2012年5月29日火曜日

アインシュタインの不在証明

アインシュタインの不在証明 吉村 達也 ISBN4062730286 講談社文庫

つい先日60歳の若さでなくなった吉村達也のミステリー。シリーズとしては 軽井沢純子ものということらしい。10年以上前に同じシリーズの 「ニュートンの密室」というのを読んでいる。シリーズといっても 軽井沢純子は狂言回し程度であまり活躍しない。

テレビ局が主催するミステリー小説新人賞の最終選考会が、最終候補者5名(とその連れ)を 招いて、伊豆半島西側の付け根にある淡島のホテルで行われる。 最終候補の一人となった老人の作品を読んだ、審査員の一人が 3年前に酷似したホステス殺人が起きていたことを指摘する。作者はその際の被疑者で あったがアリバイがあったため釈放されている。小説はそのアリバイを否定するものでもあった。 さらに、時を同じくして、東京で酷似したホステス殺人事件が発生する。

ひねりすぎ、というか。 素直にトリックとかアリバイとかいうものを 扱うことができなくなってしまっている閉塞感を感じさせる。 ミステリーというジャンルが成熟しすぎてしまったということなのだろうけど。 そういえば「ニュートン」もそういう話だったような気がする。

アインシュタインの不在証明 (講談社文庫)
吉村 達也
講談社
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2012年5月22日火曜日

妙なる技の乙女たち

妙なる技の乙女たち 小川 一水 ISBN4591101843 ポプラ社

軌道エレベータが建設され、周辺に一大生活圏が構成されたシンガポール沖のリンガ諸島を舞台に、 様々な職業の女性たちが活躍する連作短編。 個人の世界の拡大と、人類の地平の拡大が一致する、ただしいジュブナイル系SF。 魅力的な「乙女たち」がたくさん出てくるのだけど、それぞれ短編一本だけなのがもったいない。 誰か一人抜き出して、この世界をじっくり描いた長編が読みたい。

妙なる技の乙女たち
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小川 一水
ポプラ社
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2012年5月12日土曜日

あの世 この世

あの世 この世 瀬戸内 寂聴, 玄侑 宗久 ISBN4101144397 新潮社

二人の出家文学者による対談。10年前のもの。

関係ないけど、瀬戸内寂聴さんは、東京新聞に「この道」というエッセイをここしばらく書いていた。 このエッセイは自伝を書くものだと思うのだけど、寂聴さんは大杉栄と野江の話ばっかり書いていて、 全然自伝になってなくてちょっと面白かった。本人の話も読みたかったのだけど。 もともと、このエッセイシリーズは、杉良太郎が自慢話ばかり2ヶ月書いたりして、相当面白いのだけど。

あの世 この世 (新潮文庫)
瀬戸内 寂聴 玄侑 宗久
新潮社
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2012年5月11日金曜日

銀の匙 Silver Spoon 1-3

銀の匙 Silver Spoon 1-3 荒川 弘 ISBN4091231802, ISBN4091234275, ISBN4091236537 少年サンデーコミックス
「鋼の錬金術師」の荒川弘のサンデー連載作品。なんか賞をとった模様。 北海道の大蝦夷農業高校を舞台にした学生生活を描く。 中高一貫の進学校をドロップアウトした都会育ちで「いい人」の主人公が、全寮制の農業高校で カルチャーギャップに驚きつつ視野を開いていく。

ちょっと、ゆうきまさみの「じゃじゃ馬ぐるーみんUP!」を髣髴とさせる。 ヒロイン御影の髪型もちょっとひびきと似てるし、馬で初登場したところなんかも。

実にさわやかで、おもしろい。かなり先までプロットが決まっていそうな感じなので、 ぶれずにこのまま走りきってほしい。

2012年5月10日木曜日

虚言少年

虚言少年 京極 夏彦 ISBN4087714071 集英社

昭和4,50年を舞台に、お馬鹿な小学校6年生男子3人組の日常を描く怪作。 とにかくおかしい。夜中に一人で大笑いしてしまった。さすがだ。

少年たちのキャラがひとりひとり立っていてすばらしい。 それにくらべて女子の描写が十把一からげでぞんざいなところは、 やっぱり京極夏彦もおばかな男子小学生だったんだろうなあ、 と思わせる。 小学生女子がかわいいかかわいくないかは、概ね自己申告で決まる、というのも素晴らしい観察。

三人組のひとりは京野達彦という、時代劇とオカルトウォッチングを愛する少年なのだけど、 これが作者の少年期なのかな?名前も似てるし。。。

虚言少年
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京極 夏彦
集英社
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2012年5月9日水曜日

赤緑黒白

赤緑黒白 森 博嗣 ISBN4062752573 講談社文庫
Vシリーズ最終作。 人気ミステリー作家のマンションそばで男が射殺され、真っ赤にスプレーで塗りあげれる。男の名前には「赤」が 含まれていた。保呂草は男の婚約者に依頼され調査に乗り出すが、婚約者もまた殺害され、緑にぬられる。 彼女のなまえには「みどり」が含まれていた。さらに、黒、白と次々に人が殺害され、スプレーで塗り上げられる。 ミステリー作家と親しい新興宗教主催のそばには、例の人の影が。

例の人の年齢から考えるとVシリーズはS&Mに8年程度?先行することになるんだけど、 「捩れ屋敷の利鈍」では保呂草と西之園萌絵が共演していたような。どうなってるんだ、とおもってちょっと調べたら、 こんなページを見つけてしまった。 なるほどねえ。。へっくんがXXXというのはさすがに年があわないような気がするけど。 いずれにしろ、四季シリーズは再読しないといけないようだ。

赤緑黒白 (講談社文庫)
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森 博嗣
講談社
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2012年5月3日木曜日

朽ちる散る落ちる

朽ちる散る落ちる 森 博嗣 ISBN4062751399 講談社文庫

Vシリーズ全10巻中の9巻。ということで終盤のはずなんだけど、なんだか謎がふかまるばかり? これあと1巻で決着着くのかね??

話は前々作「六人の超音波科学者」の直後。舞台も同じ土井超音波研究所。 前作の事件の捜索によって土井博士の居室の奥に地下室が発見され、 そこに古い死体が発見される。死体は大砲で打ち出されたかのように、壁にたたきつけられていた。 さらに、地球に帰還した宇宙船で乗組員全員が殺害されていた、という 極秘情報が伝えられる。

トリックはコナンあたりにでてきそうな超大技。建物を建てることとができれば およそどんなことでもできるよね、という。

朽ちる散る落ちる (講談社文庫)
森 博嗣
講談社
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