嘉納流柔術初期をめぐる第2巻。嘉納流柔術というか講道館柔道が名を上げるきっかけとなった 弥生神社での試合の前日譚として、その試合に出場する他流派の出場者がたんねんに書かれている。 というか、そっちに脱線しすぎて試合まで辿りつけなかった、という方が正確か。
2012年7月29日日曜日
2012年7月28日土曜日
工学部・水柿助教授の日常
森博嗣の軽いミステリ。工学部の助教授である主人公と、その奥さん須磨子さんの日常を坦々と描き、 生活の中にでてくるちょっとしたミステリを解いていく。
主人公水柿は明らかに著者の反映なのだけど、大変チャーミングに描かれている 須磨子さんも著者の奥さんの反映なのだろうか??のろけ小説?
2012年7月25日水曜日
東天の獅子〈第1巻〉天の巻・嘉納流柔術
夢枕獏の格闘もの。餓狼伝とかと違って史実(なのかどうかはさておき)を追っている。 まずは、木村政彦vsグレーシーから導入し、いわゆる講道館柔道の起こりにさかのぼる。 いきなり嘉納治五郎が武田惣角と立ち会うなど、燃える展開。これはたまらん。
前田光世のことが書きたくて書き始めたらしいが、そこまで辿り着くのかどうか。 4巻まででて、すでに3年半たってるのがなんとも嫌な予感だが、 とりあえず4巻まで読もう。2012年7月24日火曜日
虚空の逆マトリクス
ミステリ短篇集。 仮想世界と現実世界が交錯する「トロイの木馬」、 バス停留所にいつも佇むドレス姿の老女をめぐる「赤いドレスのメアリイ」、 人気作家のガールフレンドが絞殺され、知恵遅れの友人に疑惑がかかる「不良探偵」、 どんでんがえしの「話し好きのタクシードライバー」、 回文づくりが趣味のリリおばさんの推理が冴える「ゲームの国(リリおばさんの事件簿1)」、 シックスセンスみたいな「探偵の孤影」、 身代金を詰めた紙袋の中身が捜査員が見守る前で石に入れ替わる「いつ入れ替わった?」。
「いつ入れ替わった?」はS&Mシリーズで、とうとう犀川が萌絵にプロポーズ? リリおばさんの回文は強烈。これは森博嗣ならでは。2012年7月21日土曜日
ハーモニー
このユートピアに適合できない3人の少女は、特別な薬を用いて WatchMeの目を盗んで自殺を試みるが、一人を除いて失敗する。 その13年後、全世界で6500名もが自殺を試みる事件が発生。 さらに、誰か一人を殺さなければ同じ方法で自殺させるとの脅迫が 全人類に対してなされる。その背後には、自殺したはずの少女の影が。
意識とは、脳内の複数のエージェントが優先順位を競う際に発生する 偶発的な現象で、本質的でも不可欠でもない、というのは面白い。 そんな単純なものではないと信じたいけど。
英語版が米国で出版されディック賞の特別賞を受賞したとのこと。すばらしい。
The Indifference Engine
短篇集。表題作は、もちろん、Bruce SterlingとWilliam Gibson による 「The Difference Engine」のもじりなわけだが、中身は全然関係ない。
007が何代にも及ぶ人格コピーの産物だという設定の「From the nothing, with Love」 が面白い。ここでの「意識」の定義は「ハーモニー」に受け継がれている。 表題作は、ルワンダを思わせるアフリカの相互虐殺を生きのびた少年が、 「The indifference Engine」によって 部族の見分けが付けられないように脳をいじられるが、その憎しみは消えないという 実に救いのない。「Heavenscape」と「フォックスの葬送」はメタルギアソリッドの 世界の話らしく、今ひとつよくわからない。分からないなりに面白かったが。
漫画も2篇収められている。
早川書房
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2012年7月18日水曜日
NOVA 1---書き下ろし日本SFコレクション
文庫オリジナルの書きおろしアンソロジー。伊藤計劃の絶筆「屍者の帝国」の冒頭が収められている ということで読んでみたのがだ、なかなか傑作ぞろい。 月面で発生した殺人事件を描く「七歩飛んだ男」はと学会で有名な山本弘の作。 なんともと学会なネタで楽しめた。
目当てだった「屍者の帝国」も面白い。なんと(少なくとも冒頭部の)主人公は、 「あの」ワトソン君だ。しかもマイクロフトまで登場してるし。。 なんとか続きが読みたいものだ。 どうも円城塔が引き継ぐことになっているようなので期待したい。
河出書房新社
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虐殺器官
2009年に35才の若さで夭逝した伊藤計劃の第一長編。 あちこちで名前を見かけていたのに読んでなかったのは不覚、という傑作。 こんな人がわずか3本の長編(うち一本はメタルギアソリッドのノベライズ) だけ残して逝ってしまうとは。。。残念だ。
大量虐殺を伴う内戦が頻発する世界。内戦の首謀者を追うと、常にそこには 謎の米国人ジョン・ポールの影が。 薬物とカウンセリングで「良心」を減摩させ 自らも殺戮を繰り返す米国エージェントの主人公は、 ついにジョン・ポールを追い詰めるが。
タイトルがタイトルなだけに、きつい描写も多い。映像化されたらとても 見てられないだろう。 「虐殺器官」というアイディアが秀逸。実際、そんなものでもあるんじゃないかと 思えてくる。昨今のシリアとかルワンダとかスーダンとか。。。
2012年7月12日木曜日
いま集合的無意識を、
短篇集。
伊藤計劃をとにかく読まないといけないようだ。
2012年7月4日水曜日
天冥の標6 宿怨 PART1
前作から150年後、「酸素いらず」達は弱体化し、ロイズとその傘下のMHDが覇権を握っている太陽系 アステロイド・ベルト。「恋人たち」はなぜか「救世群」と寄り添うようになっている。 「救世群」の少女イサリは、人工的に自然を模したコロニーで遭難しかけ、 MHDのCEOの息子アイネリアに救われる。 アイネリアは、初の恒星間宇宙船ジニ号で旅立とうとしている。 「救世群」は、ドロテアから、六本腕の猿を回収。弱毒化していないオリジナルの 冥王斑ウィルスを入手する。その活動のうらには、例の知性体が。。
巻末に年表と各話の登場人物、概念表がついて随分見通しが良くなった! 後どのくらい続くんだろうか。1巻の時間軸までは後300年分ぐらいしかないのだが。
ヒロインのイサリは、1巻にでてくる怪物と同じ名前。1巻の「咀嚼者」たちは硬殻化した 「救世群」なのだろうか?
早川書房
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