太宰治の辞書
ISBN4104066109
新潮社
まさか新刊が出るとは思わなかった、「円紫師匠と私」シリーズ最新刊。6巻目にあたる。 一作目の「空飛ぶ馬」が1989年。92年までに4巻まで刊行され、 その後ずいぶん間が空いて98年に「朝霧」。で実に17年ぶりに新刊という。。 主人公の「私」は、リアルタイムで年をとっていて、「空飛ぶ馬」では、まだ二十歳前の 女子大生だったのが、卒業して出版社に就職し、今では中学生の息子の母になっている。。 なんというか、同窓会で古い友人に会ったような。
内容はいわゆる書誌ミステリーで、芥川の「舞踏会」、太宰の「女生徒」がネタ元になっている。 ちゃんと読んでないので十分味わえなくて残念だ。
もともと、なにか大きい事件が起こるようなシリーズではないのだけど、この話はさらに おおきな謎もなく淡々とすすんでいく。それでも不満がのこらないのは、やっぱり昔から 知ってる主人公だからなのか。久しぶりに1巻から読み直してみたくなった。 このシリーズ、ずっと、高野文子による同じポーズの主人公の装画なんだけど、 髪型や服装が年齢相応になっていて、歳月の流れを感じる。
タイムリーに芥川賞受賞で話題のピース又吉がナチュラルに言及されていて、さすがに北村薫は上品である。
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