戦闘可能な若年成人男子の層が拡大した状態をユース・バルジといい、このユース・バルジが 移住や侵略、クーデターによる内戦の主たる原因であると説く。 ここで重要なのは単に過大な人口によってこれらの自体が発生するのではなく、 社会的なポストの不足によって引き起こされるという点。 したがって、人口密度という意味ではそれほど高くない状況でも起こるし、 主体は食い詰めた貧民ではなく、十分な教養を受けたが惣領にはなれない次男坊、三男坊である。 大航海時代のヨーロッパの急拡大も、ペスト禍から回復するために、それまで暗黙裡に行われていた 産児制限を禁止したためである、と。
つまり、今起こっているイスラムとの衝突は、イデオロギー的である以前に、 人口構造の問題である。しかも、この先10年ぐらいは絶対に解決しないということか。 なんてこった。
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