化している。舞台は、アフガニスタン国境の山地から、日本、アメリカと点々。浜の離宮での大立ち回りまで。

屍者の暴走事件が頻発し、その背後に秘密の組織があることを察知した英国情報部が若い主人公をスカウトし、追跡させる。秘密の組織の背後には、最初の屍者が。。主人公はあのワトソン博士、付き従う記録担当屍者はフライデー、レット・バトラーやカラマーゾフ兄弟、ハダリー、ヴァン・ヘルシング、果てはチャールズ・ダーウィンなどどなどどこかでみたような名前の登場人物がぞろぞろと出てきてそれだけでも楽しい。バーナビーはどこから来てるんだろう。ぐぐるとTiger and Bunnyのバーナビーばかり引っかかって他のが出てこない。。 ディケンズのバーナビー・ラッジという作品に人並み外れた怪力の「バーナビー」がでてくるようだが、かなりイメージが違うな。 蒸気で動く巨大な解析機関をパイプオルガンで操作するというイメージもかっこいい。これはダンガードAのドップラー総統のイメージか?

昨年はなんと100冊に到達しなかったので今年はもっと読みたい。 まずは、元ネタをちゃんとよんでみないとなあ。「カラマーゾフの兄弟」は大変そうだ。。 「未来のイヴ」「吸血鬼ドラキュラ」あたりも。

屍者の帝国
屍者の帝国
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伊藤 計劃 円城 塔
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