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とか見た映画とか
中は大きく2つにわかれていて 前半でプログラムの意味論と計算機モデルについて、 後半で計算可能性について論じている。 どちらの分野も専門書は数多くあるが、 Rubyでの実装をとっかかりに、平易に論じているのが眼目。
1章は前提となるRubyの解説、パート1の意味論が2章から5章まで、 パート2の計算可能性が6-9章。
パート1の 2章はプログラム意味論、 3章は有限オートマトンと正規表現、 4章でプッシュダウン・オートマトン、 5章はチューリングマシン。
パート2の 6章はラムダ計算、 7章はさまざまな計算モデルを紹介、 8章は停止性判定プログラムなどの不可能な計算、 9章はプログラムの抽象実行。
かなり変わった本だが、教科書にはいいかもしれない。 やっぱり手を動かして実際に動かさないとわからないからなあ。
タイトルはCのポインタの理解となっているが、内容的には もう少し広くて、Cのメモリ管理手法について詳しく書かれている。 実際、ポインタに関する基本的な事項は1章でほとんどカバーされていて、 残りは周辺の話題。
2章はmalloc等による動的なメモリの取得と開放、 3章は関数呼び出し時にとられるスタックの話題と 関数へのポインタの話、 4章はポインタと配列の関係、 5章はポインタと文字列、 6章はポインタと構造体、 7章はポインタに関連するセキュリティ問題、 8章はその他の話題という感じ。
ポインタと配列に関しては、特にポインタのポインタと 多重配列の関連などは理解が難しく、入門書の類では スキップされがちだが整理して書かれている。
Microsoft のVisual Studio C固有の話題や、最新のC11固有の 話題がカバーされているのも興味深い。
マイルズ・ヴォルコシガン シリーズ。時期は前作「ミラー衛星爆破」の直後。 前作で未亡人となったエカテリンを帝都に迎えたマイルズは、 迫る皇帝の婚礼準備を進めつつ、エカテリンへの求婚をすすめようとするが、 従兄弟のイワンが焚きつけた他の求婚者がでてきたり、 クローンの弟マークが持ち込んだバター虫の騒動でなかなか進まない。 さらには、国主になるためにベータで性転換手術をする(元)女性ヴォルや、 遺伝検査で数代前に血が途絶えていることが判明するヴォル、 人口子宮で一気に人口を増やそうとするヴォルなどもでてきて大混乱。。
相変わらずやたら長いがおもしろい。今回はSF色は控えめ。 兎にも角にもマイルズが結婚できてよかった。めでたいめでたい。 下巻の後半は独立した作品「冬の市の贈り物」になっている。 こちら直後のはマイルズ本人の結婚式を描く。なつかしのタウラ軍曹が 登場。寿命が制限されているという設定だったので、まだ生きている というだけで嬉しい。 こういう長いシリーズを読んでいると、古い知り合いみたいな 気持ちになっていて面白い。ラングドン教授が活躍する「ダ・ヴィンチの暗号」の続編。 前法王がなくなりコンクラーベが始まったバチカン市国で 4人の枢機卿が誘拐され、 同時にCERNではLHCで作られた反物質が盗まれる。 そして、イルミナティから枢機卿の殺害予告と反物質による爆破予告が届く。
映画としては安心して楽しめる娯楽作品。Tom Hunksはとにかく安定。 原作だとCERNでの盗難にもう一捻りあったような。 あと、誘拐暗殺の実行犯も非常に単純な造形になっている。 2時間枠に収めるためにはしょうがないのだろうけど。 反物質を作るシーンはせっかくCGでがんばってるんだからもうすこし リアリティのあるプロセスに演出できなかったのかなあ。。。丹精なモノクロの動物絵で知られるオライリー刊なのに 5つ目の目と象のような鼻がある先カンブリア代の怪物のような キテレツな動物の漫画絵が表紙を飾っていることで話題になった本。
内容は実にまっとうなCommon Lispの入門書。 S式から入って、Quote やMacroを懇切丁寧に解説している。 とはいえ、ところどころに下手うまなマンガが入っていて pure functional をdisっていたりして。 しかしよく考えるとCommon Lispの入門書ってここ20年ぐらい 出版されてないんじゃないのか?? 最近のCommon Lisp関係の本というと On LispやらLet over Lambdaみたいなextremeな本ばかりな気がする。 さすがにそんなことないか? 久しぶりにCommon Lispを眺めてみるとやっぱり非常に強力だし 何でもできるし、いいなあ。久しぶりに使ってみようかな。。よく知られた民俗学の古典である柳田國男の遠野物語を、京極夏彦が現代語訳。 remixというので、もうすこし原典から離れたものになっているのかと 思ったらかなり忠実な引き写しになっている。 オリジナルの遠野物語も、明治末期に刊行されているので、仮名遣いをのぞけば 別にそんなに読みにくいものではない。わざわざ現代語訳する意味あるのだろうか。
原典は、現地での聞き書きを記録したものなので、 小説というか物語という観点でいうと、落ちも脈絡もないようなものばかり。 そのへんを京極夏彦が怪しくまとめて、物語として編み直すという企画なのかと 思ってたのだけど、そういうものではなかったのは残念。 まあ、京極夏彦が消化したものは今後の作品に反映してくれるのだろう、ということで。
数学に興味を持つスリランカの青年ランジットは、ささいなことから海賊との嫌疑をかけられ 2年間も投獄されるがその間にフェルマーの定理の別証明を発見する。 一方、銀河の中心では、地球の核開発を検知した知性体が、地球生命体の絶滅を決意し 配下種族を地球に向かわせていた。
「2001年」のクラーク90歳、「ゲイトウェイ」のポール88歳の合作という豪華な代物。 クラークに取っては遺作となった。 タイトルの最終定理の発見がストーリー的にはあんまり効いてこないとか、 異星人の造形がアレであるとか、展開がむちゃだったりとか、 現代のSFとしてみるとあちこち破綻してもいるのだけど、 二人の老SF者が信じ、愛した、人類への賛歌なのだと考えれば、それもまた、いいかなと。 最後のあたりは「幼年期の終わり」っぽかったり。
しかし、ゲイトウェイシリーズって絶版なのね。。電子書籍で出してくださいよ>>早川書房。 あれは今でも読む価値がある。
恋愛をテーマにした短篇集。
「永遠に完成しない二通の手紙」小学生からの腐れ縁の二人の青年のあいだの友情(?)
「裏切らないこと」回想のなかの老夫婦が実は姉弟だったというのがびっくり
「私たちがしたこと」過去に犯した殺人を胸に秘める男女
「夜にあふれるもの」異常な信仰心を持つ真理子が闇に消える
「骨片」大学文学部を卒業したにもかかわらず実家である田舎の菓子屋で働く女性の、若くして亡くなった恩師への愛を描く
「ペーパークラフト」偶然出会った夫の後輩は実は浮気調査の探偵だった
「森を歩く」謎の恋人捨松は、プラント・ハンターだった
「優雅な生活」恋人との「ロハス」な生活
「春太の毎日」犬の一人称で、飼い主への愛と、その恋人への複雑な思いを描く
「冬の一等星」盗難されたクルマの後部座席にいたために誘拐されてしまった少女と誘拐犯の交流
「永遠に続く手紙の最初の一文」巻頭作品の高校時代の前日譚を描く
同級生ミルカさん、下級生テトラちゃん、いとこのユーリの3人の美少女に囲まれて 数学に邁進する謎のリア充数学書の第3段。 高校2年の終わりを迎えた主人公とミルカさんは将来の進路を見定める。
ベアノの小売、集合、極限、ε-δ、対角線論法、ときてゲーデル数、ゲーデルの不完全性定理まで。 最後の部分はかなり駆け足になってしまっている。本質的に複雑な証明なので しょがないのかな。
不完全性定理は、高校生の頃どういうわけだか爆発的に流行した ホフスタッターの「ゲーデル、エッシャー、バッハ」で読んでわかったような わからないようなだったのだけど、この本を読んでもやっぱりわかったようなわからないような、 だなあ。字面は追えているけど理解には至っていない感が。。
「ゲーデル、エッシャー、バッハ」再読してみようかな。。買ったはずなんだけど、 さて、どこにあるのやら。。