2011年8月30日火曜日

イノセンス After the Long Goodbye

イノセンス After the Long Goodbye 山田 正紀 ISBN4198618194 徳間書店
表紙絵で分かるとおり攻殻機動隊2であるところのイノセンスとのコラボレーション企画。ではあるのだけど、映画のノベライゼーションではなくて前日譚。この話の直後に映画のお話がおこる、という構造になっている。犬が誘拐される事件が相次ぎ、バトーのバセットハウンド、ガブまで行方不明になる。背後には犬のゴーストを使ってテロリストを生成する「ブリーダー」の影が。

山田正紀が書いているというので期待していたのだけどちょっと期待はずれだったかな。記憶がガンガン改ざんされる攻殻の世界を小説というメディアで書くのはなかなか難しいのかも知れない。戦闘シーンも単調、というか攻殻っぽくない。短い割に登場人物が多すぎるのかも知れない。夢にしか出てこない幻の息子、というイメージは幻想的でよい。

あと、オリジナルの攻殻と微妙にサイボーグの設定が違ってるんじゃないかな。攻殻の世界では脳はそのままで、義体はメカ中心で構成しているのだと思うのだけど、この世界では脳は計算機に置き換えられていて義体のほうはバイオ系らしい。まあ、独立した話だと思えばいいのだけど。

文中、Availability が Abailability になってる。編集者の責任だな。

イノセンス After the Long Goodbye
山田 正紀
徳間書店
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2011年8月27日土曜日

人生、成り行き―談志一代記

人生、成り行き―談志一代記 立川 談志, 吉川 潮 ISBN4101343357 新潮文庫

立川流顧問でもある作家吉川潮による、立川談志の対談形式の自伝。実は立川談志の落語は数えるほどしか聞いたことがないが、確かにうまい、というか天才を感じる。落語ブームのなか、立川談志がブイブイいわせていたころのことは全然知らないので、非常に興味深く読んだ。

しかし同門でやはり図抜けた名人、現落語協会協会長の小三治に関してほとんど言及が無いのはなんでなんだろう?すごく仲が悪いんだろうか??私は小三治がひいきなので気になる。

「試してガッテン」で知られる弟子の志の輔を絶賛しているのもびっくり。まともに落語を聞いたことがないけど、ぜひ一度聞いてみなければ。

人生、成り行き―談志一代記 (新潮文庫)
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2011年8月25日木曜日

虫眼とアニ眼

虫眼とアニ眼 養老 孟司、 宮崎 駿 ISBN410134051X 新潮文庫

対談集。4回の対談と、書き下ろしの養老孟司による宮崎アニメ評論、これも書き下ろしの、宮崎駿による子供を育てるための幼稚園と街のイメージボードが納められている。イメージボードは文庫本で読むのがもったいない完成度。

まあ、言ってしまえば、おっさん同士が回顧して意気投合しているだけなのだが、現在の子育てが異常に難しいのは、実感としてある。どうしたらいいのか分からない。

そういえば1つめの対談で話題になっている「もののけ姫」まだ見てないな。DVD買ってあるんだけど、リージョンコードが違うのでPS2を引っ張り出さないと見られないんだよな。むう。

虫眼とアニ眼 (新潮文庫)
養老 孟司 宮崎 駿
新潮社
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2011年8月24日水曜日

職人ワザ!

職人ワザ! いとう せいこう ISBN4101250154 新潮文庫
浅草在住の著者が、周辺に住む達人にその極意を聴く、という連作集。扇子、パイプ、かりんとう、ウナギ、TVのスイッチャー、ラジオの効果音、などなど。圧巻は、最後の床屋。スポーツ刈りという一般には単純のように思われている髪型を究めるために、睡眠時間を削って、トレーニングを怠らない、という。。。日本には、まだまだすごいのがいる。まだがんばれる、という気分になる。

職人ワザ! (新潮文庫)
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いとう せいこう
新潮社
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2011年8月23日火曜日

身体能力を高める「和の所作」

身体能力を高める「和の所作」 安田 登 ISBN4480427546 ちくま文庫

著者は、ボディーワークの専門家にして能楽師という、かわった経歴の人物。内容としてはすり足のようなトレーニングを行うことで、深層筋、特に大腰筋を使った動きを身につけることが重要だ、ということ。昔の日本人の動作を殆ど証拠なしに賞賛するというこの手の本にありがちな書き方には閉口するけど、大腰筋が重要だというのはそれなりに納得。

ただ、書かれている通り、西洋人の歩き方は実は大腰筋を使ってるんだ!ということになると、別にそれは「和の所作」じゃないんじゃないの!と突っ込みを入れたくなるような気も。

身体能力を高める「和の所作」 (ちくま文庫)
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南極(人)

南極(人) 京極 夏彦 ISBN4087712745 集英社
1997年から 2008年にかけて(!)散発的に小説すばる(やプレイボーイ)に連載されていたものに、1章を書き下ろした、世にも珍しい「ギャグ小説」短篇集。タイトルロールの「南極夏彦」は「がきデカ」に出てくるおやじか、山科けいすけの漫画の窓際おやじのような小説家。主人公の冒険小説家「赤垣廉太郎」や、敏腕女性編集者「椎塚有美子」がトラブルに巻き込まれる、という体裁。

最後の一編でかなりメタな話が出てくる通り、ギャグ小説というのは成立させることが非常に難しいはずなのだけど、さすがの筆力、かなりいい線いってる感じ。恐るべし、京極夏彦。

「こち亀」や「赤塚漫画」へのトリビュートみたいな短編も一つづつ。どちらも作者の愛とこだわりが感じられる。

なぜかこの本、普通の本には1本しかないしおり紐が、白一本、黒4本の形5本も付いている。これってひょっとして南極夏彦のすだれ頭をイメージしたモノなんだろうか。嫌すぎる。

南極(人)
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2011年8月21日日曜日

冥談

冥談 京極夏彦 ISBN4840132356 メディアファクトリー
怪談集。怪談専門誌『幽』の連載に書き下ろしを加えたもので、「幽談」の続編に相当するものらしい。全8話。どれもじわじわとコワイはなしで、一人で夜中によむのは止めておけばよかったかもしれない。。。
冥談 (幽BOOKS)
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京極夏彦
メディアファクトリー
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2011年8月8日月曜日

電脳コイル

電脳コイル
Blu-rayボックス発売のプロモーションで、バンダイチャンネルで1週間に6話ずつ無料配信していたのを視聴。電脳メガネによるAR(Augmented Reality)が一般化した世界。AR内ではある種の魔法や護符が利用できたりする。

なんというか非常に丁寧につくられていて、とてもよかった。世界観も(技術的な内容はともかく)整合性を保っているし、絵柄も安定していて安心して見ていられた。

しかし、バンダイチャンネル、ちょっと危険。こんなの見る習慣がついてしまったら、人生がいくつあっても足りない。おそろしい。

電脳コイル Blu-ray Disc Box
電脳コイル Blu-ray Disc Box
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バンダイビジュアル (2011-11-25)
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