2017年6月29日木曜日

バレエ・メカニック

バレエ・メカニック 津原 泰水 ISBN4150310556 ハヤカワ文庫JA

海で溺れて植物人間となった娘「理沙」は大脳皮質のほとんどを失っていたが、 東京の街そのものが大脳機能を代替し、彼女の思考が現実世界を侵食し、 「理沙パニック」を引き起こす。

3章建てで、1章は理沙の父の彫刻家の立場から理沙パニックの時点を、 2章は理沙の主治医龍神の立場から理沙パニックの数年後、神経科学実験中に 理沙の声を聞いたという被験者の探索を描く。 3章は、さらに数十年後。多くの人がARを身に着けて歩くサイバーパンクな世界での 理沙の探索を描く。

大変幻想的であたまくらくら。なかなかよかった。

バレエ・メカニック (ハヤカワ文庫JA)
津原 泰水
早川書房
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2017年6月22日木曜日

ドルロイの嵐

ドルロイの嵐 高千穂 遙 ISBN415031117X ハヤカワ文庫JA

クラッシャージョウの父親ダンのチームとダーティペアが共演する「ダーティペアの大乱戦」を ダンチームの立場から描いたもの。 惑星ドルロイの再改造のために雇われたダンたちは、 依頼主の総督の背後に犯罪組織があることを知り、 ダーティペアと組んで殲滅する。 クラッシャーものとしては随分人が死んでる感じがするが、 ダーティペアものとしては被害が少なくてよかった感じ。 ガンビーノが死んじゃうんじゃないかと思って心配してしまったが、 よく考えたらジョウの1巻に出てくるんだから、ここで死ぬわけないのだった。

ジョウの母親がダーティペアのユリだ、という話があったような気がするのだが、 検索したところ公式設定ではないようなだなあ。 バードとタロスが取り合ったケイは、最後に出てきた軍人さんのほうなんだろうな。 ストーリーとは関係なくわざわざ出しているわけだし。

ドルロイの嵐 (ハヤカワ文庫JA)
高千穂 遙
早川書房
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2017年6月17日土曜日

機械との競争

機械との競争 エリック・ブリニョルフソン アンドリュー・マカフィー ISBN4822249212 日経BP社

人工知能技術の発達によって技術失業が増大し、あたらしい職の創出も追いつかない、 と解く。原著は2011年、翻訳も2013年なので、今から読むとちょっと今更感がある。

この本、わら半紙としか形容のしようのない、質の悪い分厚い紙で作られているけどなんでなんだ? ページ数が足りなかったのかな。

機械との競争
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エリック・ブリニョルフソン アンドリュー・マカフィー
日経BP社
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2017年6月14日水曜日

水の迷宮 (クラッシャージョウ)

水の迷宮 (クラッシャージョウ) 高千穂 遙 ISBN4150311005 早川書房

元祖和製スペオペ、クラッシャージョウシリーズの11巻。なんと現状13巻まででていると言うのでびっくり。 いつまでたっても7巻がでないと言われていたのはいつのことだったか。

惑星表面のほとんどが海に覆われた惑星マルガラス。内戦が続くこの惑星 での古代文明調査隊の護衛についたジョウたちは、古代文明の超科学を利用しようとする第三勢力の 陰謀に巻き込まれ、水の巫女と呼ばれる遺伝子改良人間アプサラを守って戦うことに。

水中用パワードスーツ「ギグ」の設定が面白い。全編水中戦なので、あまりクラッシャーっぽい活躍はないが。 クラッシャージョウって、ラノベのはしりだったんじゃないかと思っていたのだけど、 改めて読んでみるとやっぱり違うかな。キャラよりもストーリー優先だから。

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高千穂 遙
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2017年6月10日土曜日

ケルベロスの肖像

ケルベロスの肖像 海堂 尊 ISBN4800220378 宝島社文庫

田口・白鳥シリーズの最終作。Aiセンターの設立と崩壊という「輝天炎上」と同じ時間軸を東城大病院側から描いている。 こちらを先に読むべきだった。 ブラックペアンの話がここで出てくるとはなあ。 最終作ということだが、この世界線の話をもっと読みたい。

【映画化原作】ケルベロスの肖像 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
海堂 尊
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2017年6月6日火曜日

純粋関数型データ構造

純粋関数型データ構造 Chris Okasaki ISBN4048930567 KADOKAWA

原書は1998年刊。なんと20年近く前の本の翻訳が今頃出るとは。。 角川ドワンゴおそるべし。

計算量をみつもる際に、各オペレーションの最悪値を積み上げるのではなく、 償却という概念を導入して、(メモ化を前提に)オペレーションの履歴全体に 対する計算量を用いる、というお話。 途中からおいて行かれていろいろわからなかった。 サンプルはStandard MLで書かれているが、巻末にHaskell版のコードが付録として付いている。

一部の人の間では名著として知られていた本らしいが、こんな本読む人は英語でも 苦にしないんじゃないか、という気が。。。売れるんだろうか。

純粋関数型データ構造
Chris Okasaki
KADOKAWA (2017-04-28)
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2017年6月2日金曜日

ゼンデギ

ゼンデギ グレッグ イーガン ISBN4150120145 ハヤカワ文庫SF

ながいこと積読状態になっていたものをようやく読めた。 イランが舞台の近未来SF.イーガンにしてはぶっ飛んだ技術はでてこず、 リアリティのある設定。タイトルの「ゼンデギ」はアラビア誤で「life」を意味するらしい。

オーストラリア出身の主人公マーティンは、イラン女性と結婚し6歳の息子と幸せに 暮らしていたが、妻が交通事故で亡くなると同時に、自分が肝臓癌に侵されている ことを知らされる。旧友アシムに依頼し、息子のVR世界「ゼンデギ」でのアドバイザとするべく 自らのプロキシを構築しようと試みるが。。

人格をVR世界に構築するのに、アップロードではなくサイドロードというものが用いられている。 これは、コネクトームで最低限の模擬脳を構築した上で、 対象となる人間に様々な刺激を与えてその結果をMRIでスキャンし、その反応を模倣するように 模擬脳を学習させる、というアイディア。アップロードにくらべるとはるかにリアリティがあるような。

VR世界に対するハッキングの方法も面白いし、 このような技術に対する社会の反応も思考実験として興味深い。 おもしろかった。

ゼンデギ (ハヤカワ文庫SF)
グレッグ イーガン
早川書房
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