Gene Mapper -full build-
ISBN4150311072
ハヤカワ文庫JA
コンタクトレンズや体内に埋め込んだフィードバックチップを用いた拡張現実が一般化し、 スクラッチから遺伝子的に設計された「蒸留作物」で世界の食が支えられている未来。 かつてのインターネットは検索プログラムの暴走によって接続されたすべてのノードのOSが 上書きされ、その時点以前の情報は特殊なサルベージ技術を持つ業者を使わないと得られなくなっている。
「スタイルシート」をいじって蛍光ロゴを畑に描くたぐいの遺伝子改変を請け負うデザイナーである 主人公林田のところに、彼の手がけた「マザー・メコン」プロジェクトで生じた異変の調査が エージェント黒川より持ち込まれる。 サルベージ業者であるキタムラとの共同調査のためにホーチミン入りした黒川と柳田は、 さらにマザー・メコンへ調査に向かい、イナゴが異変の原因であることを突き止めるが、 背後には蒸留作物に反対する自然保護派が。
展開の速さで一気に読ませる。大変面白かった。 米軍軍用スーツの意味不明な感情制御機能も面白い。 しかしここまで拡張現実が普及したところでの、映像報道ってどういう位置づけになるんだろう? と言うか、カメラ必要なの?? あと、デバッグビルドだからといって、SDKがまるまる入っていることは普通はないよな、など。
現代の技術用語がちょとひねって使われていて雰囲気を出しているのだけど、 終盤でハッシュ値からブルートフォースで元のプログラムを復元、というのは ちょっと。もしかしたらわかっていて書いてるのかもしれないけど、情報に関する基本的な素養の欠如 を疑われるので、こういうのはやめたほうがいいと思う。 大昔あった、マシン語のダンプを縦横のチェックサムだけから復元できないか、という笑い話を思い出した。
Gene Mapper -full build- (ハヤカワ文庫JA)
posted with amazlet at 13.09.16
藤井 太洋
早川書房
売り上げランキング: 167,048
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