国家はなぜ衰退するのか(上):権力・繁栄・貧困の起源
ISBN4152093846, ISBN4152093854
早川書房
文明の興亡の理由を地理的動物的資源に求めた「銃・鉄・病原菌」に対して、 地理的にも民族的にも条件がほとんど同じであるにもかかわらず、 経済状態が著しく違う街を指摘して、原因はそれだけではない、と説く。
本書では経済の発展の原因をイノベーションに求め、 イノベーション導入に対してインセンティブが働く、 包括的な経済とそれを支える包括的な政治体勢が必須であるとする。 ここでの包括的な政治とは、いわゆる民主的な政治であり、 包括的経済とは、財産の私有と投資とが保護された状態を指す。 「包括的」に対するのは「収奪的」である。
古今の例を傍証として上げていくスタイルなのだが、 東洋の事例が極端に手薄なのは残念。日本や中国に触れてはいるが、 触れている程度。 あと、資本の流入・流出に関して全く言及がないのはなぜなんだろう。
政治による規制がイノベーションによる持続的な発展の妨げになる点も指摘されている。 たしかに、総務省の電波規制とかどうなんだろう。きっとほかにも いろいろあるんだろうなあ。
説得力はあるんだけど、なんか、根っこの部分で暗黙の仮定に賛同できない部分を感じる。 持続的に発展し続ける必要があるのか、イノベーションがどこかで頭打ちに ならないのか、というあたり。まだちゃんと整理できないけど。
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