App Engine 入門書．こちらは，Javaのみを対象としている．必要な情報が過不足無く書かれていて，なかなかの良書．いま2冊しかApp Engineの日本語の本は無いと思うが，2冊のうちでは圧倒的にこちらがおすすめだ．データストア周りがかなり詳しく書かれていてすばらしい．
欲を言えば，全体的にサンプルが少なくてかなりの知識を前提としているのが，初心者にはくるしいかも．あと，大勢で書いているらしく，全体のトーンが結構ばらついている感じ．
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畏友，千葉先生のご本．あのbogusnews にもとりあげられた，アスペクト指向入門書の決定版．いわゆる教科書的な書き方でなく，ところどころに架空の？学生との対話を挿入する形で非常にわかりやすく書かれている．小学校で授業中に見せられたNHK教育の番組みたいだ．この書き方いいなあ．すごく手間がかかりそうだけど．
しかし，結局アスペクトのなにがうれしいのかまだ納得がいっていない．ちゃんと設計していなくても後から何とかなる，というだけのような．それなら，はじめからちゃんと設計しとけばいいわけだし，動的なフレーバがいる場合には，もっと簡単なDIで十分，という気もする．
1999年の本．今読むと隔世の感が．．．アンディは死んだし，いまや船木も鈴木もプロレスにもどってしまい，高田にいたってはハッスルの総統（もうやめたけど）．K1もめっきり下火だし，総合格闘技もいまいち．．．
本質的に，ガチな格闘技を見せ物にするのは無理があるのだと思う．ガチだと年間3，4試合が限度．その試合数でプロとして食っていけるわけがない．だからこそプロレスに意味があるのだと思うのだけど．
雪風シリーズの3冊目．SFマガジンにコンスタントに連載されているようだ．おどろいたことに，まったく終わっていない．この先どうなるんだろう．
雪風がジャム機を強制着陸させようとしたとき異変が． 時間も平行宇宙も入り乱れ，雪風とジャムも一体化したりしなかったり． むむむ，難解になってきたなあ．
2007年にNHKスペシャルで放送した内容をまとめた本を文庫化したもの．なので，内容的には2年前で，クラウドというキーワードは出てこなかったり，iPhoneすらでてこなかったりもするのだが，それほど古びた印象はない．情報の電子化と検索という技術がわれわれの生活を永久に変えてしまった，そしてその変化はまだ始まったばかりだ，という事実は2年前も今もあまり変わっていないので．
それにしても，NHKの取材はお金がかかっていそうでうらやましい．広告で生活が変わったというインド人を取材するためにわざわざインドの辺境まで行ってみたり．民法の番組制作者はさぞやうらやましかろう．
プロバビリティ3部作の2巻目．前作プロバビリティ・ムーンでは，住民が「共有現実」をもつ「世界」の衛星の一つが，「確率」を変化させる機能を持つことが判明，おなじ機能のものが，「世界」の一角に埋まっており，それが共有現実を作り出していたことが判明していた．今作では，「世界」に埋まった人工物の機能を解明する試みと，捕獲した敵対的な異星人フォーラーと意志を疎通させようとする試みが描かれる．
主役は，プロジェクトを主導する軍人カウフマン，エキセントリックな物理学者トーマス・カペロ，遺伝的に他者の無意識な動作に対する感覚を強化された「超感覚者（Sensitive）」マーベット・グラント，それに前作にも登場した，「世界」人エンリ．2種のエイリアンが登場したり，確率を操作するという超絶機械が登場したりと，SF的ガジェットもすごいが，なんといっても，登場するキャラクターが魅力的．3作目も楽しみだ．
星新一のショートショート集．中学生のころ読んだことがあると思う． 星新一のショートショートの基本パターンとしては
やっと出た日本語のGoogle App Engineの本．著者は，出るのは早いが変な本になってることの多い，掌田 津耶乃氏．以前のJavaFXの本は，出るまえに言語仕様ががらっと変わって，意味が無くなっていた．関係ないが，著者紹介によると，小学生の少女で，父親のゴーストライターをしている，という設定．．．まあいいけど．
で，この本だが，やっぱりなんか変だ．．．まず，Python版とJava版を1冊でカバーしようというのが無茶．両方使いたいって人はあまりいないと思うのだが．Python版の本を書いていたら，Java版がリリースされてしまったので，Java版も追記し，Python版を捨てるのがおしいので一緒にして出した，という経緯ではないかと推察．
もう一つおかしいのは，Java版はGWTと一緒に使え！ということで，Java版の部分の多くがGWTにさかれていること．GWTは確かに面白いしGAEのJava版と一緒につかうと強力なのは理解できる．が，この本のコンセプトとしてそれでいいのか？
とはいえ，この本売れるんだろうなあ．．．
「突破者」にして「キツネ目の男」宮崎学と，「ああ言えば上祐」上祐史浩の対談．1999年末に上祐が出所，教団がアレフへ改名，その直後の2000年初頭に行われたプレイボーイ掲載のための対談をまとめた本．学生運動世代の宮崎は，サリン事件は国家転覆の第一段階だと考え，次を期待したのに肩すかしを食らわされたのだという．
けしかける宮崎，ぬるりとかわす上祐．みごとにかみ合わない．まあ，その後の経緯からみてもオウムはこの当時すでに崩壊していたわけだから，けしかけられても困るのだろうが．
上祐にしても，やっぱりなんであんなことになったのか，心底わからない様子．ポル・ポトもそうだが，強烈なカリスマを持つ人間というのは，それだけで危険だ，ということなのかな．．．
全国民800万人のうち，150万人とも300万人ともいわれる大量の虐殺被害者を出したポル・ポト政権に関する本．著者は，リアルタイムでタイに駐在していた読売新聞特派員．
まず，政権についていたのは1975年4月から1979年1月の，たった4年間だけだったということにびっくり．その後もジャングルでどろどろのゲリラ戦を行い，未だに当時の地雷が人を殺し続けてたりはするわけだが，150万人を4年間ってすごすぎる．もう一つ驚いたのは，この本を読んでも，まったくポル・ポトの人物像がわからないこと．それほど秘密主義だったということなのか．どうも（多くの独裁者の例にもれず）個人的には魅力的でカリスマ性を持った人物だったらしいが．政策的，戦略的にはまったく幼稚だった彼らが政権を取れてしまったこと自体不思議なのだが，それはベトナムと米国，中国の外圧のバランスでできた空白を偶然突いたという形のようだ．この偶然はずいぶん高いものについているが．．．
もう一つ印象的なのは少年兵，少年医の話．ポル・ポト派は既存の知識をもった大人を信頼せず，無垢な少年を徴用したが，識字率が低かったため，中国の供給した兵器が使いこなせなかった．また医者も殺しまくったので，子供を民間治療の医者に仕立て上げたが，注射針を使い回したため，感染症でばたばた死んだとか．捕虜収容所の看守も子供で，イソップ童話を語って聞かせた囚人だけが死刑を免れたとか．．．なんかもう，めちゃめちゃ．
どんな偶然の産物にせよ，こんなに先の見えない集団が政権を握り，崩壊後にも長く残るダメージを一国に与えることが可能だ，ということが恐ろしい．人間ってこわい．
地方自治体と公営ギャンブルの関わりを詳説． 中央競馬を除く競馬，競輪，オートレース，競艇はすべて地方自治体が主催だという こと自体知らなかった．戦後，復興の為に地方自治体に認められたこれらのギャンブルは， ファン層の高齢化によって，どれもふるわなくなっており，赤字になっているものも数多い． 高崎競馬にライブドアの資本が入るとか入らないとかいう騒動もあった．
そもそも戦後復興のため，ということだったのだからやめちゃえばいいのだろうけど， 長く続けていると，すでに文化になっちゃっているからややこしい． 競輪は競技として世界に広まっているし，オートレースの特殊なバイクも日本にしか ないようだ．こうなると無くしてしまうのも惜しい．川口オートには，元SMAPの森君もいることだし．
本書では，これらのギャンブルをそれぞれJRAのような民間法人が一元化して 主催することを提案している．いずれにしろじり貧ではあるのだろうが， 軟着陸する為にはそれしかなさそうだ．
原題「SPIN」．2006年のヒューゴー賞．この後「AXIS」,「VORTEX」とつづく三部作の第一部． ある夜，地球全体が突然「シールド」でつつまれ，星空が見えなくなる．太陽はあったが黒点もフレアもないものになっていた．ロケットによる調査の結果，シールドの外では，時間が1億倍の速度で流れていることがわかった．これは，地球上で1年経つごとに，太陽は1億年分，歳をとり，肥大化していくこと意味する．地上でのわずか50年後には地球の軌道が飲み込まれる．人類は，シールド外との時間差を逆手にとり，火星をテラフォーミング，火星に移住した人類に，この状況への対策を託す．
大ネタだが，物語は，裕福な家庭に住む姉弟と兄弟のように育った青年の視線で丹念に描かれる．過度に政治的描写に走らず，姉と青年の交感を軸にした描写がすばらしい．上下巻あわせて，700ページオーバのボリュームだがまったく飽きさせない．
傑作．お勧め．つぎも楽しみだ．
