民間軍事会社の内幕
ISBN4480427198
ちくま文庫
イラクやアフガニスタンには、派兵されている米軍と同数かそれ以上の数の民間人が民間軍事会社(PMC: Private Military Company)から派遣されているという。本書はそういった軍事の「アウトソーシング」の現状を論じている。
簡単な警備だけでなく、兵站や、尋問のような高度な作業までアウトソーシングされているというのはびっくり。本質的には、米軍が人員削減したにもかかわらず、戦線が拡大していることが原因なのだろう。 たとえば、現地の米軍のキャンプの食事や衛生管理などは、ほとんどが民間会社に委託されているのだそうだ。さらに欧米人では給与がたかいということで、アフリカや東南アジアから人身売買同然に調達されてきた安価な労働力をつかったりしているのだそうだ。もちろんキャンプが攻撃されれば、死傷者も出る。さらに面白いのはperception management と呼ばれる宣伝活動。イラクのフセインを大量破壊兵器を持つ大悪党に仕立て上げたのもPMCの活動の一環なのだそうだ。
警察や軍隊などの暴力装置を独占することが、古典的な国家の定義のひとつなわけだけど、この現状ってどうなんだろう。こういう会社が活躍している国(アフガニスタンやイラク)は国家として成立していないということになるのか。
民間軍事会社の内幕 (ちくま文庫 す 19-1)
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菅原 出
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