2009年9月10日木曜日

ポル・ポト〈革命〉史―虐殺と破壊の四年間

ポル・ポト〈革命〉史―虐殺と破壊の四年間 山田 寛 ISBN4062583054 講談社選書メチエ

全国民800万人のうち,150万人とも300万人ともいわれる大量の虐殺被害者を出したポル・ポト政権に関する本.著者は,リアルタイムでタイに駐在していた読売新聞特派員.

まず,政権についていたのは1975年4月から1979年1月の,たった4年間だけだったということにびっくり.その後もジャングルでどろどろのゲリラ戦を行い,未だに当時の地雷が人を殺し続けてたりはするわけだが,150万人を4年間ってすごすぎる.もう一つ驚いたのは,この本を読んでも,まったくポル・ポトの人物像がわからないこと.それほど秘密主義だったということなのか.どうも(多くの独裁者の例にもれず)個人的には魅力的でカリスマ性を持った人物だったらしいが.政策的,戦略的にはまったく幼稚だった彼らが政権を取れてしまったこと自体不思議なのだが,それはベトナムと米国,中国の外圧のバランスでできた空白を偶然突いたという形のようだ.この偶然はずいぶん高いものについているが...

もう一つ印象的なのは少年兵,少年医の話.ポル・ポト派は既存の知識をもった大人を信頼せず,無垢な少年を徴用したが,識字率が低かったため,中国の供給した兵器が使いこなせなかった.また医者も殺しまくったので,子供を民間治療の医者に仕立て上げたが,注射針を使い回したため,感染症でばたばた死んだとか.捕虜収容所の看守も子供で,イソップ童話を語って聞かせた囚人だけが死刑を免れたとか...なんかもう,めちゃめちゃ.

どんな偶然の産物にせよ,こんなに先の見えない集団が政権を握り,崩壊後にも長く残るダメージを一国に与えることが可能だ,ということが恐ろしい.人間ってこわい.

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