つい先日60歳の若さでなくなった吉村達也のミステリー。シリーズとしては 軽井沢純子ものということらしい。10年以上前に同じシリーズの 「ニュートンの密室」というのを読んでいる。シリーズといっても 軽井沢純子は狂言回し程度であまり活躍しない。
テレビ局が主催するミステリー小説新人賞の最終選考会が、最終候補者5名(とその連れ)を 招いて、伊豆半島西側の付け根にある淡島のホテルで行われる。 最終候補の一人となった老人の作品を読んだ、審査員の一人が 3年前に酷似したホステス殺人が起きていたことを指摘する。作者はその際の被疑者で あったがアリバイがあったため釈放されている。小説はそのアリバイを否定するものでもあった。 さらに、時を同じくして、東京で酷似したホステス殺人事件が発生する。
ひねりすぎ、というか。 素直にトリックとかアリバイとかいうものを 扱うことができなくなってしまっている閉塞感を感じさせる。 ミステリーというジャンルが成熟しすぎてしまったということなのだろうけど。 そういえば「ニュートン」もそういう話だったような気がする。