遠巷説百物語
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KADOKAWA
困りごとを妖怪のせいにして丸く収める百物語シリーズ。終わったかと思っていたら遠野を舞台に続編が出た。盛岡藩の筆頭家老の眼耳として遠野を監視している祥五郎が主役。旧知の乙蔵から仕入れた話を追求していくと妖怪がらみの巻き込まれる、という筋書き。仕掛け人の方は、「西」にも登場した柳次と、仕掛け作りの仲蔵。
歯黒べったり、磯撫、波山、鬼熊、恙虫、出世螺、の5篇。それぞれ、伝承の「譚」、乙蔵の語りの「咄」、公に明らかになったストーリーである「噺」、種明かしの「話」の4つで構成されている。
最後に、西巷説百物語に話がつながる。又市も登場。とりあえずハッピーエンド?でよかった。どんどん落ちぶれて行く乙蔵が最後どうやらしあわせにやっているらしい、というのが何より。
- 歯黒べったり - 目鼻がなくお歯黒だけが目立つ妖怪が出没、成敗しようという話になるが、商家が嫁ではないかと名乗り出る
- 磯撫 - 米の集積地でもある遠野に、取引を一人の商人を通すように、との下知が降り大混乱になる
- 波山 - 若い娘が攫われ、上半身だけ焼けた姿で見つかる事件が相次ぐ
- 鬼熊 - 隠れ女郎屋の存在が噂される中、一件の家に巨大なクマが現れて建物ごと崩れてしぬ事件がおこる
- 恙虫 - 遠野の勘定方が住む一角が流行病ということで閉鎖され、火がかけられようとする。
- 出世螺 - 乙蔵はとうとう金塊を見つけるが監視していた何者かに取り囲まれる。祥五郎が巻き添えの形で切られる。背後には幕府の中核を巻き込む賄賂騒動があった。
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